329 / 585
第七章 王都
第四百二十四話 王城内の人命救助
しおりを挟む
お茶会の時間が終わりを告げたので、僕たちは王妃様に挨拶をします。
「今日は、お招き頂きありがとうございます」
「こちらこそ、とても楽しい時間だったわ。また、お茶会に呼ぶわね」
王妃様も、にこやかに僕たちに挨拶をしてくれました。
そして僕たちは、王城の中庭から再び王城の中に入って行きました。
ふう、やっぱり王妃様に会うってだけで緊張しちゃった。
僕は歩きながら、忙しそうに人が動いている王城内を見回しました。
「やっぱり、王城はとっても広いですね。一体どれだけの人が働いているのか、全く想像がつかないです」
「私も、流石に正確な人数は分からないわ。でも、国を支えるだけあって、本当に多くの人が働いているのよ」
執務エリアに入って沢山の貴族と官僚がいる姿を見たけど、ターニャさんにも分からない程の人数なんだ。
すると、忙しく働いている人の中に見知った人がいました。
相手も、僕たちの事に気が付いたみたいです。
「おや、そこにいるのはフランソワーズ公爵家の方々にレオ君ではないか」
「王妃様とのお茶会は楽しかったかな?」
「あっ、チャーリーさん。それに、ギルバートさん。お疲れ様です」
沢山の部下を引きつれて廊下を歩いていたチャーリーさんとギルバードさんに、僕たちがばったり出会いました。
流石は宰相と商務大臣だけあって、とっても忙しそうですね。
すると、クリスちゃんがこんな事を言っていました。
「お父様、あのねおにいさまが『奇跡の大魔法使い』って言われたんだよ!」
「ほうほう、王妃様公認の新たな二つ名か。レオ君らしい二つ名だな」
ギルバートさんがニコリとしながらクリスちゃんの頭を撫でていたけど、チャーリーさんもうんうんと頷いていました。
チャーリーさんとギルバートさんも次の会議があるそうなのでここで別れようとしたら、ちょっと離れたところで事件が起きました。
バタッ。
「うう、うぅ……」
「だ、大丈夫ですか?」
「誰か医者を!」
いきなりおばあちゃんがふらふらとなり、胸を抑えながら倒れちゃいました。
周囲にいた人だけでなく、警備の兵や侍従の人も倒れた人のところにやってきました。
僕たちも、倒れたおばあちゃんのところに駆けつけました。
「おばあさん、大丈夫ですか?」
「うう……」
駄目だ、おばあさんは胸を抑えたまま僕の声かけに答えてくれません。
一刻も早く治療しないと。
僕は、おばあさんに軽く魔力を流しました。
すると、胸の辺りだけじゃなくて他のところも悪くなっていました。
これは、僕一人だけじゃ治療できないよ。
「シロちゃん、一緒に治療しよう!」
シロちゃんも、僕の問いかけに触手をふりふりして答えてくれました。
そして、僕も一緒に魔力を溜め始めました。
「シロちゃん、おばあさんを治療しよう!」
シュインシュイン、ぴかー!
僕とシロちゃんは、同時におばあさんに回復魔法をかけました。
けっこう手ごわい感じがしたけど、何とかおばあさんを治療できました。
すると、おばあさんも意識を取り戻しました。
「お、おや? 胸の痛みが全くないわ。それだけでなく、体中の痛みも……」
おばあさんは、自分の体の不調がいっぺんに治ったので訳が分からない表情をしていました。
自分の体や手を、不思議そうに見ていました。
良かった、無事に治療が上手く行きました。
すると、この場に急いで駆けつけて来た男性が。
「母上、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。この、可愛らしい子どもが治療してくれたのよ」
えーっと、この人は誰だろう?
膝をついておばあさんの上半身を起こしているけど、服装からすると軍の幹部って感じだよ。
背が高く金髪に近い茶髪で、毛色と同じ立派なあごひげがあります。
すると、その男性が僕に向かって頭を下げてきました。
「その黒髪、君がレオだな。ナンシー侯爵だ、母上を助けて頂き感謝する」
「えっ、あっ、ナンシー侯爵って!」
「そうだ、あのナンシー侯爵だ。コバルトブルーレイク直轄領で、息子が迷惑をかけた」
とっても厳格そうなナンシー侯爵さんだけど、今は複雑そうな表情をしていた。
自分の母親を助けたのが、自身の息子が迷惑をかけた僕なんだから。
僕もどうしようかなと思ったら、ギルバートさんが助け舟を出してくれました。
「ナンシー侯爵、レオ君が治療したとはいえ今は御母堂の体調を優先すべきだ。明後日ナンシー侯爵家のお茶会に呼ばれているので、その際に色々と話そう」
「商務大臣、お心遣いに感謝する。そのお茶会には私も出席予定だから、改めてお礼を言おう」
何でこの場にナンシー侯爵さんのおかあさんがいたのかも含めて、明後日話をする事になりました。
でも、無事におばあさんの治療が出来て僕とシロちゃんはホッとしています。
「おばあさん、お大事にして下さい」
「ええ、ありがとうね。明後日、会いましょうね」
こうして、僕たちは改めて王城の中を歩き始めました。
何だか色々あったけど、無事に全部終わって良かったです。
「今日は、お招き頂きありがとうございます」
「こちらこそ、とても楽しい時間だったわ。また、お茶会に呼ぶわね」
王妃様も、にこやかに僕たちに挨拶をしてくれました。
そして僕たちは、王城の中庭から再び王城の中に入って行きました。
ふう、やっぱり王妃様に会うってだけで緊張しちゃった。
僕は歩きながら、忙しそうに人が動いている王城内を見回しました。
「やっぱり、王城はとっても広いですね。一体どれだけの人が働いているのか、全く想像がつかないです」
「私も、流石に正確な人数は分からないわ。でも、国を支えるだけあって、本当に多くの人が働いているのよ」
執務エリアに入って沢山の貴族と官僚がいる姿を見たけど、ターニャさんにも分からない程の人数なんだ。
すると、忙しく働いている人の中に見知った人がいました。
相手も、僕たちの事に気が付いたみたいです。
「おや、そこにいるのはフランソワーズ公爵家の方々にレオ君ではないか」
「王妃様とのお茶会は楽しかったかな?」
「あっ、チャーリーさん。それに、ギルバートさん。お疲れ様です」
沢山の部下を引きつれて廊下を歩いていたチャーリーさんとギルバードさんに、僕たちがばったり出会いました。
流石は宰相と商務大臣だけあって、とっても忙しそうですね。
すると、クリスちゃんがこんな事を言っていました。
「お父様、あのねおにいさまが『奇跡の大魔法使い』って言われたんだよ!」
「ほうほう、王妃様公認の新たな二つ名か。レオ君らしい二つ名だな」
ギルバートさんがニコリとしながらクリスちゃんの頭を撫でていたけど、チャーリーさんもうんうんと頷いていました。
チャーリーさんとギルバートさんも次の会議があるそうなのでここで別れようとしたら、ちょっと離れたところで事件が起きました。
バタッ。
「うう、うぅ……」
「だ、大丈夫ですか?」
「誰か医者を!」
いきなりおばあちゃんがふらふらとなり、胸を抑えながら倒れちゃいました。
周囲にいた人だけでなく、警備の兵や侍従の人も倒れた人のところにやってきました。
僕たちも、倒れたおばあちゃんのところに駆けつけました。
「おばあさん、大丈夫ですか?」
「うう……」
駄目だ、おばあさんは胸を抑えたまま僕の声かけに答えてくれません。
一刻も早く治療しないと。
僕は、おばあさんに軽く魔力を流しました。
すると、胸の辺りだけじゃなくて他のところも悪くなっていました。
これは、僕一人だけじゃ治療できないよ。
「シロちゃん、一緒に治療しよう!」
シロちゃんも、僕の問いかけに触手をふりふりして答えてくれました。
そして、僕も一緒に魔力を溜め始めました。
「シロちゃん、おばあさんを治療しよう!」
シュインシュイン、ぴかー!
僕とシロちゃんは、同時におばあさんに回復魔法をかけました。
けっこう手ごわい感じがしたけど、何とかおばあさんを治療できました。
すると、おばあさんも意識を取り戻しました。
「お、おや? 胸の痛みが全くないわ。それだけでなく、体中の痛みも……」
おばあさんは、自分の体の不調がいっぺんに治ったので訳が分からない表情をしていました。
自分の体や手を、不思議そうに見ていました。
良かった、無事に治療が上手く行きました。
すると、この場に急いで駆けつけて来た男性が。
「母上、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。この、可愛らしい子どもが治療してくれたのよ」
えーっと、この人は誰だろう?
膝をついておばあさんの上半身を起こしているけど、服装からすると軍の幹部って感じだよ。
背が高く金髪に近い茶髪で、毛色と同じ立派なあごひげがあります。
すると、その男性が僕に向かって頭を下げてきました。
「その黒髪、君がレオだな。ナンシー侯爵だ、母上を助けて頂き感謝する」
「えっ、あっ、ナンシー侯爵って!」
「そうだ、あのナンシー侯爵だ。コバルトブルーレイク直轄領で、息子が迷惑をかけた」
とっても厳格そうなナンシー侯爵さんだけど、今は複雑そうな表情をしていた。
自分の母親を助けたのが、自身の息子が迷惑をかけた僕なんだから。
僕もどうしようかなと思ったら、ギルバートさんが助け舟を出してくれました。
「ナンシー侯爵、レオ君が治療したとはいえ今は御母堂の体調を優先すべきだ。明後日ナンシー侯爵家のお茶会に呼ばれているので、その際に色々と話そう」
「商務大臣、お心遣いに感謝する。そのお茶会には私も出席予定だから、改めてお礼を言おう」
何でこの場にナンシー侯爵さんのおかあさんがいたのかも含めて、明後日話をする事になりました。
でも、無事におばあさんの治療が出来て僕とシロちゃんはホッとしています。
「おばあさん、お大事にして下さい」
「ええ、ありがとうね。明後日、会いましょうね」
こうして、僕たちは改めて王城の中を歩き始めました。
何だか色々あったけど、無事に全部終わって良かったです。
1,786
お気に入りに追加
5,426
あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。