上 下
370 / 515
第七章 王都

第四百六十五話 久々にバーボルト伯爵領に向かいます

しおりを挟む
 僕の立場はちょっと変わったけど、やることは変わりなく過ごしていました。
 王都の軍の治療も一段落し、メインは王都の大教会付属の治療施設に入院している人を治療していました。
 そして、今日は久々にバーボルド伯爵領に行って、軍の施設内にある治療施設で治療を行います。
 朝早くから準備を終えると、僕たちはジェシカさんとともに馬車に乗り込みました。

「いってきまーす」
「いってらっしゃーい」

 クリスちゃんの見送りを受けながら、僕たちを乗せた馬車はフランソワーズ公爵家を出発しました。
 二時間かからずに現地に到着する予定で、道中はのんびりと進んで行きます。
 もちろん、探索魔法を使って周囲を警戒するのも忘れません。
 でも、暇だなと思って、道中は魔法使いの本を読んでいました。

「ふしゅー、ふしゅー」
「すみません、ジェシカさん。またユキちゃんが眠っちゃって」
「いえ、お気になさらずに。朝早かったですので、致し方ないかと」

 ユキちゃんはジェシカさんに抱っこされながら、スヤスヤと気持ちよさそうに寝ていました。
 ユキちゃんは朝早いのが弱いし、到着まで時間があるのでゆっくりと寝れますね。
 道中何もなく、無事にバーボルド伯爵領に到着しました。
 最初に屋敷に行って、バーボルド伯爵家の皆さんに挨拶をします。
 屋敷に着くと、直ぐに応接室に案内されました。

「ネストさん、おはようございます」
「やあレオ君、先日ぶりだね。改めて、騎士爵の叙爵おめでとう」
「レオ君、いらっしゃい。王都に着いて、直ぐに大活躍だったわね」

 応接室には、ネストさんの他にイストワールさんもいました。
 残念ながら、ダンビルさんとシャンティさんはお仕事で町に出ているそうです。
 そしてネストさんが、キラキラした目で僕が王都でどんな活躍をしたか根掘り葉掘り聞いてきました。
 三十分くらいしか滞在していなかったんだけど、ずーっと僕が喋っていました。
 流石にネストさんがイストワールさんを止めてくれたけど、治療を始める前にちょっと疲れちゃいました。
 屋敷を後にして、今度は軍の施設に向かいます。
 事務棟に着くとマイスター師団長さんの部屋に来てくれってことだったので、ジェシカさんと一緒に執務室に向かいました。

「おはようございます、マイスター師団長さん」
「おはよう、レオ君。おや、ちょっと疲れているかい?」
「あはは……」

 さっき喋りすぎちゃったのが、マイスター師団長さんには分かっちゃったみたいです。
 幹部の人たちとも再会して、ちょっと話をすることになりました。

 ガチャ。

「おお、レオも来ていたのか。いや、レオ騎士爵様って言えばいいかい?」
「あの、バッツさん、からかっていますね?」
「ははは、流石に分かったか。しかし、あのヴァイスの馬鹿を捕まえたのなら、準男爵くらいは普通にあってもおかしくないぞ」

 豪快な笑いと共にバッツさんがはいってきたけど、僕としては騎士爵でお腹いっぱいです。
 マイスター師団長さんがこの前の謁見のことを話すと、なぜかとっても大盛りあがりでした。
 あっ、そうだ。
 マイスター師団長さんに、あのことを聞いてみましょう。

「あの、ゴルゴン侯爵って、もしかしてアマード子爵領で暴れていたあのゴルゴン男爵と親戚ですか?」
「そういえば、ゴルゴン男爵の嫡男がアマード子爵領でやらかした件にレオが絡んでいるんだよね。両家は親戚であって、考え方も似ているよ」

 やっぱりそうだったんだ。
 ゴルゴン侯爵って聞いて、どこかで聞いた記憶があったんだよね。
 でも、自分勝手なところは全く同じなんだ。

「ゴルゴン男爵家は、ある意味自滅に近い形で勢力を失っている。親戚であるゴルゴン侯爵が、レオ君に突っかかる理由の一つになっている。陛下の注意なんて気にしない連中だから、十分に気をつけた方が良い」
「そうだな。俺もあの馬鹿に会ったことがあるが、本当にどうしようもない連中だ。平気でアホなことをしてくるぞ」

 マイスター師団長さんもバッツさんも、ゴルゴン侯爵には要注意と言ってくれました。
 僕としても、あの人たちは要注意だと感じています。
しおりを挟む
感想 146

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。