小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
334 / 584
第七章 王都

第四百二十九話 急いで王城に報告に行きます

しおりを挟む
 服はそのままでいいそうなので、良くないポーションを魔法袋に入れます。

「シロちゃん、ユキちゃん、何かあったら治療をお願いね」
「アオン!」

 シロちゃんもユキちゃんも、任せろと手を上げていました。
 僕は急いでターニャさんと馬車に乗って、王城に向かいました。
 まさかコバルトブルーレイク直轄領であった不良ポーション問題が、王都でも起きるなんて。
 ターニャさんも少し怒った表情だけど、僕はもうぷんぷんです。
 直ぐに僕たちを乗せた馬車は直ぐに王城に着いたけど、誰に相談すれば良いのか。
 すると、王城の中に入ったタイミングで見知った人がいました。
 思い切って声をかけてみよう。

「ブランドルさん!」
「うん? おお、レオ君か。久しぶりだな。ターニャ夫人も久しぶりだ」

 僕の目の前にいたのは、部下を引き連れた軍務大臣のブランドルさんです。
 軍のトップだから、不良ポーションの件を話しても良いよね?
 そう思ったら、ブランドルさんから僕に話しかけてきました。

「レオ君どうした? 随分と慌てているな」
「あの、実は不良ポーションが王都で出回っていて、それを飲んだ宰相の奥さんが一時意識不明になったんです。僕とシロちゃんの治療が遅かったら、かなり危なかったでした」
「なにー! それは王都を揺るがす一大事だ。ちょうどこれから閣僚会議があるから、レオ君もターニャ夫人も来てくれ!」

 おお、ナイスタイミングとはこのことですね。
 僕だけでなく、ターニャさんも思わずホッとしています。
 僕とターニャさんは、歩を早めたブランドルさんの後をついて行きました。

 バタン。

 僕たちは、とても大きな会議室の中に入りました。
 会議机も、もの凄く大きいですね。
 そしてチャーリーさんとギルバートさんは一足早く会議室に来ていて、駆け込んできた僕たちの存在に気がつきました。

「おや、レオ君にターニャではないか。今は、宰相夫人のヒルダ夫人が来ているのではないか?」
「ギルバートさん、そのヒルダさんが不良ポーションを飲んで一時意識不明になりました。コバルトブルーレイク直轄領と同じことが起きました」
「「何だって!?」」

 ギルバートさんだけでなく、チャーリーさんももの凄くビックリして僕たちのところにやってきました。
 その間に、他の閣僚も集まってきました。
 ギルバートさんは、ターニャさんにも話を聞きます。

「ターニャ、この話は本当か?」
「本当ですわ。もう歩くことすら叶わないヒルダ様を見た時は、血の気が引きました。話によると、ここ数日風邪っぽい症状だったので、念のために馬車内でポーションを飲んだところ、急激に症状が悪化したとのことです。どのルートでポーションを仕入れたのか、マリアージュ侯爵家にて確認をしているところです」
「まさに、クリスの時と同じ状況だ。しかし、王都はコバルトブルーレイク直轄領とは比にならない人口があるぞ」

 ギルバートさんも、これはかなりヤバいと思ったみたいです。
 直ぐにチャーリーさんとブランドルさんと話し始めました。
 あっ、そうだ。
 あのポーションの瓶を渡さないと。

「あの、ヒルダさんが飲んで倒れたポーションの瓶を持ってきました。ポーション製造時にチェックする魔導具なら、直ぐに良いものか悪いものか確認できると思います」
「では、俺が預かろう。既にレオ君の鑑定済みだが、二重チェックを行おう。確か、物品搬入時にサンプルチェックをしていたはずだな」
「はっ、サンプルチェックにはポーションなども含まれております。該当の魔導具も軍の施設にございます」
「よし、直ぐにチェックを行うように。あと、フランソワーズ公爵家とマリアージュ侯爵家に兵を派遣して、ポーションの出所とチェックを行うように」
「畏まりました」

 ブランドルさんの部下が、ポーションの瓶を持って会議室から走って行きました。
 すると、ブランドルさんが、僕とターニャさんに再び話しかけてきました。

「レオ君、ターニャ夫人、報告に感謝する」
「僕もブランドルさんに声をかけていいか迷ったけど、声をかけて良かったです」
「こういう大事件の場合は、遠慮なく俺に声をかけて良い。レオ君が絡んでいるというのは、間違いなく大きな事件だ」

 もしかしたら不良ポーションを飲んじゃった人がいるかもしれないし、まだまだ対応は必要です。
 何とか、一次報告としてはこれで完了です。
 でも、僕がトラブルメーカーだというのは、ちょっとないですよ。
 今度は、ホッとした表情のチャーリーさんが僕に話しかけてきました。

「レオ君には、二回も家族を救ってもらった。本当に感謝しかない」
「僕も、ヒルダさんの命を救えて本当に良かったです。ポーションの話を聞いた時は、僕もクリスちゃんのことを思い出しちゃいました」
「本当にそうだな。レオ君には、まだ治療の件で話があるかもしれない。悪いが、このまま会議室に残ってくれ」

 あの、閣僚会議だよね?
 そんな重大な会議に、僕が残っていて良いのかな?
 そんなことを思っていたら、僕の背後から誰かが声をかけてきました。

「レオの会議の参加は、余が許可する」
「「「陛下!」」」

 振り向くと、僕の背後から金髪を短く刈り上げたとても背の高い若い男性が立っていました。
 とっても豪華な服を着ていて、何だかオーラを放っている感じだよ。
 えーっと、周りの人の反応を見ると、もしかして……
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。