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第七章 王都

第四百三十話 僕も会議を聞きます

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 す、直ぐに挨拶をしないと。
 僕は、急いでその人に挨拶をしました。

「あ、あのあの。初めまして、レオといいまふ」
「ふふ、慌てなくて結構だ。余はアーサー、このシェルフィード王国の国王だ。妻より、レオは面白い人材だと聞いておる」

 あわあわ、いきなり挨拶しちゃったから盛大に噛んじゃった!
 陛下はとっても良い人だったから、僕の噛み噛みの挨拶でもニコリとしてくれた。
 他の人たちは、顔を真っ赤にした僕を見てクスッとしています。
 そして、ターニャさんが僕に話しかけてきました。

「皆さま、私はこれにて失礼いたします。レオ君、先に帰って報告してくるわ」
「ターニャさん、宜しくお願いします」
「レオ君は、私とともに屋敷に帰るとしよう。ターニャ、後は任せたぞ」

 ターニャさんも、屋敷に行って状況を伝えるそうです。
 屋敷にいる人も、状況が分かれば安心するよね。
 円卓に座る人は決まっているので、僕は壁際に用意されている椅子に座ります。
 そして、陛下が会議に先立ち話をしました。

「さて、本来であれば各部署の報告のみで済むはずだった。しかしながら王都を、いや王国を揺るがす事件が起きた。貴族平民の命を脅かすものを野放しにしてはならない。関連部署は、連携して早急に対応をするように」
「「「畏まりました」」」

 陛下の言葉に、閣僚が立ち上がって頭を垂れました。
 調査をする軍はもちろんのこと、売られていたのでギルバートさんの商務もそうだし、宰相のチャーリーさんも動くことになる。
 仮に貴族が絡んでいるとなると、内務なども対応にあたるそうです。
 そして、今度はチャーリーさんが立ち上がりました。

「それでは、会議を始める。順に、各部署は報告を行うように」

 各部署の大臣と担当者が、資料を手にしながら報告を始めました。
 僕には関係ないだろうなと思っていたら、完全に予想外の事態になった。

「レオ君の治療により千人近い兵が部隊復帰となった。王都からも治療が必要な兵を送り込んだが、ほぼ全て治療を終えております」
「レオ君が考案した、製造時にポーションの鑑定を行う魔導具の検証がほぼ完了しました。製造コストがどれだけかかるか、確認作業を行なっております」

 えーっと、なんで僕が絡んだことが報告されているのだろうか?
 陛下も報告を聞いて、うんうんと頷いています。
 そして、一番ビックリしたのは内務関連の報告でした。

「レオ殿への勲章授与ですが、来週の安息日前を予定しております。ただ、今回の事件の進捗次第では、名誉男爵の授与を行っても良いかと。騎士爵の授与は確定しております」
「名誉爵位とはいえ、ネチネチとケチをつけるものがおるからのう。騎士爵は一代限りだから、そのまま進めるように」

 あ、あのあの、名誉とはいえ爵位ってどういうことですか?
 僕は勲章の授与しか話を聞いていなかったので、全く状況が分からなかった。
 すると、わちゃわちゃしちゃった僕に、チャーリーさんが苦笑しながら話し始めた。

「レオ君、ビックリしているけど、このくらいの爵位が与えられるのは当然だよ。それだけの功績を積み上げたのだし、名誉爵位は扱いは平民だから他の貴族も文句は言いずらいよ」

 僕のことを、かなり気を使ってくれたんだ。
 ということなら、このままお受けするのが良さそうです。
 その後も報告が続いていき、二十分ほどで全ての報告が終わったタイミングでした。

 コンコン、ガチャ。

「失礼いたします、ポーションの鑑定結果を報告いたします。複数回鑑定を行い、全て不良品と判定されました。また、商会経由で製造元が判明し、現在軍による捜査を行なっております」
「ご苦労。裏で繋がっているものがいるはずだから、必ず突き止めるように」
「はっ」

 陛下の指示を受けて、直ぐに兵が部屋から出ていきました。
 コバルトブルーレイク直轄領でもバーサス子爵が裏で糸を引いていたし、僕もこんな大事件を薬屋さん単独で起こすとは考えられないと思っています。
 そんなことを思っていたら、陛下が僕に話しかけてきました。

「そうそう、レオには感謝を言わないとならない。ヒルダ伯母上の命を救ってもらい、感謝する」
「えっ、伯母上、ですか?」
「ヒルダ伯母上は、亡くなった父上の妹にあたるのだ」

 えー!
 何だか凄いことが判明しちゃったよ。
 ということは、陛下とモニカさんはいとこ同士なんだ。
 そう考えると、フランソワーズ公爵家とマリアージュ侯爵家って、ものすごい貴族なんだ。
 でも、凄い貴族なのにとっても優しい人たちだよね。
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