小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第七章 王都

四百八十二話 新人兵のサポートをします

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 その後は、スカラさんたちを中心に怪我をした人の治療を行っていました。
 アイリーンさんも治療班の指導をしていて、シロちゃんとユキちゃんも一緒になって聞いていました。

「レオ君はまだまだ子どもだし、頑張って日々の訓練を続ける事が大切だわ。素質は私よりも全然あるし、きっと魔力制御も私よりも上手になるわよ」

 アイリーンさんは、僕にも色々と教えてくれました。
 教え方もとても上手で、本当に凄い人なんだと実感しました。

「お前らは、体が硬いな。水分補給をしっかりして、柔軟性を高めるストレッチを毎日やれ。ただの立派な筋肉は、硬くて怪我の元になるぞ」

 バッツさんも、兵に色々と指導していました。
 技術的な事よりも、日々のトレーニングに関することですね。
 兵も自覚があるのか、真剣に話を聞いていました。
 武器の手入れや敵の倒し方なども説明するし、こう見るとバッツさんも本当に凄い人なんだね。
 こうして、軍の施設での訓練は無事に終了しました。
 僕もとっても勉強になったし、何よりも新たな魔法使いに出会ったのも収穫です。
 すると、バッツさんがこんな事を言ってきました。

「よーし、午後は王都近郊に移動して、街道の害獣駆除を兼ねた訓練を行う。レオも良い経験になるから、ついでに参加しろ」

 つまりは、僕も軍の害獣駆除に参加するみたいです。
 ゴブリンやオークの駆除もやったことあるし、実戦経験を積まないと駄目だね。
 もちろん、ジェシカさんは全面じゃなくてスカラさんやユキちゃんとともに治療班とともに行動します。
 昼食を食べるので、全員施設内の食堂に移動しました。

「おっ、今日はレオもいるのか?」

 食堂に行くと、ブラウニー伯爵が僕に声をかけてきました。
 どうもポール男爵への取り調べや押収した資料の分析を行っているみたいで、とっても忙しいみたいです。

「前にオークやゴブリンキングと対戦した時があるけど、今日はオオカミとかがメインですよね?」
「オオカミやイノシシとかが討伐対象になるぞ。それこそ、ゴブリンキングなんて出てきたら一大事だ」

 ブラウニー伯爵がお肉を食べながら教えてくれたけど、王都近郊ではゴブリン自体確認されていないんだって。
 それなら、害獣駆除もとっても安全ですね。
 因みに、訓練を受けている兵は全員新人で、戦闘力はスカラさん達の方があるそうです。
 ブラウニー伯爵はとても忙しいそうなのでここでお別れして、さっそくみんなで王都郊外の街道に移動しました。

 シュイン。

「えっと、この先に六頭ほどのオオカミの群れがいます」
「よーし。じゃあ、新人は剣を構えよ」
「「「はい」」」

 探索魔法を使っても良いよとのことだったので、王都から少し歩いたところで周囲を探索します。
 標準的なオオカミなので、バッツさん曰く新人教育にはうってつけらしいです。

 ガサッ。

「「「ガウッ!」」」
「迎撃開始!」
「「「うおおおおお!」」」

 茂みから飛び出してきたオオカミに、二人一組で対応します。
 ツーマンセルは、軍の戦闘の基本だそうです。
 午前中習った通りに連携をしながら、新人兵は良い感じにオオカミを倒していきます。
 怪我をしても、スカラさんたちが直ぐに治療するのも心強い材料です。
 こんな感じで、僕が周囲を調べつつ害獣駆除を行います。
 因みに、シロちゃんが血抜きをしているので、倒したオオカミは素材としても販売可能です。
 ここで頑張れば、新人兵に取って臨時収入を得るチャンスです。

「まあ、だいたい平均的な獲物の数だな。俺やレオが本気を出すと乱獲するが、新人教育にとってはちょうど良い」
「まあ、バッツさんとレオ君は攻撃力が半端ないですから。単純な攻撃力だけなら、私よりもシロちゃんの方が上ですよ」

 新人を見守っているバッツさんとアイリーンさん曰く、僕が全面に出過ぎると新人教育の意味がないそうです。
 僕も何かあった際に魔力を残せるように、極力戦わない様にしています。
 こうして、一時間経ったところで休憩に入りました。

「皆さま、お茶でございます」
「おーおー、こんな場所で侍従の給仕を受けるとは。お前らは良い待遇だな」

 暇でしょうがないので、ジェシカさんが新人兵に飲み物やタオルを配っていました。
 中には、颯爽と働くジェシカさんにポーっと見とれちゃっている人もいますね。
 因みに新人兵もかすり傷程度なので、魔法を使わずにポーションで治療します。
 とはいえ、休憩も訓練なので交代で見張りをたてています。
 僕も周囲を検索するけど、僕たちの様子を伺っている反応はあるけど危害を加える事はないので放置するとバッツさんも言っていました。
 こうして、充分に休憩をとって害獣駆除を再開しようとした時でした。
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