小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
391 / 582
第七章 王都

第四百八十六話 卑劣なことをする者たち

しおりを挟む
「おい、領主はどこにいる?」
「お、お、お、お、応接室におります……」

 ビクターさんが途中で会った侍従にゴルゴン侯爵の居場所を聞いたけど、まるで不良みたいな迫力だった。
 そして、応接室と執務室などに乗り込む班に分かれ、僕はビクターさんとバッツさんとともに応接室に向かった。

 バン!

「ゴルゴン侯爵はいるか!」

 応接室のドアは鍵がかかっていなくて、ビクターさんがドアを蹴破るみたいな勢いで勢いよく開けた。
 すると、応接室にはあのゴルゴン侯爵とよく似た若い男性、それに横に大きい中年と若い女性がいた。
 更に、この前グレッグちゃんと一緒にいた時に会った小さな女の子もいた。
 小さな女の子は、何が何だか分からないのか、僕に普通に手を振っていた。
 というか、この部屋は香水臭くてたまらないんだけど……
 ビクターさんとバッツさんも、思わず顔をしかめてしまった。

「ゴルゴン侯爵、並びに嫡男と両夫人に対する捕縛命令が出された。素直に縄に付くがよい」
「けっ、誰が素直に従うか。そもそも、俺よりも年下の国王が俺に命令できるはずはない!」

 ビクターさんが捕縛命令書を突きつけても、ゴルゴン侯爵はとんでもない言い訳をしていた。
 というか、年齢に関係なく国王陛下か一番偉いはずなんだけど。
 ゴルゴン侯爵は、本当に自分勝手な貴族なんですね。

「では、実力行使に出る。バッツ、レオ君、シロちゃん、やってくれ」
「はっ」
「はい!」

 ビクターさんも思わず溜息をつくレベルのグダグダだけど、ここで引き下がる訳にはいきません。
 僕とシロちゃんは既に魔力を溜めていたし、バッツさんも力を溜めていました。

 シュッ、バキッ!

「グギャー!」

 ズサー、ドスッ。

 先ず、バッツさんが身体能力強化を使ってゴルゴン侯爵に一気に近づき、顔面を思いっきり殴りつけた。
 壁に激突しているけど、ゴルゴン侯爵は生きているかな?
 そして、僕とシロちゃんも一気に魔力を解放した。

 シュイーン、ズドドドドーン!

「ゴフッ……」

 ドサッ。

 嫡男目掛けて、エアーバレットとホーリーバレットを乱射します。
 まともに魔力弾を受けた嫡男は、その場で崩れ落ちた。
 すると、目の前で二人を倒されたゴルゴン侯爵夫人と嫡男夫人がとんでもない行動に出た。

 シャキン!

「こ、こ、これ以上、近づくな!」
「この子の命が、どうなってもいいのか!」
「えっ?」

 何と、ゴルゴン侯爵夫人が背後から女の子を押さえつけ、嫡男夫人が女の子にナイフを当てていたのだ。
 自分の孫と娘の命を使ってまで逃げようとするなんて、どう考えてもまともじゃない。
 僕とバッツさんは、一気に動きました。

 シュッ、バシン、バシン!

「「ガハッ!」」

 ドサッ。

「えっ、えっ?」

 ゴルゴン侯爵夫人と嫡男夫人は一瞬にして吹き飛ばされ、その隙にシロちゃんが女の子をビクターさんの側に連れてきた。
 一瞬の早業なので、女の子も全く訳が分からないみたいだ。
 でも、これで主犯の制圧完了です。
 気絶している四人を兵が拘束して運んでいくけど、四人とも横にとても大きいから担架に乗せるのがとても大変です。
 苦労しながらも、何とか連行していきました。

「普通、こんなに小さな女の子を人質にとるのか? あいつらは、本当に救いようのない馬鹿どもだな」
「自分勝手なことばかり考えていたから、他人の命なんてどうでもいいのでしょう。例え、それが幼い身内だとしても」

 ビクターさんとバッツさんは未だに馬鹿な事をした人たちにぷりぷりしているけど、僕とシロちゃんはその間も女の子の側にいた。
 なんというか、呆然としているみたいだ。

「えっと、僕はレオです。このスライムはシロちゃんだよ」
「マヤはマヤなの」

 マヤちゃんはまだ三歳にもなっていなくて、現状に追いついていないみたいだ。
 でも、気になったのは、例え酷いことをされても両親には違いないのに、連行されても止める雰囲気も泣くこともないことだ。
 うーん、これは何か裏がありそうです。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

もう、終わった話ですし

志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。 その知らせを聞いても、私には関係の無い事。 だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥ ‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの 少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。