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第七章 王都
第四百四十五話 ジーナさんの告白
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そして大体七十人くらい治療したところで、僕の魔力が残り少なくなっちゃいました。
残念だけど、今日はここまでですね。
「すみません、今日はここまでです。僕だけでなく、シロちゃんとユキちゃんも魔力が残り僅かです」
「ご無理はなさらないで下さいませ。建設現場で起きた重傷者だけでなく、皆さまで町の方を二百人以上おすくいになられただけでも凄いことです」
「やはり、黒髪の天使様は物凄い方なのですね……」
シスターさんが飲み物を持ってきてくれたので少し休んでいたけど、今度はあの女性と話をしないと。
他の面々も一緒に話を聞くということになったので、みんなで教会の中に入ります。
すると、女性の他に教皇猊下とトータス副団長さんが教会内で待っていました。
流石に教会内ではということになったので、個室に案内されました。
「この部屋はひと払いしておる。そなたも座るがよい」
「申し訳ございません。失礼いたします」
教皇猊下は、ジェシカさんにもソファーに座るように勧めた。
人数が限られているのもあるけど、ジェシカさんが抱いているものもありました。
「ふしゅー、ふしゅー」
「今日は張り切って治療をしたので、ユキちゃんも疲れちゃったみたいです」
「ははは、魔物といえどもまだまだ子どもだ。寝る子は育つというものだ」
治療で疲れちゃったユキちゃんが、ジェシカさんに抱きついたままぐっすりと寝ちゃいました。
トータス副団長さんがユキちゃんの頭を撫でても、全く起きる気配はありません。
ユキちゃんは、このまま寝かせてあげましょう。
時間も限られているので、さっそく話をしましょう。
「黒髪の天使様、私はハンブルク男爵家のジーナと申します。まず初めに、教皇猊下に他の三名が無断で帰った事を謝罪いたします。その、三人は黒髪の天使様をからかったことに加えてライサ様の一件もありますので、黒髪の天使様に報復を受けるのではないかと言っておりました」
「えっ、僕はそんなことはしないですよ。それに、三人の顔色が段々と悪くなったので病気になっちゃったのかなと思っていました」
「レオ君は、本当に心優しいのう。儂は何となく分かっておったが、自らの罪を懺悔すると思っていたが保身に走ってしまったか」
教皇猊下だけでなく、トータス副団長さんも深く頷いていました。
ジーナさんも申し訳ないと言っているけど、教皇猊下がとりなしていました。
そして、話はジーナさんの実家であるハンブルク男爵家の話になりました。
「ご存知の通り、我が家はヴァイス子爵の配下に入っております。しかし、特にヴァイス子爵と距離の近かった父が昨年亡くなって兄が後を継いでからは、ヴァイス子爵の野望は現実的でないと距離を取り始めております。それでも、ヴァイス子爵からの圧力は変わらず続き、将来の陞爵の為と資金提供を要求されました」
なるほど、現在のジーナさんのお兄さんに当主が変わってから色々と動き出していたんだ。
僕もヴァイス子爵を見ているから、無謀な夢に向かって暴走はしたくないなあ。
そしてジーナさんは、真剣な表情で姿勢を正して僕に向き直りました。
「黒髪の天使様にお願いがございます。我が兄を、ヴァイス子爵と同じく逮捕して下さい。兄は元々今まであった事をまとめており、ヴァイス子爵が逮捕されたのを期に更に情報を追加いたしました」
「そういえば、男爵家の四家は決定的な罪状が掴めていないって聞いています」
「はい、その通りです。兄の情報には、四家の罪が記載されております」
う、うーん、これは困った。
確かに僕はブランドルさんと一緒にヴァイス子爵を捕まえたけど、あの時は陛下の命令もあったもんね。
僕が悩んでいると、教皇猊下が手助けをしてくれました。
「この話は、ここにいるだけの面々では決められぬ。関係者を教会に呼ぶようにしよう」
「では、私が参ります」
「教皇猊下、お手数をおかけし申し訳ございません」
「このくらいはなんてことはない。ジーナ、今のそなたは紛れもなく迷える子羊だ。導くのは我々の仕事だ」
トータス副団長さんが関係者を呼ぶために部屋の外に出て、ジーナさんは少しホッとしていました。
そんなジーナさんに、教皇猊下はとある質問をしてきました。
「ジーナよ、もし兄が捕まった際にそなたはどうするつもりでいるのか?」
「可能でしたら、神の道に進みたいと思っております。しかし、叶わぬ場合は侍従でも何でもしたいと覚悟を決めております。屋敷の侍従への保証も、兄は考えております」
「そこまで考えているのなら、何も問題はないだろう。そなたは献身的に奉仕作業を行っている。それは大教会内にいる面々も、そしてハンナも十分に認めている」
ジーナさんもお兄さんも、万が一のことを考えているんだ。
僕としては、出来るだけ穏便に済ませられたらと思っています。
力技で逮捕するのは、ヴァイス子爵だけで十分です。
残念だけど、今日はここまでですね。
「すみません、今日はここまでです。僕だけでなく、シロちゃんとユキちゃんも魔力が残り僅かです」
「ご無理はなさらないで下さいませ。建設現場で起きた重傷者だけでなく、皆さまで町の方を二百人以上おすくいになられただけでも凄いことです」
「やはり、黒髪の天使様は物凄い方なのですね……」
シスターさんが飲み物を持ってきてくれたので少し休んでいたけど、今度はあの女性と話をしないと。
他の面々も一緒に話を聞くということになったので、みんなで教会の中に入ります。
すると、女性の他に教皇猊下とトータス副団長さんが教会内で待っていました。
流石に教会内ではということになったので、個室に案内されました。
「この部屋はひと払いしておる。そなたも座るがよい」
「申し訳ございません。失礼いたします」
教皇猊下は、ジェシカさんにもソファーに座るように勧めた。
人数が限られているのもあるけど、ジェシカさんが抱いているものもありました。
「ふしゅー、ふしゅー」
「今日は張り切って治療をしたので、ユキちゃんも疲れちゃったみたいです」
「ははは、魔物といえどもまだまだ子どもだ。寝る子は育つというものだ」
治療で疲れちゃったユキちゃんが、ジェシカさんに抱きついたままぐっすりと寝ちゃいました。
トータス副団長さんがユキちゃんの頭を撫でても、全く起きる気配はありません。
ユキちゃんは、このまま寝かせてあげましょう。
時間も限られているので、さっそく話をしましょう。
「黒髪の天使様、私はハンブルク男爵家のジーナと申します。まず初めに、教皇猊下に他の三名が無断で帰った事を謝罪いたします。その、三人は黒髪の天使様をからかったことに加えてライサ様の一件もありますので、黒髪の天使様に報復を受けるのではないかと言っておりました」
「えっ、僕はそんなことはしないですよ。それに、三人の顔色が段々と悪くなったので病気になっちゃったのかなと思っていました」
「レオ君は、本当に心優しいのう。儂は何となく分かっておったが、自らの罪を懺悔すると思っていたが保身に走ってしまったか」
教皇猊下だけでなく、トータス副団長さんも深く頷いていました。
ジーナさんも申し訳ないと言っているけど、教皇猊下がとりなしていました。
そして、話はジーナさんの実家であるハンブルク男爵家の話になりました。
「ご存知の通り、我が家はヴァイス子爵の配下に入っております。しかし、特にヴァイス子爵と距離の近かった父が昨年亡くなって兄が後を継いでからは、ヴァイス子爵の野望は現実的でないと距離を取り始めております。それでも、ヴァイス子爵からの圧力は変わらず続き、将来の陞爵の為と資金提供を要求されました」
なるほど、現在のジーナさんのお兄さんに当主が変わってから色々と動き出していたんだ。
僕もヴァイス子爵を見ているから、無謀な夢に向かって暴走はしたくないなあ。
そしてジーナさんは、真剣な表情で姿勢を正して僕に向き直りました。
「黒髪の天使様にお願いがございます。我が兄を、ヴァイス子爵と同じく逮捕して下さい。兄は元々今まであった事をまとめており、ヴァイス子爵が逮捕されたのを期に更に情報を追加いたしました」
「そういえば、男爵家の四家は決定的な罪状が掴めていないって聞いています」
「はい、その通りです。兄の情報には、四家の罪が記載されております」
う、うーん、これは困った。
確かに僕はブランドルさんと一緒にヴァイス子爵を捕まえたけど、あの時は陛下の命令もあったもんね。
僕が悩んでいると、教皇猊下が手助けをしてくれました。
「この話は、ここにいるだけの面々では決められぬ。関係者を教会に呼ぶようにしよう」
「では、私が参ります」
「教皇猊下、お手数をおかけし申し訳ございません」
「このくらいはなんてことはない。ジーナ、今のそなたは紛れもなく迷える子羊だ。導くのは我々の仕事だ」
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そんなジーナさんに、教皇猊下はとある質問をしてきました。
「ジーナよ、もし兄が捕まった際にそなたはどうするつもりでいるのか?」
「可能でしたら、神の道に進みたいと思っております。しかし、叶わぬ場合は侍従でも何でもしたいと覚悟を決めております。屋敷の侍従への保証も、兄は考えております」
「そこまで考えているのなら、何も問題はないだろう。そなたは献身的に奉仕作業を行っている。それは大教会内にいる面々も、そしてハンナも十分に認めている」
ジーナさんもお兄さんも、万が一のことを考えているんだ。
僕としては、出来るだけ穏便に済ませられたらと思っています。
力技で逮捕するのは、ヴァイス子爵だけで十分です。
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