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第七章 王都

第四百三十九話 暫く屋敷にいる事に

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 翌日も、僕たちは軍の治療施設で治療を行います。
 クリスちゃんたちもついて行きたかったみたいだけど、ヴァイス子爵の件でまだ情勢不安があるので泣く泣く断念です。
 そんなクリスちゃんに見送られて、僕たちは出発しました。

「早く治安が良くなって、クリスちゃんも一緒に治療に来られたら良いですね」
「他の貴族令嬢の方も、残念ながら安全面を考慮して福祉活動を一時中止しているそうです」

 うーん、予想以上にヴァイス子爵の問題が大きくなっているんだ。
 ライサさんの件もあるし、本当に早く事態が落ち着いてくれればいいなあ。
 ジェシカさんとそんな事を話しながら、僕たちは軍の施設に到着しました。
 今日も、昨日と同じ兵が案内役としてついてくれました。

「我々軍部にとって、今回の事件は本当に不甲斐なく思っております。市民を守るべき軍人が、市民に危害を加えたのですから」

 案内をしてくれる兵も、少し悔しさを表情ににじませています。
 ヴァイス子爵は、経緯はどうであれ軍の幹部です。
 同じ軍人であるブランフォード子爵に危害を加えたばかりか、不正ポーション事件にも関与してヒルダさんを重症にさせたんです。
 ナンシー侯爵も昨日複雑な表情を見せていたし、本当に軍は大変な状況ですね。
 僕は僕で、出来る事を頑張ろう。
 という事で、今日は最初に大部屋に入院している人から治療を始めます。

「俺もリハビリをして、一日も早く現場復帰しないと。こんなところで休んでいる暇はないぞ」
「ああ、そうだな。こんな大事件が起きているのに、ベッドで寝ているだけなんて軍人の恥だぞ」

 僕が治療をする軍人は、口を揃えて早く現場復帰したいと言っていました。
 ここ数日詳しい情報が公表されて、本人たちも色々思う事もあるそうです。
 僕たちとしては、治療を進めることで事件の捜査の手助けになっていると思っています。
 こうして、二時間かけて大部屋に入院している軍人の治療を終えて、まだ魔力があったので個室に入院している軍人の治療を終えました。
 昨日治療した司令官さんみたいに手足の切断をしている人はいなかったので、思った以上に早く治療が終わりました。

「あの、我々としては二週間かかるのではとの懸念を持っておりました。僅か二日で入院患者を全て治療して頂き、本当に感謝申し上げます」
「あの、次に入院する人が揃うのはいつ頃になりますか?」
「自宅療養しているものが入院しますので、恐らく一週間後かと思われます」

 退院や原隊復帰の手続きもあるので、受け入れる側も大変なんだって。
 でも、目の前に怪我をしている人がいるのなら僕たちは頑張って治療をするだけです。
 こうして軍の治療施設での治療は無事に終わりました。
 そして、冒険者ギルドで手続きを終えて屋敷に戻ると、出迎えてくれたターニャさんがある事を教えてくれました。

「レオ君、お帰りなさい。そうそう、今週のお茶会が全て中止になったわ」
「ただいま戻りました。今週行く人は全員軍のお偉いさんなので、中止になっても仕方ないですね」
「ナンシー侯爵家に関しては先代夫人を助けたってのもあるけど、中止になった一番の理由が治安の悪化の懸念ね。やっぱり、ヴァイス子爵の子飼いの貴族が怪しい動きを見せているそうよ」

 他家の貴族令嬢の福祉活動も止まっちゃったけど、安全を考慮してお茶会まで中止になるとは。
 この間、ヒルダさんが来た後にマイスター師団長さんのところに行く予定だったけどこれも再調整だそうです。
 うーん、中々上手くいかないですね。
 僕も、ヴァイス子爵を捕まえたみたいに冒険者として依頼がかかる可能性があるそうなので、元々予定が決まっていた安息日以外はフランソワーズ公爵家で待機するそうです。
 今週の治療予定を全て終えられたので、僕としてはホッとしています。

「じゃあ、レオ君はクリスたちと一緒に勉強をするようにしましょう。せっかく時間が余っているからね」
「僕も勉強を教えてくれるのはとっても助かります」
「レオ君は、本当に素直な子ね。じゃあ、昼食にしましょう」

 こうして、僕は暫くフランソワーズ公爵家にいる事になりました。
 早く事件が解決してほしいなあ。
 因みに、ウェンディさんたちは僕と一緒に勉強する事になってがっくりとしていました。
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