小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第六章 バーボルド伯爵領

第三百七十一話 バーボルド伯爵領に到着しました

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 バーボルド伯爵領への旅も、いよいよ最終日の四日目に突入します。
 何もなければ、今日のお昼過ぎにバーボルド伯爵領の街に到着します。
 僕とシロちゃんは、いつもの朝の訓練をしてから宿を出ました。
 そして馬車乗り場に向かうと、何人かの冒険者が僕とシロちゃんを待っていました。

「レオ、出発か。気をつけて行けよ」
「久々にレオと話ができて、俺らも楽しかったぞ」

 冒険者のおじさん達とハイタッチをしてから、僕とシロちゃんは馬車に乗り込みました。
 因みに、冒険者のおじさん達は暫くこの子爵領で冒険者活動をするそうです。

「いってきまーす」
「「「きをつけてな」」」

 僕とシロちゃんは、見送ってくれた冒険者が見えなくなるまで手を振りました。
 また、冒険者のおじさんと旅をしたいなって思っちゃいました。

 パカパカパカ。

「今日は、晴れているけど風が冷たいね」

 昨日はちょっと雪が降ったりもしていたけど、今日は雲一つない晴天です。
 この時期らしく寒い風が吹いているけど、日差しの下だと陽のぬくもりを感じます。
 そして、馬車便が通る街道も段々と周囲の様子が変わってきました。

「畑とかも増えてきたけど、森があまり見当たらないですね」
「この辺は昔から平原が広がっていたから、開墾が続いて多くの土地が畑になっているぞ」

 御者の人が僕の質問に返答してくれたけど、今は何も作物を育てていないけど広い畑が広がっています。
 幾つかの川も流れていて、春になると沢山の作物が作られるんだ。
 こういうのを見るのも、旅の醍醐味です。
 そして平原が続いているので、街道には殆どオオカミとかも現れません。
 周囲を検索しても、小動物が検知されるくらいです。

「あっ、防壁が見えてきた。あれが、バルボードの街なんですね」
「軍の駐屯地も、直ぐに分かるところにあるぞ」

 予定よりも少し早く、僕達を乗せた馬車はバーボルド伯爵領に到着しました。
 街はとてもコンパクトなんだけど、街にいる人の数が物凄いです。

「あっ、大きな街道が街から複数出ていますよ」
「バーボルド伯爵領は街道の要衝だ。色々な街道が、このバーボルド伯爵領から出ていくんだ」

 大きな街道がいっぱいあるから、その街道を通って直ぐに軍隊が色々なところに行けるんだ。
 ちっちゃい街なのに、バーボルド伯爵領は凄いんだね。
 そして僕達を乗せた馬車が馬車乗り場に着くタイミングで、更に驚いた事が起きました。

 パカパカパカ。

「よいしょっと。あれ? 軍の馬車が来ているよ」

 馬車便を降りた僕とシロちゃんは、軍の馬車と護衛の兵が馬車乗り場に停まっていてビックリしちゃいました。
 しかし、馬車から降りた人を見て、僕とシロちゃんはもっとビックリしちゃいました。

「あっ、マイスター師団長さん!」
「やあレオ君、久しぶりだね。別れた時から比べたら、随分と体も大きくなったね」

 コバルトブルーレイク直轄領で会って以来の、マイスター師団長さんとの再会です。
 僕とシロちゃんは、嬉しくなりながらマイスター師団長さんと握手をしました。
 すると、マイスター師団長さんは僕にとある事を言ってきました。

「レオ君、馬車に乗ろう。このまま軍の施設に行くぞ」
「ええっ! でも僕はまだ昼食を食べていないので、昼食を食べてから軍の施設に行こうかな。なんて」
「なんだ、その事か。私もこれからだから、一緒に昼食を食べよう。バーボルド伯爵も、後ほど合流する事になっているぞ」

 な、何だかバーボルド伯爵領についた瞬間に、いきなり大事になってきちゃったよ。
 僕とシロちゃんは、お互いに顔を見合わせながらマイスター師団長さんの後をついていきました。
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