小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第六章 バーボルド伯爵領

第四百十三話 王都に到着

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 ブランフォード子爵夫妻に祈りのポーズをやめて貰って、改めて話をする事に。

「え、えっと、確かライサさんから軍の関係者って聞いたことがあります」
「お、おお、そうだな。こう見えて、私は軍人だ」

 ブランフォード子爵がニコリとしながら話したけど、やはり軍人さんなんだ。
 でも、何でいきなり祈りだしちゃったんだろうか?

「ブランフォード子爵は、敬虔な神の使徒なのだよ。信仰が厚いから、黒髪の天使様であるレオ君を見て思わず膝まづいたのだろう」
「そういえば、ライサさんもそんな感じがありました。家族で信仰が厚いんですね」
「特にブランフォード子爵夫人は、王都の教会の関係者でもある」

 教会に近い立場だと、信仰が厚いのも納得しちゃうよね。
 ここで騒ぎで目を覚ました、クリスちゃんがターニャさんとユキちゃんと一緒に馬車から降りてきました。
 そして、捕まっている盗賊を見ておっかなびっくりで僕に質問をしてきました。

「お、おにいさま、この人はおにーさまが倒したの?」
「僕じゃないよ。フランソワーズ公爵家の護衛と、シロちゃんが倒したんだよ」
「わあ、シロちゃん凄いね!」

 クリスちゃんに褒められて、シロちゃんも嬉しそうにふるふるしています。
 じゃあ、いつまでも待っていられないので、盗賊護送用の馬車を作っちゃいまそう。
 僕は、魔力を溜め始めました。

 シュイン、ズゴゴゴゴ。

「な、なんだこれは?」
「つ、土で檻が出来たぞ?」

 突然の事で盗賊は大混乱しているけど、僕としては護送用馬車の仕上がりに満足しています。
 とっても頑丈だったし、盗賊が逃げ出す事もありません。
 さっそく公爵家の馬車に、僕の作った護送用馬車を紐で固定し始めました。

「わあ、おにいさま凄ーい!」
「アオン!」
「な、なんだこれは。こんな魔法があるのか?」
「先程の兵の治療といい、馬車を生み出す魔法といい、とても信じられませんわ……」

 クリスちゃんとユキちゃんは僕の土魔法を見て大喜びで、逆にブランフォード子爵夫妻は信じられないものを見たと固まってしまいました。
 僕としては何回か使った事のある魔法だし、シロちゃんも普通にしていますね。
 出発準備ができたので、ブランフォード子爵家の馬車と一緒に王都に向かって再出発します。
 僕たちも、順次馬車に乗り込みました。

「おにいさまの魔法って、凄いんだね!」
「うーん、そうかな? 普通に対応しただけだと思うよ」
「えー、とっても凄いよ!」
「アオン!」

 馬車に戻っても、僕の魔法を見たクリスちゃんはまだ大興奮です。
 ユキちゃんも一緒になって大はしゃぎしているけど、土魔法が使えれば他の人にもできるんじゃないかな?

「レオ君にとって普通の魔法が、他人にとっては普通の魔法ではないのだよ」
「そうですわね。改めて、レオ君は黒髪の天使様だと認識しましたわ」

 ギルバードさんもターニャさんも、僕の魔法は特別って言ったけど。
 うーん、シロちゃんも凄い魔法を使うから何だかよくわからないですね。
 そんな事を話しているうちに、無事に王都に到着です。

「わあー、凄い門です! 大きいです!」
「ははは、こうしてみるとレオ君も男の子だな」
「ふふふ、そうですわね」

 目の前にドーンと大きくて長い防壁が現れて、更に大きな門がそびえています。
 こんな凄いものは、僕も初めて見ました。
 シロちゃんもユキちゃんも、馬車の窓越しの光景にとってもびっくりしています。
 そして、貴族というのもあって専用の門に並びます。

「道中、ブランフォード子爵夫妻の乗った馬車を襲った盗賊を捕縛した。厳しい尋問を行うように」
「「「はっ!」」」

 僕は窓越しに馬車にくくり付けた護送車を分解して、門番をしていた兵が盗賊を急いで別の場所に運んで行きました。
 これから盗賊には、厳しい尋問が待っていますね。
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