上 下
361 / 484
第六章 バーボルド伯爵領

第四百十三話 王都に到着

しおりを挟む
 ブランフォード子爵夫妻に祈りのポーズをやめて貰って、改めて話をする事に。

「え、えっと、確かライサさんから軍の関係者って聞いたことがあります」
「お、おお、そうだな。こう見えて、私は軍人だ」

 ブランフォード子爵がニコリとしながら話したけど、やはり軍人さんなんだ。
 でも、何でいきなり祈りだしちゃったんだろうか?

「ブランフォード子爵は、敬虔な神の使徒なのだよ。信仰が厚いから、黒髪の天使様であるレオ君を見て思わず膝まづいたのだろう」
「そういえば、ライサさんもそんな感じがありました。家族で信仰が厚いんですね」
「特にブランフォード子爵夫人は、王都の教会の関係者でもある」

 教会に近い立場だと、信仰が厚いのも納得しちゃうよね。
 ここで騒ぎで目を覚ました、クリスちゃんがターニャさんとユキちゃんと一緒に馬車から降りてきました。
 そして、捕まっている盗賊を見ておっかなびっくりで僕に質問をしてきました。

「お、おにいさま、この人はおにーさまが倒したの?」
「僕じゃないよ。フランソワーズ公爵家の護衛と、シロちゃんが倒したんだよ」
「わあ、シロちゃん凄いね!」

 クリスちゃんに褒められて、シロちゃんも嬉しそうにふるふるしています。
 じゃあ、いつまでも待っていられないので、盗賊護送用の馬車を作っちゃいまそう。
 僕は、魔力を溜め始めました。

 シュイン、ズゴゴゴゴ。

「な、なんだこれは?」
「つ、土で檻が出来たぞ?」

 突然の事で盗賊は大混乱しているけど、僕としては護送用馬車の仕上がりに満足しています。
 とっても頑丈だったし、盗賊が逃げ出す事もありません。
 さっそく公爵家の馬車に、僕の作った護送用馬車を紐で固定し始めました。

「わあ、おにいさま凄ーい!」
「アオン!」
「な、なんだこれは。こんな魔法があるのか?」
「先程の兵の治療といい、馬車を生み出す魔法といい、とても信じられませんわ……」

 クリスちゃんとユキちゃんは僕の土魔法を見て大喜びで、逆にブランフォード子爵夫妻は信じられないものを見たと固まってしまいました。
 僕としては何回か使った事のある魔法だし、シロちゃんも普通にしていますね。
 出発準備ができたので、ブランフォード子爵家の馬車と一緒に王都に向かって再出発します。
 僕たちも、順次馬車に乗り込みました。

「おにいさまの魔法って、凄いんだね!」
「うーん、そうかな? 普通に対応しただけだと思うよ」
「えー、とっても凄いよ!」
「アオン!」

 馬車に戻っても、僕の魔法を見たクリスちゃんはまだ大興奮です。
 ユキちゃんも一緒になって大はしゃぎしているけど、土魔法が使えれば他の人にもできるんじゃないかな?

「レオ君にとって普通の魔法が、他人にとっては普通の魔法ではないのだよ」
「そうですわね。改めて、レオ君は黒髪の天使様だと認識しましたわ」

 ギルバードさんもターニャさんも、僕の魔法は特別って言ったけど。
 うーん、シロちゃんも凄い魔法を使うから何だかよくわからないですね。
 そんな事を話しているうちに、無事に王都に到着です。

「わあー、凄い門です! 大きいです!」
「ははは、こうしてみるとレオ君も男の子だな」
「ふふふ、そうですわね」

 目の前にドーンと大きくて長い防壁が現れて、更に大きな門がそびえています。
 こんな凄いものは、僕も初めて見ました。
 シロちゃんもユキちゃんも、馬車の窓越しの光景にとってもびっくりしています。
 そして、貴族というのもあって専用の門に並びます。

「道中、ブランフォード子爵夫妻の乗った馬車を襲った盗賊を捕縛した。厳しい尋問を行うように」
「「「はっ!」」」

 僕は窓越しに馬車にくくり付けた護送車を分解して、門番をしていた兵が盗賊を急いで別の場所に運んで行きました。
 これから盗賊には、厳しい尋問が待っていますね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大好きな母と縁を切りました。

むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。 領地争いで父が戦死。 それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。 けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。 毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。 けれどこの婚約はとても酷いものだった。 そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。 そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

何でも欲しがる妹が、私が愛している人を奪うと言い出しました。でもその方を愛しているのは、私ではなく怖い侯爵令嬢様ですよ?

柚木ゆず
ファンタジー
「ふ~ん。レナエルはオーガスティン様を愛していて、しかもわたくし達に内緒で交際をしていましたのね」  姉レナエルのものを何でも欲しがる、ニーザリア子爵家の次女ザラ。彼女はレナエルのとある寝言を聞いたことによりそう確信し、今まで興味がなかったテデファリゼ侯爵家の嫡男オーガスティンに好意を抱くようになりました。 「ふふ。貴方が好きな人は、もらいますわ」  そのためザラは自身を溺愛する両親に頼み、レナエルを自室に軟禁した上でアプローチを始めるのですが――。そういった事実はなく、それは大きな勘違いでした。  オーガスティンを愛しているのは姉レナエルではなく、恐ろしい性質を持った侯爵令嬢マリーで――。 ※全体で見た場合恋愛シーンよりもその他のシーンが多いため、2月11日に恋愛ジャンルからファンタジージャンルへの変更を行わせていただきました(内容に変更はございません)。

私、実は若返り王妃ですの。シミュレーション能力で第二の人生を切り開いておりますので、邪魔はしないでくださいませ

もぐすけ
ファンタジー
 シーファは王妃だが、王が新しい妃に夢中になり始めてからは、王宮内でぞんざいに扱われるようになり、遂には廃屋で暮らすよう言い渡される。  あまりの扱いにシーファは侍女のテレサと王宮を抜け出すことを決意するが、王の寵愛をかさに横暴を極めるユリカ姫は、シーファを見張っており、逃亡の準備をしていたテレサを手討ちにしてしまう。  テレサを娘のように思っていたシーファは絶望するが、テレサは天に召される前に、シーファに二つのギフトを手渡した。

仲良しのもふもふに理不尽な婚約破棄を愚痴ったら、国が崩壊することになりました

柚木ゆず
ファンタジー
 あのね。殿下は聖女様に心変わりをされて、理不尽に婚約破棄をされちゃったの――。  はぁ。関係者全員に、罰が当たらないかなぁ――。  6年前無理やり私を婚約者にしたくせに、結婚式まで3か月となった今日一方的に婚約破棄を宣告されたこと。おまけにお父様達は殿下や陛下と取り引きをしていて、私を悪者に仕立て上げて追放する準備を始めたこと。  それらを私は、唯一の親友に――7年前に偶然助けたことで仲良くなった、ラグドールのノアに愚痴った。  そうしたら…………え!?  ノアはラグドールじゃなくて、神様が住む世界に居た神獣!?  これから神の力を使って、関係者全員に罰を与えに行く!?  ノアからビックリする秘密を聞かされて、そうして私の長い長い1日が始まったのでした――。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話

ルジェ*
ファンタジー
 婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが─── 「は?ふざけんなよ。」  これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。 ********  「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください! *2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。