小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第七章 王都

第四百七十一話 ポール男爵領へ

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 翌朝、僕は一緒に同行するジェシカさんたちと荷物の整理をしていました。
 炊き出しなどで使用する、大量の荷物も持っていきます。

「じゃあ、シロちゃん宜しくね」

 シュッ。

「わあ、すごーい!」
「アン!」

 シロちゃんが大量の荷物をアイテムボックスにしまうと、クリスちゃんとユキちゃんは手を叩いて大喜びです。
 因みに同行する侍従はシロちゃんがアイテムボックスを使えるのを知っていたけど、大量の荷物をしまったという別の意味で驚いていました。
 同行する侍従はジェシカさんを含めて五人で、全員の荷物もシロちゃんがアイテムボックスに入れました。

「じゃあ、気をつけて行くのよ」
「いってらっしゃーい」

 全員が馬車に乗り込んで、ターニャさんとクリスちゃんが僕たちを見送りました。
 そして、行き先は王城でも軍の施設でもありません。
 なんと、大教会でした。
 というのも、ある事情がありました。

「レオ君、本当に済まない。また、教会の恥部をさらす事になってしまって……」

 残念な声色の正体は、騎士服を身にまとったトータス聖騎士団副団長さんです。
 というのも、教会関係者が捕まったポール男爵から賄賂を貰っていて、大教会には何も問題はないと誤った報告をしていたそうです。
 報告を受けた昨日中に教会関係者は王都に護送されたらしいけど、聖騎士団も再度教会関係者から聞き取りを行うそうです。
 なので、僕たちと一緒に移動する事になりました。
 時間も惜しいので、早速移動開始します。
 ポール男爵領までは、一時間の旅です。
 道中は何もないかと思ったら、ちょくちょくオオカミとかが出てきて聖騎士団が討伐していました。
 因みに、馬車内は誰がユキちゃんを抱っこするかという熱い戦いが繰り広げられていました。

「うーん、だいぶさみしい感じの町ですね。活気がないというか……」
「レオ君の言う通りだな。寂れている感じがするよ」

 何とかポール男爵領に着いたけど、人通りもまばらだし本当に人が住んでいるのってのが第一印象だった。
 そんな中、僕たちは教会の前に到着しました。
 何人かのシスターが、僕たちを出迎えてくれた。

「トータス副団長様、わざわざ王都よりお越しいただき申し訳ありません」
「こちらこそ、君たちには不正を見抜けず迷惑をかけた」

 対応するシスターも、若干痩せ気味なのは気にかかります。
 そして、トータス副団長さんが僕の事を紹介してくれた。

「私の横にいる少年は、レオ騎士爵だ。黒髪の天使様と言った方が、君たちは理解は早いだろう。事件の発端となった親子も、レオ君が颯爽と助けている」
「な、なんと、黒髪の天使様は貴族になられたのですね」
「しかも、相変わらず民をお救いして頂いているなんて」
「嗚呼、神は私たちを見捨ててはおりませんでしたわ」

 あ、あの、なぜか僕はシスターさんから握手攻めにあっています。
 中には、涙を流すほど感激している人もいます。
 うん、シロちゃんとユキちゃん、それにジェシカさんたちは僕たちから離れて他の聖騎士と共に炊き出しと無料治療の準備を始めています。
 でも、僕の事を助けてくれると、とってもありがたいです。
 僕とトータス副団長さんは、シスターの案内で教会の中に入りました。
 すると、僕はびっくり仰天してしまいました。

「あ、あの、教会らしくない調度品の数です……」
「大教会よりも豪華じゃないか。これは酷いな」

 絵画や彫刻などが飾られていて、まるで教会ではなく貴族の屋敷に来たみたいでした。
 そして、兵により厳重に警備されている教会の偉い人の部屋に入りました。

「「……」」

 僕だけでなく、トータス副団長さんも言葉を失ってしまいました。
 金ピカの置物や宝石がはめ込まれた動物をかたどった彫刻、はたまた物凄い豪華な司祭服までありました。
 これを見ただけで、どれだけ贅沢をしていたのかが一目で分かりました。

「これは酷い、賄賂を受け取るに足らず贅沢すぎる生活までしていたとは」
「ギルバートさんよりも、すごい服です。陛下よりも凄いかも」
「私も、これだけの贅沢を尽くした司祭服は見たことがない。情けなくて溜息が出るとは、まさにこのことだな」

 この教会にあるものは、贈収賄の証拠として王都に送られる予定です。
 でも、これは一筋縄ではいかないと僕とトータス副団長さんも思いました。
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