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第六章 バーボルド伯爵領

第三百八十九話 今日は炊き出しのお手伝いをします

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 こうして、時折バッツさんとの手合わせをしながら無事に一週間を過ごせました。
 結局、あの大怪我をした魔法使いの治療は今週は行いませんでした。
 そして今日は安息日なんですが、ちょっとした事をやる事になりました。

「折角の休日なのに、炊き出しに連れて行っちゃってごめんなさいね」
「でも、レオ君がいてくれるととても心強いわ」

 イストワールさんとシャンティさんと共に、僕とシロちゃんは馬車に乗って街の教会に向かいます。
 今日はバーボルド伯爵家と教会が合同で炊き出しと無料治療を行うそうなので、僕とシロちゃんも参加させて貰いました。
 折角バーボルド伯爵領に来ているんだから、街の人ともふれあいたいもんね。
 お屋敷を出た馬車は、あっという間に教会前に到着しました。
 馬車から降りた僕たちを、教会の司祭様が出迎えてくれました。
 白髪の年配のおじいちゃんが、この街の司祭様なんだね。

「イストワール様にシャンティ様、そして黒髪の天使様、お忙しいところ炊き出しに参加頂き感謝申し上げます」
「司祭様、わざわざ出迎えて頂き感謝申し上げます」
「本日はよろしくお願いいたします」

 イストワールさんとシャンティさんが、代表して司祭様に挨拶してくれました。
 僕とシロちゃんもシャンティ様の横に並んで、ペコリとお辞儀をします。
 そして、直ぐに教会前で準備を進めている炊き出し会場に向かいました。

 トントントン。

「おはようございます、沢山の野菜を切っていますね」
「おはよ、こ、これは黒髪の天使様ではたりませんか」
「今日は沢山の人が訪れますから、我々も沢山野菜を刻んでおります」

 僕の姿を見てびっくりしたシスターさんもいたけど、殆どのシスターさんはニコリとして出迎えてくれました。
 そして僕は、魔法袋から踏み台を取り出して仕込みをしているシスターさんの隣に並びました。

「僕も、野菜を切るお手伝いをしますね」
「えっ、黒髪の天使様は料理が出来るんですか?」
「簡単なものでしたら、料理は出来ますよ」

 僕とシロちゃんは生活魔法で手先を綺麗にしてから、包丁を取り出しました。
 シロちゃんも、今日は魔法を使わずに包丁で野菜を切るみたいです。
 では、さっそく料理を始めましょう。

 トントン、トントン。

「きちんと猫の手が出来ていますね。とても上手ですよ」
「黒髪の天使様は、本当に料理をなさるんですね」
「ちょっとだけです。簡単な料理しかできませんので」
「いえいえ、その年で料理ができるだけでも大したものですよ」

 こうして簡単な料理の準備を手伝ってから、僕とシロちゃんは治療の方に向かいました。
 治療のところでは、イストワールさんとシャンティさんが司祭様と話をしていました。
 僕とシロちゃんが近づくと、笑顔で出迎えてくれました。

「レオ君って、簡単な料理ができるのね。とても関心したわ」
「シロちゃんも包丁を持っていて、とても可愛かったわよ」
「できるできないではなく、こうして積極的に手伝いをしてくれたのがとても嬉しく思っております」

 三人とも、僕とシロちゃんが料理を手伝っていたのをとても褒めてくれました。
 頑張って料理を手伝ったかいがありましたね。
 今度は簡易ベッドと椅子を取り出して、治療の準備をしています。
 ここから、僕とシロちゃんの本領発揮です。

「イストワールさん、シャンティさん、治療の準備ができました」
「レオ君は、治療になると本当に手際よく準備をするわね」
「もう治療を受けたくて並んでいる人がいるから、さっそく始めましょう」

 ということで、さっそく並んでいた人の治療を始めます。
 今日は沢山の人が並んでいるので、手早く治療をしていきます。

 シュイーン。

「腰が特に悪いですね。他の悪いところと纏めて治療します」
「馬車に乗っていると、どうしても腰痛が出てくるんだよな」

 今は、旅の途中だというおじさんの治療をしています。
 他の街と違って、旅でこの街にいる人も沢山いますね。
 そして、そういう人は腰や背中が痛い人が多いです。
 膝も悪い人も沢山いますね。
 シロちゃんの方でも、やっぱり腰や膝が悪い人が多いみたいです。

「レオ君とシロちゃんの治療は凄いわね。怪我をしているところをピタリと当てて治療しているわ」
「しかも、どんな人にも笑顔で接していますわ。私も見習いたいものです」

 イストワールさんとシャンティさんが僕とシロちゃんの治療を褒めてくれるけど、僕としてはいつも通り治療しているだけなんだよね。
 炊き出しにも多くの人が並んできて、シスターさんが忙しく配膳をしていました。
 僕とシロちゃんが切った野菜も、美味しく食べてくれたら嬉しいな。
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