小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
387 / 585
第七章 王都

四百八十二話 新人兵のサポートをします

しおりを挟む
 その後は、スカラさんたちを中心に怪我をした人の治療を行っていました。
 アイリーンさんも治療班の指導をしていて、シロちゃんとユキちゃんも一緒になって聞いていました。

「レオ君はまだまだ子どもだし、頑張って日々の訓練を続ける事が大切だわ。素質は私よりも全然あるし、きっと魔力制御も私よりも上手になるわよ」

 アイリーンさんは、僕にも色々と教えてくれました。
 教え方もとても上手で、本当に凄い人なんだと実感しました。

「お前らは、体が硬いな。水分補給をしっかりして、柔軟性を高めるストレッチを毎日やれ。ただの立派な筋肉は、硬くて怪我の元になるぞ」

 バッツさんも、兵に色々と指導していました。
 技術的な事よりも、日々のトレーニングに関することですね。
 兵も自覚があるのか、真剣に話を聞いていました。
 武器の手入れや敵の倒し方なども説明するし、こう見るとバッツさんも本当に凄い人なんだね。
 こうして、軍の施設での訓練は無事に終了しました。
 僕もとっても勉強になったし、何よりも新たな魔法使いに出会ったのも収穫です。
 すると、バッツさんがこんな事を言ってきました。

「よーし、午後は王都近郊に移動して、街道の害獣駆除を兼ねた訓練を行う。レオも良い経験になるから、ついでに参加しろ」

 つまりは、僕も軍の害獣駆除に参加するみたいです。
 ゴブリンやオークの駆除もやったことあるし、実戦経験を積まないと駄目だね。
 もちろん、ジェシカさんは全面じゃなくてスカラさんやユキちゃんとともに治療班とともに行動します。
 昼食を食べるので、全員施設内の食堂に移動しました。

「おっ、今日はレオもいるのか?」

 食堂に行くと、ブラウニー伯爵が僕に声をかけてきました。
 どうもポール男爵への取り調べや押収した資料の分析を行っているみたいで、とっても忙しいみたいです。

「前にオークやゴブリンキングと対戦した時があるけど、今日はオオカミとかがメインですよね?」
「オオカミやイノシシとかが討伐対象になるぞ。それこそ、ゴブリンキングなんて出てきたら一大事だ」

 ブラウニー伯爵がお肉を食べながら教えてくれたけど、王都近郊ではゴブリン自体確認されていないんだって。
 それなら、害獣駆除もとっても安全ですね。
 因みに、訓練を受けている兵は全員新人で、戦闘力はスカラさん達の方があるそうです。
 ブラウニー伯爵はとても忙しいそうなのでここでお別れして、さっそくみんなで王都郊外の街道に移動しました。

 シュイン。

「えっと、この先に六頭ほどのオオカミの群れがいます」
「よーし。じゃあ、新人は剣を構えよ」
「「「はい」」」

 探索魔法を使っても良いよとのことだったので、王都から少し歩いたところで周囲を探索します。
 標準的なオオカミなので、バッツさん曰く新人教育にはうってつけらしいです。

 ガサッ。

「「「ガウッ!」」」
「迎撃開始!」
「「「うおおおおお!」」」

 茂みから飛び出してきたオオカミに、二人一組で対応します。
 ツーマンセルは、軍の戦闘の基本だそうです。
 午前中習った通りに連携をしながら、新人兵は良い感じにオオカミを倒していきます。
 怪我をしても、スカラさんたちが直ぐに治療するのも心強い材料です。
 こんな感じで、僕が周囲を調べつつ害獣駆除を行います。
 因みに、シロちゃんが血抜きをしているので、倒したオオカミは素材としても販売可能です。
 ここで頑張れば、新人兵に取って臨時収入を得るチャンスです。

「まあ、だいたい平均的な獲物の数だな。俺やレオが本気を出すと乱獲するが、新人教育にとってはちょうど良い」
「まあ、バッツさんとレオ君は攻撃力が半端ないですから。単純な攻撃力だけなら、私よりもシロちゃんの方が上ですよ」

 新人を見守っているバッツさんとアイリーンさん曰く、僕が全面に出過ぎると新人教育の意味がないそうです。
 僕も何かあった際に魔力を残せるように、極力戦わない様にしています。
 こうして、一時間経ったところで休憩に入りました。

「皆さま、お茶でございます」
「おーおー、こんな場所で侍従の給仕を受けるとは。お前らは良い待遇だな」

 暇でしょうがないので、ジェシカさんが新人兵に飲み物やタオルを配っていました。
 中には、颯爽と働くジェシカさんにポーっと見とれちゃっている人もいますね。
 因みに新人兵もかすり傷程度なので、魔法を使わずにポーションで治療します。
 とはいえ、休憩も訓練なので交代で見張りをたてています。
 僕も周囲を検索するけど、僕たちの様子を伺っている反応はあるけど危害を加える事はないので放置するとバッツさんも言っていました。
 こうして、充分に休憩をとって害獣駆除を再開しようとした時でした。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。