282 / 584
第六章 バーボルド伯爵領
第三百七十七話 バーボルド伯爵家の跡取り夫婦
しおりを挟む
僕とシロちゃんは、準備が終わると侍従の人に連れられてパーティー会場を行う広間に行きました。
大きいテーブルが並んでいて、どうやら立食形式のパーティーになるみたいですね。
コバルトブルーレイク直轄領で勲章の授与式があった際も立食形式のパーティーだったよなあ。
因みに僕の身長だと辛うじてテーブルにどんな料理が置かれているかは分かるけど、実際に料理を取るのは不可能そうです。
料理は、侍従の人に僕が食べたいものを取ってもらうしかなさそうですね。
「それでは、お時間までこちらにておくつろぎ下さいませ」
僕は広間の壁際に置かれているソファーに案内され、サイドテーブルに置いてくれたジュースを口にします。
はあ、何だか始まる前から緊張していたからジュースがとっても美味しいよ。
準備も佳境になっているみたいなんだけど、会場を見回してもまだ来賓客は来ていないみたい。
と、ここで広間にキチンとした服を着た人が入ってきました。
結構背の高い男性と女性で、男性は短めの茶髪をキッチリとセットしていて女性は胸が大きくて薄い緑色のウェーブのかかったロングヘアです。
僕とシロちゃんは、ジュースをサイドテーブルに置いてソファーから立ち上がりました。
男性の方は、何となくネストさんに感じが似ているのは気のせいかな?
そんな事を思っていたら、男性の方から僕に話しかけてきました。
「やあ、君がレオ君だね。私はダンビル・バーボルド、伯爵家の嫡男だ。横にいるのは妻のシャンティだ」
「レオ君、初めまして。ダンビルの妻のシャンティよ。本当に可愛らしい男の子なのね」
僕とシロちゃんは、ニコリとしながら挨拶をしてきたダンビルさんとシャンティさんと握手をしました。
ダンビルさんがネストさんに似ていたのは、ネストさんの息子さんだったからなんだね。
「父上と母上は、来賓が到着したのでそちらの対応にまわっている。その間は、私と妻でレオ君をエスコートするよ」
「かの有名な黒髪の天使様とお話できるなんて、私もとても楽しみにしていたんですよ」
という事で、僕はダンビルさんとシャンティさんとお話をしながら時間を潰す事になりました。
ソファーに座ってジュースを飲みながら、二人と色々話をします。
「レオ君の逸話は数多く聞いているが、さっき父上から軍の訓練場の土を均したと聞いたよ。あんなに興奮して話す父上は、何だか久々に見た気がするよ」
「お義父様の話しぶりから察するに、レオ君の魔法は私達の想像を超えているのでしょうね。教会から聞いた数多くの逸話は、私はきっと本物だと確信しましたわ」
おおう、ダンビルさんもシャンティもキラキラした眼差しで僕の事を熱弁しているよ。
二人の圧力に押されちゃって、何だか僕もシロちゃんも少し体を反っちゃった。
そして、来賓も段々と会場内に入り始めた時でした。
バキッ、パリーン。
「きゃっ!」
女性の短い悲鳴が聞こえてきたのでみんなで声の方を向いたら、一人の侍従の人が手を押さえていました。
どうもグラスが何らかの原因で割れちゃって、指先を切っちゃったみたいです。
すぐさまダンビルさんとシャンティさんがソファーから立ち上がり、怪我をした侍従の元に歩み寄っていました。
二人のとても素早い動きに感心しつつ、僕とシロちゃんも二人の後をついていきます。
既に別の侍従の人が割れたガラスを片づけているけど、テーブルクロスの上にも少し血がついちゃっている。
「わ、若様、若奥様、申し訳ございません」
「そなたがわざとグラスを割った訳ではない、気にする事はない」
「そうね、グラスの割れ方を見るともう割れる寸前だったのかもしれませんね」
顔面蒼白で謝罪する侍従の人を、逆にダンビルさんとシャンティさんが慰めていました。
とりあえず、怪我をしちゃった侍従の人を治療して血で汚れちゃったテーブルクロスを綺麗にしないとね。
僕が侍従の人のところにいくと、シロちゃんがぴょんとテーブルの上にジャンプしました。
「じゃあ、直ぐに怪我をしたところを治療しますね」
「えっ?」
シュイン、ぴかー!
ここで侍従の人に治療すると確認したら断ってきそうな気がしたので、僕は侍従の人が返答する前に治療をしちゃいます。
シロちゃんも、既にテーブルクロスを生活魔法で綺麗にしていました。
「はい、これで怪我をしたところもテーブルクロスも大丈夫ですよ」
「レオ様、本当にありがとうございます」
侍従の人が僕とシロちゃんにお礼を言ったけど、このくらいは何も問題ないし大怪我じゃなくて本当に良かった。
これで、無事に歓迎会を開けそうですね。
「レオ君、私からも礼を言う。侍従の事だけでなく血の汚れまで気にかけてくれて、本当に助かった」
「レオ君だけでなく、シロちゃんも凄腕の魔法使いなのですね。本当にありがとうございます」
僕とシロちゃんにお礼を言ってきたダンビルさんとシャンティさんは、何だかホッとした表情をみせていました。
やっぱり歓迎会前に起きた事だから、二人とも気を張っていたんだね。
大きいテーブルが並んでいて、どうやら立食形式のパーティーになるみたいですね。
コバルトブルーレイク直轄領で勲章の授与式があった際も立食形式のパーティーだったよなあ。
因みに僕の身長だと辛うじてテーブルにどんな料理が置かれているかは分かるけど、実際に料理を取るのは不可能そうです。
料理は、侍従の人に僕が食べたいものを取ってもらうしかなさそうですね。
「それでは、お時間までこちらにておくつろぎ下さいませ」
僕は広間の壁際に置かれているソファーに案内され、サイドテーブルに置いてくれたジュースを口にします。
はあ、何だか始まる前から緊張していたからジュースがとっても美味しいよ。
準備も佳境になっているみたいなんだけど、会場を見回してもまだ来賓客は来ていないみたい。
と、ここで広間にキチンとした服を着た人が入ってきました。
結構背の高い男性と女性で、男性は短めの茶髪をキッチリとセットしていて女性は胸が大きくて薄い緑色のウェーブのかかったロングヘアです。
僕とシロちゃんは、ジュースをサイドテーブルに置いてソファーから立ち上がりました。
男性の方は、何となくネストさんに感じが似ているのは気のせいかな?
そんな事を思っていたら、男性の方から僕に話しかけてきました。
「やあ、君がレオ君だね。私はダンビル・バーボルド、伯爵家の嫡男だ。横にいるのは妻のシャンティだ」
「レオ君、初めまして。ダンビルの妻のシャンティよ。本当に可愛らしい男の子なのね」
僕とシロちゃんは、ニコリとしながら挨拶をしてきたダンビルさんとシャンティさんと握手をしました。
ダンビルさんがネストさんに似ていたのは、ネストさんの息子さんだったからなんだね。
「父上と母上は、来賓が到着したのでそちらの対応にまわっている。その間は、私と妻でレオ君をエスコートするよ」
「かの有名な黒髪の天使様とお話できるなんて、私もとても楽しみにしていたんですよ」
という事で、僕はダンビルさんとシャンティさんとお話をしながら時間を潰す事になりました。
ソファーに座ってジュースを飲みながら、二人と色々話をします。
「レオ君の逸話は数多く聞いているが、さっき父上から軍の訓練場の土を均したと聞いたよ。あんなに興奮して話す父上は、何だか久々に見た気がするよ」
「お義父様の話しぶりから察するに、レオ君の魔法は私達の想像を超えているのでしょうね。教会から聞いた数多くの逸話は、私はきっと本物だと確信しましたわ」
おおう、ダンビルさんもシャンティもキラキラした眼差しで僕の事を熱弁しているよ。
二人の圧力に押されちゃって、何だか僕もシロちゃんも少し体を反っちゃった。
そして、来賓も段々と会場内に入り始めた時でした。
バキッ、パリーン。
「きゃっ!」
女性の短い悲鳴が聞こえてきたのでみんなで声の方を向いたら、一人の侍従の人が手を押さえていました。
どうもグラスが何らかの原因で割れちゃって、指先を切っちゃったみたいです。
すぐさまダンビルさんとシャンティさんがソファーから立ち上がり、怪我をした侍従の元に歩み寄っていました。
二人のとても素早い動きに感心しつつ、僕とシロちゃんも二人の後をついていきます。
既に別の侍従の人が割れたガラスを片づけているけど、テーブルクロスの上にも少し血がついちゃっている。
「わ、若様、若奥様、申し訳ございません」
「そなたがわざとグラスを割った訳ではない、気にする事はない」
「そうね、グラスの割れ方を見るともう割れる寸前だったのかもしれませんね」
顔面蒼白で謝罪する侍従の人を、逆にダンビルさんとシャンティさんが慰めていました。
とりあえず、怪我をしちゃった侍従の人を治療して血で汚れちゃったテーブルクロスを綺麗にしないとね。
僕が侍従の人のところにいくと、シロちゃんがぴょんとテーブルの上にジャンプしました。
「じゃあ、直ぐに怪我をしたところを治療しますね」
「えっ?」
シュイン、ぴかー!
ここで侍従の人に治療すると確認したら断ってきそうな気がしたので、僕は侍従の人が返答する前に治療をしちゃいます。
シロちゃんも、既にテーブルクロスを生活魔法で綺麗にしていました。
「はい、これで怪我をしたところもテーブルクロスも大丈夫ですよ」
「レオ様、本当にありがとうございます」
侍従の人が僕とシロちゃんにお礼を言ったけど、このくらいは何も問題ないし大怪我じゃなくて本当に良かった。
これで、無事に歓迎会を開けそうですね。
「レオ君、私からも礼を言う。侍従の事だけでなく血の汚れまで気にかけてくれて、本当に助かった」
「レオ君だけでなく、シロちゃんも凄腕の魔法使いなのですね。本当にありがとうございます」
僕とシロちゃんにお礼を言ってきたダンビルさんとシャンティさんは、何だかホッとした表情をみせていました。
やっぱり歓迎会前に起きた事だから、二人とも気を張っていたんだね。
1,754
お気に入りに追加
5,426
あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」
「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」
「ま、まってくださ……!」
「誰が待つかよバーーーーーカ!」
「そっちは危な……っあ」


聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます
藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です
2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です
ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。
高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。
しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。
だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。
そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。
幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。
幼い二人で来たる追い出される日に備えます。
基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています
2023/08/30
題名を以下に変更しました
「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」
書籍化が決定しました
2023/09/01
アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります
2023/09/06
アルファポリス様より、9月19日に出荷されます
呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております
2024/3/21
アルファポリス様より第二巻が発売されました
2024/4/24
コミカライズスタートしました
2024/8/12
アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です
2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。