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第七章 王都

第四百四十七話 ハンブルク男爵家へ

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 僕たちはそれぞれ馬車に乗って、目的地であるハンブルク男爵家に向かいます。
 大教会からハンブルク男爵家まではとても近く、十分かからずに到着しました。
 既に何かあるかもと門兵に伝えていたらしく、僕たちはすんなりと屋敷の中に入ることが出来ました。
 なので、傍目から見ると普通に屋敷に貴族が訪れた感じで、騒ぐことは全くありませんでした。

「皆さま、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

 馬車を降りると、僕たちを侍従が出迎えました。
 そのまま、応接室に案内されました。
 応接室には、ジーナさんと同じ水色の髪を短く刈り上げた凛々しい男性が立って待っていました。
 筋肉質な体型で、如何にも軍人って感じです。

「皆さま、お忙しいところ当家においで頂きありがとうございます。ハンブルク家当主のガスターと申します。どうぞ、お座り下さいませ」

 ガスターさんの案内で、僕たちはソファーに座りました。
 ガスターさんはジーナさんとアイコンタクトをしているけど、きっと教会で話をしたのを確認したんですね。
 なので、いきなり本題に入りました。

「皆さま、この度はハンブルク男爵家がご迷惑をおかけし、大変申し訳ありません。仔細をまとめた資料は、こちらになります。また、父と共に不正を行っていた執事や家臣は、監視をつけた上で部屋に監禁しております」
「うむ、手際よく対応している。先に資料を確認しよう」

 チャーリーさんが資料を受け取り、ギルバートさんとブランドルさんと一緒に資料を確認します。
 僕とシロちゃんはやることがないので、目の前にあるジュースを飲んでいます。
 すると、ブランドルさんがニヤリとしました。

「うむ、まさに追いかけていた件の証拠となる。我々が集めた資料とも合致するし、重要な証拠だ。これで、三家に強制捜査できるぞ」
「えっ、三家なのですか? 我が家は捜索しないのですか?」
「そなたが監視している家臣の聴取が先だ。ここまで証拠を整えていて、不審な家臣を拘束している。当主として、十分すぎる働きだ」

 ブランドルさんは、直ぐに一緒についてきた部下にあれこれ指示を出しました。
 一方、ガスターさんは自分は捕まると思っていたので、まだ現状に納得していません。
 そこで、チャーリーさんが話をすることになりました。

「ガスターよ、貴族は面倒くさい生き物でプライドの塊だ。自分の父親の罪を認めるのは評価できよう。それに、資金提供は脅迫の疑いがあるから、現時点では判断はできない。沙汰が決まるまでは軍の職務を停職し屋敷にいてもらうが、一連の行為は自首と認めるに足りる」
「宰相閣下、畏れ入ります」
「皆さま、ありがとうございます」

 ガスターさんとジーナさんは、立ち上がって深く頭を下げました。
 何らかの処分を受けるのは間違いないけど、この感じでいけば取り潰しはなさそうです。
 こうして、屋敷に入って僅かの時間で対応が決まりました。
 すると、ここでギルバートさんがとあることを言いました。

「通信用魔導具で陛下に連絡をしたところ、ガスターとジーナも王城に来てほしいとのことだ。軍が到着して、執事などを護送したら王城に行こう」
「もちろんでございます。陛下にも謝らないとなりません」

 これで、色々なことが決着しそうです。
 シロちゃんと共に良かったと思っていたら、ギルバートさんがビックリすることを言ってきました。

「レオ君も一緒に王城に来てほしいそうだ。レオ君が間に入って解決したから、褒めたいと言っている」
「えー!」
「それは間違いない。何せジーナ嬢は、教皇猊下でもなく黒髪の天使様に罪の告白をしたのだからな」

 トータス副団長さんもうんうんと頷いていて、チャーリーさんとブランドルさんも当たり前でしょうという表情をしています。
 あの、僕はただお話を聞いただけですよ。
 ガスターさんもジーナさんも、そうだと同意しないで下さいよ。
 僕はとほほってなっちゃって、シロちゃんは触手で僕の肩をちょんちょんとして慰めてくれました。
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