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第七章 王都

第四百三十四話 元気になったヒルダさん

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 ギルバートさんがお仕事をしている間、僕は魔法の本を読んで過ごしていました。
 商務大臣だけあって本当に忙しく働いていて、常に沢山の部下に指示を出していました。
 そして、日もどっぷりと暮れた頃、ギルバートさんが僕に話しかけました。

「レオ君、待たせてすまなかった。そろそろ行こうか」

 ギルバートさんが今日のお仕事を終えて、帰り支度を始めました。
 僕も、魔法の本を魔法袋にしまって立ち上がったタイミングでした。

 ガチャ。

「おお、ここにおったか。私も一緒に屋敷に行っても良いかな」
「もちろんですとも。奥様のご様子を見ないとなりませんぞ」

 チャーリーさんが執務室に入ってきて、僕たちに声をかけました。
 ヒルダさんは、チャーリーさんの奥さんだから心配で堪らないよね。
 さっそく馬車に乗り込んで、屋敷に向かいます。
 王城から屋敷が近いので、あっという間に到着しました。
 屋敷に帰るとみんな食事中だというので、僕たちも食堂に向かいました。

 ガチャ。

「あら、お帰りなさい。あなたも一緒だったのね」
「おかえりー」
「アオン」

 そこには、もりもりと夕食を食べているヒルダさんの姿がありました。
 ユキちゃんと一緒にクリスちゃんたちも夕食を食べているけど、僕もギルバートさんも、もちろんチャーリーさんも思わずポカーンとしちゃいました。

「ヒルダ、もう調子はいいのかね?」
「ええ、すっかり良くなりましたわ。目が覚めたらお腹も空いてしまって、恥ずかしながらこの通りですわ」
「そ、そうか。それは良かった……」

 ヒルダさんの元気な姿を見て、チャーリーさんは思わず力が抜けちゃいました。
 そりゃ、一時意識不明って話を聞いていたもんね。
 僕も、とっても安心しました。
 もう食べ終わるそうなので、応接室に行って話をすることになりました。
 クリスちゃんたちも、一緒についてくるそうです。

「まずは、レオ君にお礼を申し上げます。命を救って頂き、本当にありがとう」

 応接室に集まって、開口一番ヒルダさんが僕にお礼を言いました。
 その姿は、貴族当主夫人そのものでした。

「僕もヒルダさんを治療できて、本当によかったです。やっぱり、元気になった方が良いですね」
「ここ数日の体の不調も良くなり、食事も美味しく食べられましたわ。これも、レオ君のおかげね」

 ヒルダさんも、体の調子が良くなってとっても良い笑顔になっています。
 でも、治ったばかりなので、今夜はこのまま屋敷に残るそうです。
 僕としても、そっちの方が良いと思います。
 そして、チャーリーさんが今後について話をしました。

「主犯のヴァイス子爵を捕まえたが、子飼いの貴族がまだ残っている。レオ君も、冒険者として依頼を受ける際は十分に気をつけるように」
「忠告ありがとうございます。明日は軍の治療施設で活動しますけど、特に行き帰りは気をつけるようにします」

 チャーリーさんの言うことはもっともだし、バーボルト伯爵領では軍の施設内で襲われちゃったもんね。
 何があるかまだ分からないから、十分に気をつけないと。
 すると、今度はギルバートさんが僕に話しかけてきました。

「レオ君は王都の軍の施設に初めて行くから、馬車で移動する方が良いだろう」

 ここは、素直にギルバートさんの提案を受け入れよう。
 確かに、僕は王都の軍の施設の位置が分からないもんね。
 その他にも色々な話をして、チャーリーさんは屋敷に帰って行きました。
 ふう、今日は色々あったから疲れちゃった。

「おにいさま、ヘロヘロ?」
「うん、流石に疲れちゃったよ。最後のヴァイス子爵を捕まえた時に、沢山魔法を使っちゃったんだ」
「ねーねー、どうやって悪い貴族を捕まえたの?」
「あっ、私も聞きたいな。悪の貴族を華麗に倒すレオ君の活躍を知りたいわ」
「僕も、話を聞きたいよ。きっと凄いことが起きているはずだよ」

 ここで、クリスちゃんを始めとするヴァイス子爵を捕まえた状況を知らない面々が、興味津々で僕に聞いてきました。
 僕は、夕食の準備ができるまでの間、ヴァイス子爵をどうやって捕まえたかを簡単に話しました。
 やっぱり、二階のバルコニーに大ジャンプしたところは、他の人もとっても驚いていました。
 でも、僕は空を飛べるからそれくらい普通だねってことで、うんうんと頷いていました。
 そんな中、ヒルダさんは僕の話をニコニコしながら聞いていました。
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