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第七章 王都

第四百六十八話 王都の門でのトラブルと無事の帰還

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 僕たちを乗せた馬車はバーボルド伯爵家の屋敷に到着し、朝と同じく応接室に案内されました。
 すると、今度はダンビルさんとシャンティさんが町から帰ってきて僕たちを出迎えてくれました。

「レオ君、出張治療ご苦労さま。それにしても、また大活躍したんだってね。まあ、あのヴァイス子爵は私も思うところがあったよ」
「王城でも急病人を治療したり、大教会でも工事の怪我人を治療したりと、本当に凄いわ」

 挨拶をしたら、いきなり王都の事を聞かれちゃいました。
 二人とも、身を乗り出して興味津々です。
 朝と同じになりそうだとちょっと苦笑して、僕は王都で何があったかを話しました。
 ユキちゃんが冒険者ギルドで活躍したのを話すと、ユキちゃんも少し得意げでした。

「レオ君は、間違いなく名誉爵位ではなく法衣爵位を貰うだろうね」
「私もそう思うわ。フランソワーズ公爵家の親戚になるのだし、子爵は固いと思うわ」

 そして、なぜか僕がどんな爵位を貰うかという話になっちゃいました。
 だから、僕は騎士爵で十分ですよ。
 と言っても、二人の妄想は止まりませんでした。
 こうして、たっぷり一時間お話して、僕たちは王都への帰路に着きます。

「次に会うのは来月だね。元気にしているんだよ」
「面白い話を聞けるのを、私も楽しみにしているわ」

 ダンビルさんとシャンティさんが、僕たちの乗った馬車を見送ってくれました。
 僕たちも、手を振って見送りにこたえます。
 さて、ここからまた二時間弱の馬車旅です。

「くかー、くかー」
「また、ユキちゃんは寝ちゃいましたね」
「張り切って治療をしていたので仕方ないかと」

 行きと同じく、ユキちゃんはジェシカさんに膝枕をして貰いながらお昼寝中です。
 今日は重傷者だけでなく軽傷者の治療も張り切って行っていたし、昼食後は訓練もしていた。
 最近は、仲良しのジェシカさんの膝枕で寝る事が多いですね。
 こうして、ほんわかした雰囲気の中で、僕たちを乗せた馬車は無事に王都に到着しました。

「これは、騎士爵様。遠征お疲れ様です」

 今までは冒険者カードを出して本人確認してから防壁の門を通過していたけど、騎士爵になると貴族専門の門を通過出来るから手続きはとっても簡単です。
 この点は、貴族になって良かったと思う点ですね。

 ざわざわ。

「あれ? 何かあったのですか?」
「うーん。どうやら、急病人が出たみたいですね」

 これは大変だと思い、馬車を邪魔にならない所に停めて門を警護する兵と共に人だかりのところに向かいました。
 すると、痩せている親子が倒れていました。

「大丈夫ですか? 直ぐに治療しますね」
「これは、黒髪の天使様。痛み入ります」
「「「黒髪の天使様?!」」」

 親子をみていた兵は僕の事を知っているみたいで、僕の二つ名を言った瞬間周りの人がどよめきました。
 痩せているのもあってか、体中が悪かった。
 僕とシロちゃんは、お互いに頷いて一気に魔力を溜めました。

 シュイン、シュイン、シュイン、ぴかー!

「す、すげー! これが黒髪の天使様の魔法……」
「魔法陣が、何個も浮かび上がっているぞ」
「これが、黒髪の天使様といわれる所以なのか……」

 周りの人が何かを言っているけど、僕とシロちゃんは目の間の親子に意識を集中して治療をしました。
 うん、良い感じに治療できていますね。

「これで、治療は大丈夫です。この後は、どうするんですか?」
「教会の治療施設に搬送されます。事情聴取もありますが、明日以降になるかと」

 ちょうど明日は教会の治療施設で治療を行う予定なので、タイミングが良かったのかも。
 まだ意識は取り戻せていないけど、多分大丈夫だと思います。
 あとは門を守る兵に任せて、僕たちは馬車に乗って屋敷に向かいます。

「そんな事があったのね。良いタイミングでレオ君がいて、本当に良かったわ」
「おにいさま、カッコいい!」

 フランソワーズ公爵家に到着し、応接室でターニャさんとクリスちゃんに門であった事を報告しました。
 このくらいのトラブルなら冒険者生活していた時に普通にあったし、何回も怪我人を治療したもんね。
 こうして無事にバーボルト伯爵領への出張治療は終わり、これからも一ヵ月に一回くらいのペースで行う事になりました。
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