359 / 585
第七章 王都
第四百五十四話 やっぱりヒルダさんは凄い人でした
しおりを挟む
大教会に到着すると、まず挨拶ということになりました。
馬車を降りて、みんなで大教会の中に入ります。
すると、前回も僕を担当してくれた治療施設担当の司祭様が出迎えてくれました。
「黒髪の天使様、本日も宜しく……」
「あら、シスターお久しぶりね。今や、司祭様になられたのですわね」
「ひ、ひ、ヒルダ様!」
予想外の人物の登場に、司祭様が大きな声をあげちゃいました。
そして、ヒルダさんのインパクトが大きすぎて、シロちゃんを抱いているクリスちゃんとユキちゃんと手を繋いでいるウェンディさんは完全にスルーされています。
司祭様が急いで偉い人を呼びに行って、慌てて教皇猊下がやってきました。
「こ、これはこれはヒルダ様、お久しぶりでございます。体調も良くなられたそうで、我々も一安心でございます」
「教皇猊下も、相変わらずお元気そうで何よりですわ。今日は、孫とともに付属治療施設の治療に訪れましたのよ」
「そうでございましたか。きっと、入院している者も喜ぶと思われますぞ」
ヒルダさんと教皇猊下がにこやかに話をしているけど、先週瀕死の重症だったヒルダさんが目の前にいるので教皇猊下ももの凄くビックリしています。
ウェンディさんとクリスちゃんも教皇猊下に挨拶をして、僕たちは治療施設に向かいました。
クリスちゃんとウェンディさんも、シロちゃんとユキちゃんと一緒に治療をするそうです。
では、早速治療を始めます。
「ひ、ヒルダ様ではないですか!」
「ふふ、今日は孫と黒髪の天使様とともに治療にきたのですよ。お体はどうですか?」
「黒髪の天使様の魔法は凄いですぞ。体中の悪いのが、いっぺんに治っちゃったぞ」
「それは良かったですわ。お大事にして下さい」
なんというか、ヒルダさんが改めて凄い人だって実感しました。
特に年配の人に絶大な人気を誇っていて、今も僕が治療したおじいさんににこやかに話をしていました。
ヒルダさんが病室に姿を現すだけで、一気に病室内が明るくなります。
そんな中、ウェンディさんとクリスちゃんも一生懸命に治療をしていきます。
シュイン、ぴかー。
「えっと、ど、どうですか?」
「良くなったわよ。ありがとうね、お嬢ちゃん」
「えへへ!」
クリスちゃんは、シロちゃんと一緒に頑張っています。
シロちゃんは治療の名手だし、クリスちゃんもお婆さんに褒められて嬉しそうにしていますね。
シュイーン、ぴかー!
「凄いな、このコボルトは。あっという間に良くなったぞ」
「ふふふ、ユキちゃんは凄腕の治癒師なんですよ」
「オン!」
ウェンディさんはというと、ユキちゃんと初めての治療なのに息のあった作業を進めています。
しかも笑顔で患者に接しているので、患者もニコニコしていますね。
こんな感じで、いつもよりかはゆっくりだけど確実に治療を進めていきます。
ヒルダさんも、シスターさんを手伝ったりしているけど、とっても手際良く作業を進めていますね。
何だか、とても慣れている感じです。
大部屋を二つ治療し終えたところで、最初の休憩です。
僕たちは、治療施設にある控え室に移動しました。
「はあ、ちょっと疲れました」
「気を張っていたのよ。甘いものを食べてましょう」
ウェンディさんは元気いっぱいだけど、クリスちゃんは疲れちゃったみたいです。
僕も、クリスちゃんの年齢の時には、治療して疲れちゃったもんね。
「ふふ、治療をしたり人と話すのはいい経験よ。色々な人と接することで、柔軟は考えが生まれるわ」
「「はい!」」
ヒルダさんは、クリスチャンとウェンディさんに貴族令嬢としての考えを伝えていました。
頭でっかちな考えだと、ヴァイス子爵みたいになっちゃうよね。
十分に休憩をとったところで、早速治療再開です。
「その、一名重傷者がおりまして。工事中の事故で、右腕を失っております」
途中案内された部屋で、シスターが沈痛な表情をしていました。
ベッドには、表情が固い中年男性が天井を見上げていました。
ここは、僕とシロちゃんの出番ですね。
シロちゃんが、クリスちゃんの腕の中からピョーンと僕の頭の上に飛んできました。
「おじさん、こんにちは。僕とシロちゃんが治療をしますね」
「坊主、いいんだ。どうせ無くなった腕は戻らない、治療したって無駄だ」
おじさんは、何だか色々なことを諦めているみたいです。
きっと職人さんだったんだけど、働けなくなって色々なことを考えちゃったんだ。
ここは、絶対に治療をしてあげないといけないね。
僕とシロちゃんは、お互いに魔力を溜め始めました。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかーーー!
「ま、眩しい! これが、レオ君の魔法……」
「おにいさま、すごーい!」
僕とシロちゃんは、一気に溜めた魔力を解放しました。
おじさんのベッドを中心として複数の魔法陣が浮かび上がり、眩しい光が病室を包み込みました。
バッチリの手応えがあったけど、果たしてどうでしょうか。
「な、なんじゃこりゃ! 腕が、右腕が生えているぞ!」
おじさんはもの凄くびっくりしていたけど、治療はバッチリ上手くいきました。
そして、びっくりしているおじさんにヒルダさんが手を握りながら優しく話しかけました。
「ふふ、流石は黒髪の天使様っていう治療ですわね。あなたは、こうしてもう一度職人として命を吹き込まれました。今まで腕を失った喪失感に絶望していたかと思いますが、その分強く逞しくなれるはずです。まずは、リハビリを頑張って下さいね」
「はい、グスッ、はい!」
おじさんは、号泣しながらだけどはっきりと返事をしていました。
こうやって言葉をかけているヒルダさんは、凛々しくてとってもカッコいいです。
こうして、途中色々ありながらも治療は順調に進んでいきました。
馬車を降りて、みんなで大教会の中に入ります。
すると、前回も僕を担当してくれた治療施設担当の司祭様が出迎えてくれました。
「黒髪の天使様、本日も宜しく……」
「あら、シスターお久しぶりね。今や、司祭様になられたのですわね」
「ひ、ひ、ヒルダ様!」
予想外の人物の登場に、司祭様が大きな声をあげちゃいました。
そして、ヒルダさんのインパクトが大きすぎて、シロちゃんを抱いているクリスちゃんとユキちゃんと手を繋いでいるウェンディさんは完全にスルーされています。
司祭様が急いで偉い人を呼びに行って、慌てて教皇猊下がやってきました。
「こ、これはこれはヒルダ様、お久しぶりでございます。体調も良くなられたそうで、我々も一安心でございます」
「教皇猊下も、相変わらずお元気そうで何よりですわ。今日は、孫とともに付属治療施設の治療に訪れましたのよ」
「そうでございましたか。きっと、入院している者も喜ぶと思われますぞ」
ヒルダさんと教皇猊下がにこやかに話をしているけど、先週瀕死の重症だったヒルダさんが目の前にいるので教皇猊下ももの凄くビックリしています。
ウェンディさんとクリスちゃんも教皇猊下に挨拶をして、僕たちは治療施設に向かいました。
クリスちゃんとウェンディさんも、シロちゃんとユキちゃんと一緒に治療をするそうです。
では、早速治療を始めます。
「ひ、ヒルダ様ではないですか!」
「ふふ、今日は孫と黒髪の天使様とともに治療にきたのですよ。お体はどうですか?」
「黒髪の天使様の魔法は凄いですぞ。体中の悪いのが、いっぺんに治っちゃったぞ」
「それは良かったですわ。お大事にして下さい」
なんというか、ヒルダさんが改めて凄い人だって実感しました。
特に年配の人に絶大な人気を誇っていて、今も僕が治療したおじいさんににこやかに話をしていました。
ヒルダさんが病室に姿を現すだけで、一気に病室内が明るくなります。
そんな中、ウェンディさんとクリスちゃんも一生懸命に治療をしていきます。
シュイン、ぴかー。
「えっと、ど、どうですか?」
「良くなったわよ。ありがとうね、お嬢ちゃん」
「えへへ!」
クリスちゃんは、シロちゃんと一緒に頑張っています。
シロちゃんは治療の名手だし、クリスちゃんもお婆さんに褒められて嬉しそうにしていますね。
シュイーン、ぴかー!
「凄いな、このコボルトは。あっという間に良くなったぞ」
「ふふふ、ユキちゃんは凄腕の治癒師なんですよ」
「オン!」
ウェンディさんはというと、ユキちゃんと初めての治療なのに息のあった作業を進めています。
しかも笑顔で患者に接しているので、患者もニコニコしていますね。
こんな感じで、いつもよりかはゆっくりだけど確実に治療を進めていきます。
ヒルダさんも、シスターさんを手伝ったりしているけど、とっても手際良く作業を進めていますね。
何だか、とても慣れている感じです。
大部屋を二つ治療し終えたところで、最初の休憩です。
僕たちは、治療施設にある控え室に移動しました。
「はあ、ちょっと疲れました」
「気を張っていたのよ。甘いものを食べてましょう」
ウェンディさんは元気いっぱいだけど、クリスちゃんは疲れちゃったみたいです。
僕も、クリスちゃんの年齢の時には、治療して疲れちゃったもんね。
「ふふ、治療をしたり人と話すのはいい経験よ。色々な人と接することで、柔軟は考えが生まれるわ」
「「はい!」」
ヒルダさんは、クリスチャンとウェンディさんに貴族令嬢としての考えを伝えていました。
頭でっかちな考えだと、ヴァイス子爵みたいになっちゃうよね。
十分に休憩をとったところで、早速治療再開です。
「その、一名重傷者がおりまして。工事中の事故で、右腕を失っております」
途中案内された部屋で、シスターが沈痛な表情をしていました。
ベッドには、表情が固い中年男性が天井を見上げていました。
ここは、僕とシロちゃんの出番ですね。
シロちゃんが、クリスちゃんの腕の中からピョーンと僕の頭の上に飛んできました。
「おじさん、こんにちは。僕とシロちゃんが治療をしますね」
「坊主、いいんだ。どうせ無くなった腕は戻らない、治療したって無駄だ」
おじさんは、何だか色々なことを諦めているみたいです。
きっと職人さんだったんだけど、働けなくなって色々なことを考えちゃったんだ。
ここは、絶対に治療をしてあげないといけないね。
僕とシロちゃんは、お互いに魔力を溜め始めました。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかーーー!
「ま、眩しい! これが、レオ君の魔法……」
「おにいさま、すごーい!」
僕とシロちゃんは、一気に溜めた魔力を解放しました。
おじさんのベッドを中心として複数の魔法陣が浮かび上がり、眩しい光が病室を包み込みました。
バッチリの手応えがあったけど、果たしてどうでしょうか。
「な、なんじゃこりゃ! 腕が、右腕が生えているぞ!」
おじさんはもの凄くびっくりしていたけど、治療はバッチリ上手くいきました。
そして、びっくりしているおじさんにヒルダさんが手を握りながら優しく話しかけました。
「ふふ、流石は黒髪の天使様っていう治療ですわね。あなたは、こうしてもう一度職人として命を吹き込まれました。今まで腕を失った喪失感に絶望していたかと思いますが、その分強く逞しくなれるはずです。まずは、リハビリを頑張って下さいね」
「はい、グスッ、はい!」
おじさんは、号泣しながらだけどはっきりと返事をしていました。
こうやって言葉をかけているヒルダさんは、凛々しくてとってもカッコいいです。
こうして、途中色々ありながらも治療は順調に進んでいきました。
1,593
お気に入りに追加
5,426
あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」
「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」
「ま、まってくださ……!」
「誰が待つかよバーーーーーカ!」
「そっちは危な……っあ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。