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第七章 王都

第四百四十二話 僕に何かを言ってきた三人

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「すみません、今日一日宜しくお願いします」
「「黒髪の天使様、宜しくお願いします!」」

 トータス副団長さんが聖騎士に話をしたところ、誰が僕の護衛につくかで壮絶なじゃんけん大会が開かれました。
 結果、筋肉ムキムキな男性二人が僕たちの護衛につくことになりました。
 何と、この二人はセルカーク直轄領にも同行したらしく、僕は全然知らなかったんだけど会ったことがあるそうです。
 これは、とても心強いですね。
 因みに、じゃんけん大会に負けた聖騎士は、特に女性騎士を中心にかなり悔しがっていたそうです。
 ではでは、さっそく奉仕活動を始めましょう。

「最初に、礼拝に訪れる人を席に案内します。礼拝が終了次第、炊き出しと無料治療を行います」
「礼拝の際ですが、教皇猊下が是非とも一緒にお祈りをして欲しいそうです」

 聖騎士がこの後の流れを教えてくれたけど、町の人を席に案内してみんなと一緒にお祈りをすれば良いんだね。
 僕だけでなく、シロちゃんとユキちゃんもふんすってやる気満々です。
 既に多くの人が教会内に入ってきたので、僕も聖騎士とともに案内します。

「前の方に詰めて座って下さい。まだまだ、席はありますよ」
「あら、可愛らしい男の子ね」
「一生懸命に手伝っていて、とても偉いわ」

 特に年配の人やおばちゃんに頭を撫でられながら、僕は周りの人に一生懸命声をかけます。
 シロちゃんとユキちゃんも、ジェシカさんと一緒に人を案内しています。
 小さなコボルトがスライムと一緒に一生懸命動いているので、町の人も目を細めていますね。
 そんな中、四人組のドレスを着た貴族令嬢と思わしき人が僕の背後を通りました。

「ふふ、ちびが何をしているのかしら?」
「きっとどこかの商人の子どもでしょう。下級魔物を従魔にする程度ですから」
「私たち貴族令嬢とは違う、下賤なものなのですから」

 ビックリすることを言われたので思わず振り返ると、赤髪のロングヘア、茶髪のボブカット、紫色のセミロングの三人がニヤニヤと笑いながら通り過ぎて行きました。
 僕のことを馬鹿にしたのは、目に見えています。
 一人だけ、水色のショートカットの女性が僕にペコペコと謝っていました。
 えーっと、もしかしなくてももしかして……

「黒髪の天使様、あの四人が例の子爵家の令嬢です。謝っていたものは男爵家として歴史が浅いので、他の三人に良いように使われております」
「僕も、何となく理解しました。でも、全員問題がある訳ではないのですね」
「あの一名は、ライサ様と同じく熱心に奉仕活動をしております」

 うーん、家の事があるとはいえ、今は四人ではなく三人に要注意です。
 シロちゃんとユキちゃんだけでなく、ジェシカさんや聖騎士も少し警戒していますね。
 そうこうしている間に、多くの人が席に座りました。
 僕たちは、他のシスターさんや聖職者と同じく壁際に移動しました。
 これから、礼拝が始まるんですね。
 すると、教皇猊下が一歩前に出ました。
 そして、何故か僕の方をちらりと見ました。

「安息日の礼拝に集まって頂き、皆に感謝する。神もお喜びだろう。そして、本日は素晴らしい方が教会に来て頂いた。王国内各地で尊い逸話を残した、黒髪の天使様ことレオ君だ」

 ざわざわざわ。

 えー!
 いきなり僕のことを呼んだので、教会内が物凄くざわついています。
 そんな中、僕は聖騎士の案内を受けて教皇猊下の方に歩いていきました。
 すると、町の人が一斉に手を組んで祈りだしてしまいました。
 ジェシカさんと一緒に残ったシロちゃんとユキちゃんも、町の人の真似をして手を組んで祈っています。
 一方、僕に謝った貴族令嬢は僕の正体に気が付いていたみたいですが、残りの三人は「はっ?」って表情をしながら固まっています。
 三人の表情を見た瞬間、ちょっと吹き出しそうになりました。

「いま王都を震撼させている貴族の問題があり、熱心に活動をしていたブランフォード子爵家令嬢が参加できなくなってしまった。そんな境遇を知ったレオ君は、ブランフォード子爵家令嬢の代わりとして自ら奉仕活動に参加すると名乗り出たのだ」
「おお、何という尊いお心なのか」
「流石は、黒髪の天使様だ」
「まだ幼いのに、自ら神の為に働こうとしたのか」
「本当の天使様ではないでしょうか」

 教皇猊下が僕が奉仕活動に参加した理由を説明すると、教会内が更にざわめきだしました。
 でも、聖騎士や他の聖職者は、ただうんうんと頷いていました。
 一方、僕に色々な事を言った三人は、心なしか顔が青くなっていました。
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