上 下
385 / 524
第七章 王都

第四百八十話 突然の乱入者

しおりを挟む
 でも、お茶会の終わりにちょっとした事件が起きてしまった。

 ガチャ。

「おお、これはこれはグレッグ殿下。本日は孫娘を連れてきましたぞ」

 急に応接室のドアが開いたかと思ったら、なんとゴルゴル侯爵が小さな女の子を引き連れて入ってきた。
 突然の事で、僕だけでなくクリスちゃんとグレッグちゃんもポカーンとしちゃいました。
 しかし、大人は直ぐに動いていた。

「控えよ、ゴルゴル侯爵。そなたは屋敷謹慎中の身、何故この場にいる」
「今は、王家とフランソワーズ公爵家とのお茶会の最中である。無断で部屋に入るのは、無礼ではないか」

 うわあ、いつもはとても優しい王妃様とターニャさんが、毅然とした態度でゴルゴル侯爵に物申していた。
 普段とは違う母親の態度の変化に、グレッグちゃんとクリスちゃんは目を見開くほどビックリしていました。
 ゴルゴル侯爵はこの場に僕がいるのに気がついたみたいだけど、ターニャさんとクリスちゃんがいるからフランソワーズ公爵家が王家に来たのは間違いない。
 しかし、ゴルゴル侯爵も簡単には引き下がらなかった。

「王妃様、ターニャ様、そんな大声を出されると小さな子が驚きますぞ。それに、ポール男爵家の件は落ち着いたではありませんか」

 ゴルゴル侯爵は、連れてきた小さな女の子を盾にして王妃様とターニャさんの発言を無しにしようとしていた。
 この辺は、貴族としての巧妙さなのかもしれない。
 でも、命令違反をしているのはゴルゴル侯爵の方です。
 それに、勝手な解釈をしているのもゴルゴル侯爵です。
 王妃様は、引き下がる事なく威厳のある態度で命令しました。

「近衛騎士、ゴルゴル侯爵を命令違反で捕縛せよ。孫娘は、丁重にゴルゴル侯爵家に送り届けるように」
「「「はっ!」」」
「なっ、くそ!」

 こうして、ゴルゴル侯爵はあっという間に兵によって捕縛されていった。
 小さな女の子はポカーンとしていたけど、女性の近衛騎士が抱っこして連れて行った。
 ゴルゴル侯爵の策略に巻き込まれた形だから女の子には罪はないけど、とっても残念なことですね。
 女の子は、僕たちに手を振ってから部屋を出ていった。

「ふう、まさかあの馬鹿がこんな事をするとは。みんな、ごめんなさいね」
「もしかしたら、ゴルゴル侯爵は私たちがいるのを知ってわざと部屋に入ってきたのかもよ。フランソワーズ公爵家に、次期王妃は自分の孫娘だって見せつけたいのかも」
「「かっこよかったー!」」
「アン!」

 いつもの優しい王妃様とターニャさんに戻ったけど、二人も予想外のことで頭にきていたのかも。
 それでも、冷静に理由を分析している辺りは流石だと思いました。
 グレッグちゃんとクリスちゃんは、ユキちゃんと一緒にキリリとしていた二人に拍手を送っていた。
 そして、今度はなんと陛下が応接室に入ってきた。

「この分だと、落ち着いたみたいだな。大罪を犯した訳ではないが、ゴルゴル侯爵にはある程度の厳罰は必要だ」

 恐らく近衛騎士からゴルゴル侯爵の件を聞いたみたいだけど、本当に安心した表情だった。
 でも、これでゴルゴル侯爵一派の力は一気に落ちそうな気がしたよ。

「おとーさま、おかーさまかっこよかったー!」
「はは、そうかカッコよかったか。ノエビアは、やる時はやるからな」
「ちょっと、そんな言い方はないですわよ」

 陛下がグレッグちゃんを抱っこしながら笑顔でいるけど、ホッとしたのもありそうですね。
 王妃様はちょっと不満そうに言っているけど、僕もさっきの王妃様はカッコよかったと思うよ。
 こうして、最後に色々とあったけど何とかお茶会は終了しました。
 まだ午前中なのに、ちょっと疲れちゃったね。
 昼食をしっかりと食べて、元気を取り戻さないとね。
しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。