小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第六章 バーボルド伯爵領

第三百八十話 バーボルド伯爵家に逗留する事に

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 朝食後は、泊まっていた部屋で出発の準備をして忘れ物がないように確認します。
 軽く生活魔法で部屋の中を綺麗にしてっと、これでばっちりです。
 僕とシロちゃんは、泊まった部屋から玄関に向かいました。
 玄関では、ネストさんとイストワールさんが待っていてくれました。

「一晩お世話になりました」

 僕がシロちゃんと共にペコリとお礼をしたら、ネストさんとイストワールさんがキョトンとしちゃいました。
 あれ?
 僕、何かしちゃったのかな?

「レオ君、もしかして屋敷から軍の施設まで歩いて行こうとしたのかな?」
「あっ、はい。明日からは、軍の施設に通う宿の目星もつけようとも思ったので」
「そっか、レオ君はこの話を聞かなかったのか」

 ネストさんは合点がいったという表情をしたけど、何か僕に伝え忘れた事があるみたいです。
 イストワールさんが、僕にその事を教えてくれました。

「あのね、レオ君は当分我が家に逗留する事になったのよ。王都に近く街道の要衝ってのもあって、バーボルド伯爵家の各宿は常に人がいっぱいなのよ。だったら、いっそのこと我が家にいてもらった方が良いだろうって事になったのよ」
「えっ、でも良いんですか?」
「全然構わないのよ。昨日も怪我をした侍従の治療をしてくれたし、こちらがお礼しなくちゃって思ったのよ」

 怪我をした侍従の人の事はともかくとして、あれだけ街に人がいれば宿の空きがないのは確かなのかも。
 ということで、僕はバーボルド伯爵家の屋敷に逗留する事になりました。
 あっ、でも宿泊代は払った方がいいよね。

「あの、お金……」
「宿泊代は良いぞ。というか、我が家もレオ君に活動して貰うのだ。そのくらいは当然だろう」

 ネストさんに、有無を言わせない迫力で言われちゃいました。
 その分、頑張って街の人の為に頑張らないと。
 僕もシロちゃんも、やる気満々です。
 でもその前に、軍の治療施設に入院している人を治さないと。
 馬車で送ってくれるそうなので、僕とシロちゃんは馬車に乗り込んで軍の施設に向かいました。

 パカパカパカ。

「やっぱり、とっても大きくて広い施設だよね。沢山の人が、ここで働いているんだ」

 軍の施設に入り、ゆっくりと進む馬車の窓から外の様子を眺めました。
 今も施設の通路を多くの兵が歩いていて、まるで一つの街のようです。
 そんな中、僕を乗せた馬車はマイスター師団長さんの執務室がある事務棟の前に着きました。

「それでは、夕方になりましたらお迎えにあがりますので」

 屋敷に帰る馬車を見送りながら、僕は事務棟の中に入りました。
 夕方前までに治療を終えて事務棟に戻らないと思っていたら、僕の事を待っている人がいました。

「レオ君、お待ちしておりました。師団長の部下のコレットと申します。本日は、私がレオ君をご案内いたします」

 ビシッと軍服を身にまとった赤髪をポニーテールにしているカッコいい女性が、僕に挨拶をしてきました。
 こういう人が、きっとできる女性って事なんだろうね。
 僕もシロちゃんも、ワクワクしながらコレットさんの方に歩いていきました。

「コレットさん、今日一日よろしくお願いします」
「こちらこそ、かの有名な黒髪の魔術師様と一緒に仕事ができて光栄です」

 僕とシロちゃんが握手をすると、コレットさんはニコッとしながら握手してくれました。
 他にも、一人コレットさんの秘書の人がついてくれるそうです。
 僕達は、さっそく軍の敷地内にある治療施設に向かいました。

「コレットさん、大体どのくらいの人が入院しているんですか?」
「現時点では百五十名入院しております。全員が、骨折などの中等症以上になります」

 コレットさん曰く、ポーションがある程度あるので軽傷者は直ぐに治療しちゃうそうです。
 確かに骨折とかしていたら、ポーションだけじゃ治りません。
 ここは、僕もシロちゃんの出番って訳ですね。
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