小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第六章 バーボルド伯爵領

第三百八十一話 さっそく治療を始めます

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 暫く歩いて治療施設に到着すると、さっそく大部屋から治療を始める事になりました。
 大部屋には一部屋十人入院していて、ここにいる人は骨折が殆どだそうです。
 さっそく治療を始めようとしたら、コレットさんが心配そうに僕に話しかけてきました。

「あの、レオ君、大体一部屋でどのくらいかかりますか? 我々の見積もりでは、一部屋一時間はかかるかと思っておりますが」
「うーん、怪我の程度次第ですけど、シロちゃんと手分けして治療するので十分もあれば終わりますよ」
「えっ、そんなに早く終わるのですか? 以前教会所属の治癒士に治療を依頼したら、とても時間がかかりましたので」

 単に魔法使いといえども、保有している魔力の量は全然違います。
 魔力を節約しながら治療する人もいるし、僕とシロちゃんは魔力が多いので沢山治療できます。
 僕にはコレットさんがついてくれて、シロちゃんには秘書さんがついてくれます。
 ではでは、治療を始めましょう。
 さっそく腕が折れている人の治療を始めます。

 シュイン。

「あっ、腕だけじゃなくて膝も悪いですね」
「すげーな、直ぐに分かっちまったぞ」
「今まで、沢山の人を治療してきましたから。纏めて治療しますね」

 こんな感じで、入院している人とお話しながら治療を進めていきます。
 それでも一人二分治療にかけられますね。
 予定通り、十分で一部屋目が終了しました。

「は、早い。しかも、的確に治療しています。これが、黒髪の魔術師と従魔の魔法ですか……」
「昨日の訓練場の整備といい、魔法使いの常識が崩れそうです」

 あっという間に治療が終わっちゃったので、コレットさんと秘書さんは思わずぽかーんとしちゃいました。
 でもまだ怪我をしている人は沢山いるから、どんどんと治療していきますよ。
 全部で大部屋が八部屋あるそうなので、午前中あれは大部屋に入院している人は全員治療できそうですね。
 今度は、女性隊員だけが入院している大部屋にいきます。

「わあ、黒髪の天使様ってこんなに可愛らしい男の子なのね。とってもラブリーだわ」
「それに、ニコニコしながらあっという間に骨折を治しちゃったし、本当に凄い魔法使いなんだね」
「お姉さんが、治療のお礼にお菓子をあげちゃうわ」
「わわわ!」

 そして、大部屋に入院している女性隊員の治療を終えたら、僕は治療した人に囲まれて頭を撫でられたりしちゃいました。
 ちゃっかりとシロちゃんもお菓子を貰っていて、ささっとアイテムボックスにしまっていました。
 そして次の大部屋に行こうとしたら、看護を行う女性隊員の体調が悪そうでした。

「お姉さん、顔が真っ青で汗も沢山かいていて、とても体調が悪そうですよ」
「本当だわ。レオ君、すまないけどこの人も診てくれないかしら?」
「す、すみません。お手数おかけします……」

 コレットさんにも手伝ってもらいながら女性隊員を椅子に座らせて、どんな症状なのか確認をします。
 えっと、体に軽く魔法を流してっと。

 シュイン。

 あれ?
 確かにお姉さんの体調は悪そうだけど、体の中は悪くなさそうだよ。
 うーん、寝不足か何かかな。
 もう一回魔法を流して確認してっと。
 おや?
 今度は、お姉さんから魔法の反応が二つ返ってきたよ。
 これってもしかして……

「お姉さん、もしかしたらお腹の中に赤ちゃんがいるかも。鑑定魔法を使っても良いですか?」
「えっ、私が妊娠しているの? も、もちろん鑑定魔法を使っても良いわよ」

 お姉さんは心当たりがあるのか、直ぐに僕に鑑定魔法を使って良いと言いました。
 そしてお姉さんに鑑定魔法を使うと、ばっちりと妊娠中ってステータスが表示されました。

「あっ、やっぱり妊娠中って表示になっていましたよ。それで体調が悪かったんですね」
「おめでとう、これで遂にお母さんね」
「あっ、ありがとうございます……」

 他の女性隊員も、妊娠が分かって涙ぐむ女性隊員を祝福していました。
 女性隊員曰く、結婚して中々子どもができないので半ば諦めていたそうです。
 調子が悪いのは確かなので、空いているベッドでゆっくり休む事になりました。
 とても良い事が分かって、本当に良かったです。
 こうして、午前中いっぱいかけて大部屋に入院している人の治療を終えました。
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