小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第五章 シークレア子爵領

第三百六十三話 みんなに配るピンブローチを作ります

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 段々と新しい旅に出発する日が近づく中、僕とシロちゃんはいつも通りにお仕事をしています。
 というのも、実は旅の支度を殆どする必要がありません。
 必要なものは全て僕の魔法袋とアイテムボックスにしまっているし、服も既に新調したので問題ありません。
 既にお世話になった人には簡単に話をしているけど、出発前にもう一度挨拶しに行く予定です。
 という事で、今日も僕とシロちゃんは鉄板の加工を行っています。

 シュイーン、すぱっ。

「そうそう、そんな感じだ。続けていくぞ」
「「「はい」」」

 あのスラム街の男の子も木材加工用の魔導具の使い方に慣れてきたので、どんどんと木材を加工していきます。
 中々良い感じに作業が進んで行くので、指導役の職人さんも思わずニンマリとしています。
 鉄板加工の練習も始まっているので、これなら僕とシロちゃんが旅に出ても全く問題ないですね。

「そういや、レオは王都に行ったらどうするんだ?」

 鉄板加工をしていると、ザンギエフさんが僕に質問をしてきました。
 シークレア子爵領からバルボード伯爵領に行って、その後に王都に行くとみんなに伝えています。
 なので、僕が王都に行ってどんな事をするのか気になっているみたいです。

「まず、フランソワーズ公爵家に行ってクリスちゃんに会ってきます。他にも挨拶をしたい貴族の人がいるので、王都で冒険者の依頼を受けながら貴族家に行きます」
「複数の貴族家に挨拶に行くとは、改めてレオの人脈は凄いと思うぞ」

 ザンギエフさんが苦笑しながら返答していたけど、いつの間にか沢山の貴族の知り合いが出来たんだよね。
 王都に行ったら更に貴族の知り合いができるかもしれないし、それはそれでとってもワクワクする事だね。
 こうして無事にお仕事を終えて宿に戻ったら、部屋であるものを作ります。

「よく考えたら、久々にピンブローチを作るね。よーし、頑張るぞ」

 お世話になった女性に贈るためのピンブローチを、僕とシロちゃんはポチポチと作り始めました。
 この前商会に行った際に、ピンブローチの材料を沢山購入しました。
 シークレア子爵領にいる間は男性の人と一緒にいる事が多かったから、ピンブローチを作るイベントがなかったもんね。

 ポチポチポチ。

 僕とシロちゃんは、贈る人の事をイメージしながらピンブローチを作っていきます。
 シークレア子爵領で出会った女性はみんな良い人ばっかりだったから、僕もシロちゃんもピンブローチ作りに熱が入ります。

 ポチポチポチ。

「よーし、出来上がった!」

 そして、数日かけて全てのピンブローチが出来上がりました。
 中々の出来に、僕もシロちゃんも大満足です。
 出来上がったピンブローチは、無くさない様に僕の魔法袋とシロちゃんのアイテムボックスにしまいます。
 これで、挨拶に行く準備は万端です。
 出発する前日に纏めて挨拶に行く予定で、その日は何も依頼を受けない予定です。

 コンコン。

「はーい」
「レオ君、夕食が出来たわよ」

 今度はどんな旅になるかなと思っていたら、ナディアさんが夕食が出来たって教えてくれました。
 頑張ってピンブローチを作ったので、いつも以上にお腹が空きました。
 今日は、どんな夕食なのかな?
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