小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第六章 バーボルド伯爵領

第三百七十五話 バーボルド伯爵家の屋敷に到着します

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 無事に練習場の土を均すのも終わったし、これで今日の予定は終了です。
 後は、街に戻って一か月分の宿を探すだけです。

「それじゃあ、僕はこれで終わりですね。明日は何時に軍の施設に来れば良いですか?」
「明日は朝からお願いしたいのですが、この後何か用事でもありますか?」
「はい、一か月間泊まる宿を探そうと思っています」

 あれ?
 僕が宿を探すと言ったら、軍人さんが顔を見合わせちゃったよ。
 何か、不味い事でもあったかな?
 すると、ネストさんが僕の肩をポンと叩きながらとある事を話しました。

「レオ君、今夜は我が家でレオ君の歓迎会を行うのだよ。もちろん、今夜はレオ君は我が家に泊まって貰うぞ」
「ええー!」
「ははは、あの黒髪の魔術師を招くんだ。師団長を始めとする、軍の幹部も参加するぞ」

 とんでもない事を聞いちゃって、僕もシロちゃんもとってもビックリしちゃいました。
 わざわざ僕の歓迎会をしてくれるのも嬉しいけど、何だかこの後の展開が凄い事になりそうです。
 という事で、僕はネストさんが軍の施設に来た時に乗っていた馬車に乗って、バーボルド伯爵家の屋敷に向かう事になりました。
 軍の施設からバーボルド伯爵家の屋敷までは、馬車に乗ると直ぐに着くそうです。

 パカパカパカ。

「本当に多くの人が、街を忙しそうに歩いていますね」
「バーボルド伯爵領は、街道の要衝だ。コバルトブルーレイク直轄領や、セルカーク直轄領にも行くことができるぞ」

 多くの人が歩く街道の先に、僕が生活をした街が続いているんだ。
 そう思うと、何だか凄いことの様に感じられるね。
 そして、馬車は街道を真っ直ぐ進んでバーボルド伯爵家の屋敷に到着しました。
 大きな屋敷なのは間違いないんだけど、思ったよりも狭く感じちゃいました。

「レオ君は、我が屋敷が狭いのに気がついたみたいだな」
「あっ、はい。今まであった貴族の屋敷よりも、ちょっと狭いと思いました」
「我が領地は、人口の割にとても狭い。だから、街の人が暮らせる様に敷地面積は狭くしている。そのかわりに、三階建ての屋敷にしているぞ」

 街の人のことを考えて、屋敷を設計しているんだ。
 その分、色々な工夫がしてあるみたいですね。
 そして、屋敷に入るともう一つビックリした事がありました。

「凄い、武器や鎧がいっぱい飾ってあります!」
「我が家は武家だし、全て使える武具を飾ってあるぞ。もちろん、花瓶などもあるがな」

 壁には、剣や槍に鎧や盾が沢山飾ってありました。
 武器だらけの屋敷ってのは初めて見たけど、ネストさんを見ると何となく納得しちゃいました。
 そして応接室に案内された時に、一番ビックリする事が待っていました。

「おお、どこにいるかと思ったらここにいたのか」
「ええ、折角黒髪の天使様が我が家にいらして下さったのですよ。直ぐにお会いしたいと思いましたわ」

 ネストさんよりもずっと背が小さい、栗毛のロングヘアの女性が応接室の中で待っていました。
 お胸も小さいから、もしかしたらネストさんの娘さんかな?

「初めまして、僕はレオです。このスライムはシロちゃんです」
「まあまあ、ご丁寧にありがとうね。私は、イストワール。ネストの妻よ」

 えー!
 イストワールさんって、ネストさんの奥さんなんだ。
 僕もシロちゃんも、今日一番ビックリしちゃいました。
 とりあえず、僕達もソファーに座ってジュースを飲んで一息つく事に。

「ははは、レオ君はイストワールが私の娘だと思ったみたいだな。良く間違われるのだよ」
「私、こう見えても旦那様よりも年上なのよ。しかも、成人した息子がいるおばちゃんよ」

 僕とシロちゃんは、目の前の二人の話を聞いてジュースを口にしながら固まっちゃいました。
 この時点で、ネストさんよりもイストワールさんの方が凄いと思っちゃいました。

「今日は、広間で夕食を兼ねて歓迎会を行う。それまで、レオ君はゆっくりと休んでてくれ」
「出来れば、キチンとした服で参加して貰えると助かるわ。歓迎会の前にお風呂に入って、髪もセットしちゃいましょうね」

 とにかく、少しゆっくりできそうですね。
 何だか訓練場の土を均した魔法を使ったよりも、今の方がずっと疲れちゃいました。
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