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第七章 王都
第四百九十話 反抗した兵
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先ずは、簡単な訓練をもう一度教えます。
「魔法というのは一朝一夕で身に着くものではなく、常に訓練を続けなればなりません。軍の訓練だけでなく、日々の訓練を……」
ザッ。
アイリーンさんが説明している最中に、急に一人の大柄な男性が立ち上がった。
おやおやって思っていたら、ニヤリとしながらとんでもない事を言ってきた。
「先生さんよ、俺らは軍隊なんだから実践訓練が必要だろう? 俺と手合わせしてくれや」
なんだかどこかで見た事のある光景に似ているけど、どうもあの男性はアイリーンさんと魔法勝負をしたいみたいです。
男性はニヤリとしながらアイリーンさんを挑発しているけど、今はキチンとした訓練中なのでそんな勝手なことはできません。
「何を言っている。今の状況を考えろ!」
「うるせえ! どうせ、俺よりも弱いんだろうが!」
アイリーンさんが男性を叱るけど、逆に男性はアイリーンさんに噛みついていた。
それだけ、自分の魔法に自信があるのでしょう。
でも、これではどうしようもない状況です。
すると、この場に軍で最も偉い人が現れました。
「おい、お前。命令違反とはどういうことだ。今は、手合わせする訓練なのか? アイリーンがそう指示をしたのか?」
「あっ、ブランドルさん」
「軍務大臣閣下」
「ぐっ」
突然の軍務大臣の登場に、ヒートアップしかけた会場の雰囲気が一気に落ち着きました。
というか、強制的に落ち着いた。
そして、ブランドルさんはゆっくりとアイリーンさんに歯向かった男性に近づいて行った。
男性は歯ぎしりをしながら、予想外の展開に困惑している。
というか、僕もこの場にブランドルさんが現れるなんて予想外です。
ザッザッ。
「数年前に起きたコバルトブルーレイク直轄領での魔法兵の命令違反、そして先日起きた第一師団の訓練中に起きた魔法兵が勝手な行動をしたための魔法暴発事故、全てが自分勝手な行動をした兵が引き起こした。それは、魔法兵でも普通の兵でも関係ない。貴様は、いま何をしているのか?」
「ぐぐっ……」
「ヴァイス子爵の件もあり、軍は綱紀粛正に努めている。それは、全ての軍人に対してだ。幹部だろうが新人兵だろうが、それは全く関係ない。それこそ、勝手な行動がどういうことになるか座学で教わったばっかりだろう。さて、改めて問う、貴様は何をしているんだ?」
おお、ブランドルさんが激おこです。
後ろ姿しか見えないけど、怒りのオーラがメラメラと燃えている様です。
そして、悪い態度を取っていた男性は顔を青くして汗をダラダラと流していました。
いつの間にか訓練場の全ての兵が、手を止めてブランドルさんに注目していました。
「ぐっ、くそ! 俺は偉くなるんだ! こんなところで、立ち止まってはいけないんだ!」
シュッ、ボォ。
何を血迷ったのか、男性は右手をブランドルさんに向けて火の玉を発動させたのです。
でも、正直言うと男性が焦っているのもあるけど、全く魔力が練られていなくて大した威力はなさそうです。
でも、この場を止めないと思ったら、先に動いていたものが。
「アオン!」
シュイーン、ズドドドドーン!
「うがぁー!」
ズサッ、ズサー。
何とユキちゃんがお得意のアイスバレットを連射し、歯向かってきた男性を吹き飛ばしたのです。
何というか、情けないほどあっという間に決着しました。
吹き飛ばされた男性は気絶していて、直ぐに他の兵が縄で拘束していきました。
トコトコトコ。
「アオン」
「うむ、ユキちゃん良くやった」
ユキちゃんはシロちゃんと共にブランドルさんのところにやってきて、ちょこんと頭を下げました。
ブランドルさんも、満足そうにユキちゃんの頭を撫でていました。
「皆もよく見るがよい。これが欲に飲まれたものの末路だ。昇進したいという気持ちは大いに結構だ。誰でも、欲というものはあって当然だ。しかし、欲が大きくなって自分自身が飲み込まれてしまうとこの様な結果となる。皆も、それを心に刻み込んで日々の訓練に励むように」
「「「はい」」」
ブランドルさんが新人兵に訓示を行うけど、よく考えると今まで暴発した人は欲に飲み込まれちゃった人ばっかりだよね。
連行されていく男性を見ながら、僕はそんな事を思っていた。
すると、アイリーンさんがブランドルさんの前に進み出て膝をついた。
「軍務大臣閣下、この度は大変申し訳ございません。処罰は、どうか私めに」
「アイリーン、今回はあの馬鹿が暴発しただけだ。例えそれがバッツであろうが、自分勝手な行動をとっただろう。恐らく、奴は適性検査で魔力があるのを知ってのぼせ上がったのだろうな」
ブランドルさんは、アイリーンさんに一切の罪はないと言っていた。
そういえば、さっき僕があの男性の剣技の相手をしたけど、体が大きい割にはそんなに強くなかった気がしたなあ。
いずれにせよ、男性の処分は軍にお任せですね。
「魔法というのは一朝一夕で身に着くものではなく、常に訓練を続けなればなりません。軍の訓練だけでなく、日々の訓練を……」
ザッ。
アイリーンさんが説明している最中に、急に一人の大柄な男性が立ち上がった。
おやおやって思っていたら、ニヤリとしながらとんでもない事を言ってきた。
「先生さんよ、俺らは軍隊なんだから実践訓練が必要だろう? 俺と手合わせしてくれや」
なんだかどこかで見た事のある光景に似ているけど、どうもあの男性はアイリーンさんと魔法勝負をしたいみたいです。
男性はニヤリとしながらアイリーンさんを挑発しているけど、今はキチンとした訓練中なのでそんな勝手なことはできません。
「何を言っている。今の状況を考えろ!」
「うるせえ! どうせ、俺よりも弱いんだろうが!」
アイリーンさんが男性を叱るけど、逆に男性はアイリーンさんに噛みついていた。
それだけ、自分の魔法に自信があるのでしょう。
でも、これではどうしようもない状況です。
すると、この場に軍で最も偉い人が現れました。
「おい、お前。命令違反とはどういうことだ。今は、手合わせする訓練なのか? アイリーンがそう指示をしたのか?」
「あっ、ブランドルさん」
「軍務大臣閣下」
「ぐっ」
突然の軍務大臣の登場に、ヒートアップしかけた会場の雰囲気が一気に落ち着きました。
というか、強制的に落ち着いた。
そして、ブランドルさんはゆっくりとアイリーンさんに歯向かった男性に近づいて行った。
男性は歯ぎしりをしながら、予想外の展開に困惑している。
というか、僕もこの場にブランドルさんが現れるなんて予想外です。
ザッザッ。
「数年前に起きたコバルトブルーレイク直轄領での魔法兵の命令違反、そして先日起きた第一師団の訓練中に起きた魔法兵が勝手な行動をしたための魔法暴発事故、全てが自分勝手な行動をした兵が引き起こした。それは、魔法兵でも普通の兵でも関係ない。貴様は、いま何をしているのか?」
「ぐぐっ……」
「ヴァイス子爵の件もあり、軍は綱紀粛正に努めている。それは、全ての軍人に対してだ。幹部だろうが新人兵だろうが、それは全く関係ない。それこそ、勝手な行動がどういうことになるか座学で教わったばっかりだろう。さて、改めて問う、貴様は何をしているんだ?」
おお、ブランドルさんが激おこです。
後ろ姿しか見えないけど、怒りのオーラがメラメラと燃えている様です。
そして、悪い態度を取っていた男性は顔を青くして汗をダラダラと流していました。
いつの間にか訓練場の全ての兵が、手を止めてブランドルさんに注目していました。
「ぐっ、くそ! 俺は偉くなるんだ! こんなところで、立ち止まってはいけないんだ!」
シュッ、ボォ。
何を血迷ったのか、男性は右手をブランドルさんに向けて火の玉を発動させたのです。
でも、正直言うと男性が焦っているのもあるけど、全く魔力が練られていなくて大した威力はなさそうです。
でも、この場を止めないと思ったら、先に動いていたものが。
「アオン!」
シュイーン、ズドドドドーン!
「うがぁー!」
ズサッ、ズサー。
何とユキちゃんがお得意のアイスバレットを連射し、歯向かってきた男性を吹き飛ばしたのです。
何というか、情けないほどあっという間に決着しました。
吹き飛ばされた男性は気絶していて、直ぐに他の兵が縄で拘束していきました。
トコトコトコ。
「アオン」
「うむ、ユキちゃん良くやった」
ユキちゃんはシロちゃんと共にブランドルさんのところにやってきて、ちょこんと頭を下げました。
ブランドルさんも、満足そうにユキちゃんの頭を撫でていました。
「皆もよく見るがよい。これが欲に飲まれたものの末路だ。昇進したいという気持ちは大いに結構だ。誰でも、欲というものはあって当然だ。しかし、欲が大きくなって自分自身が飲み込まれてしまうとこの様な結果となる。皆も、それを心に刻み込んで日々の訓練に励むように」
「「「はい」」」
ブランドルさんが新人兵に訓示を行うけど、よく考えると今まで暴発した人は欲に飲み込まれちゃった人ばっかりだよね。
連行されていく男性を見ながら、僕はそんな事を思っていた。
すると、アイリーンさんがブランドルさんの前に進み出て膝をついた。
「軍務大臣閣下、この度は大変申し訳ございません。処罰は、どうか私めに」
「アイリーン、今回はあの馬鹿が暴発しただけだ。例えそれがバッツであろうが、自分勝手な行動をとっただろう。恐らく、奴は適性検査で魔力があるのを知ってのぼせ上がったのだろうな」
ブランドルさんは、アイリーンさんに一切の罪はないと言っていた。
そういえば、さっき僕があの男性の剣技の相手をしたけど、体が大きい割にはそんなに強くなかった気がしたなあ。
いずれにせよ、男性の処分は軍にお任せですね。
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