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第六章 バーボルド伯爵領
第三百九十六話 軍務大臣
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「レオ、大丈夫か? 震えているぞ?」
「えっ、あっ……」
「そんな事も分からないほどだったのか。一口水を飲んでみろ」
僕は、バッツさんに軽く肩を叩かれて初めて手が震えるのに気が付きました。
手が震えてコップが持てなかったので、コレットさんがお水を飲ませてくれました。
ふうっと深呼吸して、ようやく震えが止まりました。
そして、助けてくれた二匹を抱きしめました。
「シロちゃん、ユキちゃん、本当にありがとう!」
「キューン」
シロちゃんもユキちゃんもすごく怖かったのか、僕にひしっと抱きついてきました。
僕達は、暫くの間無事を分かち合っていました。
そんな僕達の様子を、食堂にいる人達がそっと見守ってくれました。
そして、この場に意外な人が姿を見せました。
「あれ? ビクターさんです」
「レオか。ひでー事になったな」
何と、海軍総司令官のビクターさんが部下を引き連れて大食堂に顔を見せていました。
どうもビクターさんも、事の次第を見ていたみたいです。
更に、ビクターさんの隣にもう一人豪華な軍服を着た人がいるよ。
「取り敢えず、レオはシャワー室に行って体を洗ってこい。サンドイッチとかを頼んでやるから、着替え終わったら師団長室に来てくれ」
「じゃあ、私がシャワー室に案内しますね」
バッツさんとコレットさんが僕に声をかけてくれて、床に落ちた定食は食堂のおばちゃんがササッと片付けてくれました。
マイスター師団長さんがビクターさんともう一人の偉い人に何があったかを再度説明していたけど、全員の怒りメーターがズゴゴゴゴって上がっている気がするよ。
その間に、僕はコレットさんに手を繋がれて事務棟一階にあるシャワー室に案内されました。
シャー。
「レオ君、タオルを置いておくね」
「はーい」
「何かあったら、直ぐに言ってね」
魔法袋の中に着替えが入っているので、汚れた服は全部魔法袋の中に入れます。
ユキちゃんのバンダナも汚れちゃったので、新しいのを用意しないと。
みんな急いで体を綺麗にして、タオルで体を拭きます。
そこから、念の為に生活魔法をかけます。
うん、これで大丈夫ですね。
ユキちゃんの毛並みも、風魔法で乾かしてあげます。
「コレットさん、お待たせしました」
「全然待っていないわよ。でも、シャワーで温まったのもあるのか、随分と顔色が良くなったわ」
コレットさんに言われて気がついたけど、だいぶ落ち着いた気もします。
別の冒険者服に着替えたし、これで大丈夫ですね。
僕は、コレットさんと一緒に師団長執務室に向かいました。
ガチャ。
「失礼します。レオ君の着替えが終わりました」
「良かった、だいぶ顔色も良くなったね。先にサンドイッチを食べちゃってね」
マイスター師団長さんは、ビクターさんと偉い人と共にソファーに座っていたけど、お腹が空いちゃったので目の前にあったサンドイッチを一気に食べちゃいました。
もちろん、シロちゃんとユキちゃんもあっという間にサンドイッチを食べました。
そして、マイスター師団長さんが、偉い人の事を紹介してくれました。
「レオ君、こちらにいるのが軍務を統括する軍務大臣のブランドル・ハーパー侯爵だ。簡単に言うと、陸軍海軍両方のトップだよ」
えー!
とんでもなく偉い人じゃないですか!
ブランドルさんは金髪の角刈りで、とっても立派な口ひげが生えています。
ギロリと眼力が強くて、背も高くて筋肉ムキムキです。
「は、初めまして、レオと申します。この子は、シロちゃんとユキちゃんです」
「うむ、ブランドル・ハーバーだ。小さいのに、礼儀正しくて結構だ」
僕はブランドルさんと握手をしたけど、やっぱり物凄く迫力があるよ。
すると、ブランドルさんは突然頭を下げてきました。
「兵がとんでもない事をして、本当に申し訳なかった。レオ君が魔法障壁を出さなかったら、あの馬鹿どもは間違いなくレオ君を殺していただろう。小さい子を震わせる程の恐怖を与えるなんて、あってはならない事だ」
「ぶ、ブランドルさん、顔を上げてください。僕もシロちゃんもユキちゃんも、もう大丈夫ですから。後は、皆さんにお任せします」
「小さい子にそう言わせてしまう事自体、駄目な事だ。でも、ありがとう」
ブランドルさんは顔を上げて、両手で僕の両肩をぽんぽんと軽く叩きました。
そして、座ってから改めて話をする事になりました。
最初にビクターさんから話し始めました。
「いやあ、レオ君がまたとんでもない事をしたと聞いて、ちょうど施設見学も予定していたから軍務大臣と見に行こうとなったんだよ。大食堂にいるって聞いたから顔を出したら、どっかの馬鹿が剣を振り回していたよ。部下が止めなければ、俺がぶん殴っていたよ」
「うむ、同感だ。奴らは、軍人云々以前に人として失格だ。俺も、馬鹿をぶん殴ってやろうとしたぞ」
えーっと、僕も全く気が付かなかったけど、あの騒ぎはとても偉い人の目の前で起きていたんだ。
マイスター師団長さんももちろん目撃しているし、何百人という兵の人の前でもあります。
なのに、あの三人は僕達に暴行していたんだ。
そして、マイスター師団長さんが少し難しい表情をしながら話をしてくれました。
「以前から、ろくに使えない貴族の子弟が軍に入っていたんだけど、レオ君がシャワーを浴びているうちに奴らを尋問したらある採用担当が不正をしていたと自供した。賄賂を渡せば、試験結果を誤魔化していたらしい」
「あっ、もしかして暴走した魔法使いもそうですか?」
「間違いないだろう。その試験官にも、拘束指示が出ている。そして、その試験官が不正に合格した者も洗い出ししているよ。ちょっと大きな問題になりそうだ」
うん、あの暴走した魔法使いも僕達に暴行した三人組も、どう考えても軍人ぽくなかったもんね。
マイスター師団長さんだけでなく、師団長執務室にいる全員がかなり渋い顔をしていました。
「えっ、あっ……」
「そんな事も分からないほどだったのか。一口水を飲んでみろ」
僕は、バッツさんに軽く肩を叩かれて初めて手が震えるのに気が付きました。
手が震えてコップが持てなかったので、コレットさんがお水を飲ませてくれました。
ふうっと深呼吸して、ようやく震えが止まりました。
そして、助けてくれた二匹を抱きしめました。
「シロちゃん、ユキちゃん、本当にありがとう!」
「キューン」
シロちゃんもユキちゃんもすごく怖かったのか、僕にひしっと抱きついてきました。
僕達は、暫くの間無事を分かち合っていました。
そんな僕達の様子を、食堂にいる人達がそっと見守ってくれました。
そして、この場に意外な人が姿を見せました。
「あれ? ビクターさんです」
「レオか。ひでー事になったな」
何と、海軍総司令官のビクターさんが部下を引き連れて大食堂に顔を見せていました。
どうもビクターさんも、事の次第を見ていたみたいです。
更に、ビクターさんの隣にもう一人豪華な軍服を着た人がいるよ。
「取り敢えず、レオはシャワー室に行って体を洗ってこい。サンドイッチとかを頼んでやるから、着替え終わったら師団長室に来てくれ」
「じゃあ、私がシャワー室に案内しますね」
バッツさんとコレットさんが僕に声をかけてくれて、床に落ちた定食は食堂のおばちゃんがササッと片付けてくれました。
マイスター師団長さんがビクターさんともう一人の偉い人に何があったかを再度説明していたけど、全員の怒りメーターがズゴゴゴゴって上がっている気がするよ。
その間に、僕はコレットさんに手を繋がれて事務棟一階にあるシャワー室に案内されました。
シャー。
「レオ君、タオルを置いておくね」
「はーい」
「何かあったら、直ぐに言ってね」
魔法袋の中に着替えが入っているので、汚れた服は全部魔法袋の中に入れます。
ユキちゃんのバンダナも汚れちゃったので、新しいのを用意しないと。
みんな急いで体を綺麗にして、タオルで体を拭きます。
そこから、念の為に生活魔法をかけます。
うん、これで大丈夫ですね。
ユキちゃんの毛並みも、風魔法で乾かしてあげます。
「コレットさん、お待たせしました」
「全然待っていないわよ。でも、シャワーで温まったのもあるのか、随分と顔色が良くなったわ」
コレットさんに言われて気がついたけど、だいぶ落ち着いた気もします。
別の冒険者服に着替えたし、これで大丈夫ですね。
僕は、コレットさんと一緒に師団長執務室に向かいました。
ガチャ。
「失礼します。レオ君の着替えが終わりました」
「良かった、だいぶ顔色も良くなったね。先にサンドイッチを食べちゃってね」
マイスター師団長さんは、ビクターさんと偉い人と共にソファーに座っていたけど、お腹が空いちゃったので目の前にあったサンドイッチを一気に食べちゃいました。
もちろん、シロちゃんとユキちゃんもあっという間にサンドイッチを食べました。
そして、マイスター師団長さんが、偉い人の事を紹介してくれました。
「レオ君、こちらにいるのが軍務を統括する軍務大臣のブランドル・ハーパー侯爵だ。簡単に言うと、陸軍海軍両方のトップだよ」
えー!
とんでもなく偉い人じゃないですか!
ブランドルさんは金髪の角刈りで、とっても立派な口ひげが生えています。
ギロリと眼力が強くて、背も高くて筋肉ムキムキです。
「は、初めまして、レオと申します。この子は、シロちゃんとユキちゃんです」
「うむ、ブランドル・ハーバーだ。小さいのに、礼儀正しくて結構だ」
僕はブランドルさんと握手をしたけど、やっぱり物凄く迫力があるよ。
すると、ブランドルさんは突然頭を下げてきました。
「兵がとんでもない事をして、本当に申し訳なかった。レオ君が魔法障壁を出さなかったら、あの馬鹿どもは間違いなくレオ君を殺していただろう。小さい子を震わせる程の恐怖を与えるなんて、あってはならない事だ」
「ぶ、ブランドルさん、顔を上げてください。僕もシロちゃんもユキちゃんも、もう大丈夫ですから。後は、皆さんにお任せします」
「小さい子にそう言わせてしまう事自体、駄目な事だ。でも、ありがとう」
ブランドルさんは顔を上げて、両手で僕の両肩をぽんぽんと軽く叩きました。
そして、座ってから改めて話をする事になりました。
最初にビクターさんから話し始めました。
「いやあ、レオ君がまたとんでもない事をしたと聞いて、ちょうど施設見学も予定していたから軍務大臣と見に行こうとなったんだよ。大食堂にいるって聞いたから顔を出したら、どっかの馬鹿が剣を振り回していたよ。部下が止めなければ、俺がぶん殴っていたよ」
「うむ、同感だ。奴らは、軍人云々以前に人として失格だ。俺も、馬鹿をぶん殴ってやろうとしたぞ」
えーっと、僕も全く気が付かなかったけど、あの騒ぎはとても偉い人の目の前で起きていたんだ。
マイスター師団長さんももちろん目撃しているし、何百人という兵の人の前でもあります。
なのに、あの三人は僕達に暴行していたんだ。
そして、マイスター師団長さんが少し難しい表情をしながら話をしてくれました。
「以前から、ろくに使えない貴族の子弟が軍に入っていたんだけど、レオ君がシャワーを浴びているうちに奴らを尋問したらある採用担当が不正をしていたと自供した。賄賂を渡せば、試験結果を誤魔化していたらしい」
「あっ、もしかして暴走した魔法使いもそうですか?」
「間違いないだろう。その試験官にも、拘束指示が出ている。そして、その試験官が不正に合格した者も洗い出ししているよ。ちょっと大きな問題になりそうだ」
うん、あの暴走した魔法使いも僕達に暴行した三人組も、どう考えても軍人ぽくなかったもんね。
マイスター師団長さんだけでなく、師団長執務室にいる全員がかなり渋い顔をしていました。
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