小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第五章 シークレア子爵領

第三百五十八話 初めての釣りです

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 別の安息日には、みんなで海に行って釣りをしに行きました。
 海水浴に行った事はあったけど、釣りは初めての体験です。

「餌は疑似餌でも良いし、ゴカイみたいな生き餌も釣具屋で売っているぞ」

 みんなで港に向かって歩きながら、ザンギエフさんが色々と説明してくれました。
 因みにザンギエフさん達は自前の釣り竿を持っていて、なんとナディアさんも専用の釣り竿を持っていました。
 僕とダリアさん達は釣り竿を持っていないので、釣具屋さんで借りる事にしました。
 そして、釣具屋さんに入って僕とシロちゃんはとてもビックリしました。

「えー! これが生き餌ですか! ミミズみたいなのがウネウネしていて、とても持ち悪いですよ」
「ははは、生き餌を初めて見たら誰もがその反応をするな。生き餌に似せた疑似餌もあるぞ」

 カップに入った生き餌を見て、僕とシロちゃんは身震いしちゃいました。
 うねうねヌメヌメと動いていて、思わず鳥肌が立ちました。
 うん、とてもじゃないけど僕とシロちゃんは生き餌は無理そうです。
 ということで、僕とシロちゃんは子ども用の釣り竿一式に疑似餌を選択しました。
 ザンギエフさん達は、普通に生き餌を選択しています。

「うーん、私達も生き餌にしましょうか」
「そうだね。やっぱり生き餌の方が釣れるんだよね」
「私は、生き餌と疑似餌の両方を使ってみるわ」
「私も、念の為に疑似餌も選択しておこう」

 ダリアさん達も、迷う事なく生き餌を選んでいました。
 どうも、地元の川とかで釣りをした事があるそうです。
 そして、岸壁は釣具屋さんの目の前にあるんだけど、安息日ってのもあって多くの人が釣りを楽しんでいました。
 僕たちも岸壁に移動して、さっそく釣りを始めます。

「疑似餌は餌が動かないから、たまに釣り竿を動かして本物の餌の様に見せるのがポイントだ」
「確かに、他の人も釣り糸をちょこちょこと動かしていますね。さっそくやってみます」
「おう、頑張れや。釣った魚は、昼食や夕食のおかずになるぞ」

 ザンギエフさんに、簡単に釣りのやり方を教えて貰います。
 釣り糸を巻く道具がついているので、釣れたらこの道具にあるレバーを巻くそうです。
 ではでは、さっそく記念すべき一投目です。

「えい!」

 ひゅーん、ぽちゃん。

 僕が投げた釣り糸が、あまり飛ばなかったけと少し先の海面にポチャリと落ちていきました。
 シロちゃんも、僕の横で釣り糸を垂らしています。
 他の人も、次々と釣りをはじめました。
 えーっと、たまに釣り糸を動かしてっと。

「あっ、ヒットした!」

 そして、釣りを開始して五分も経たないうちに、ナディアさんの釣り竿にあたりがきたみたいです。
 ナディアさんは、少しずつ釣り糸を巻き上げていきます。

 バチャン!

 そして、中々の大きさのお魚を釣り上げていました。
 あっという間にお魚を釣り上げるなんて、ナディアさんは本当に凄いね。

「うーん、思ったよりも小さかったわ。もう少し大物って感じのあたりだったんだけどね」
「しゃーない、そういう時もあるさ」

 ナディアさんは、素早く釣った魚から釣り糸を外して、海水を入れたバケツに魚を入れていました。
 そして、直ぐに次の生き餌を針につけています。
 釣りに慣れているだけあって、とっても手早い手つきです。

「あっ、私にもあたりがきたわ」
「俺のにも、あたりがきたぞ」

 ナディアさんがお魚を釣ったのを皮切りに、どんどんと他の人もお魚を釣り上げています。
 そして、遂に僕の釣り竿にも動きがありました。

 くいくい、ぐいっ!

「あっ、釣り糸が引っ張られていきます!」
「おっ、レオにもあたりがきたみたいだな。慌てずに、ゆっくりと釣り糸を巻き上げていけ」

 僕は、隣にいるゲナンジーさんのアドバイスを聞きながら、身体能力強化をつかいながらゆっくりと釣り糸を巻き上げていきます。
 同じタイミングでシロちゃんの釣り竿にもあたりがきたので、みんなが手伝ってくれました。

 バチャン!

「わあ! お魚が釣れました!」
「初めてにしては、中々の大きさだな。いま、針から魚を外してやるぞ」
「良いサイズだね。レオ君もシロちゃんも、魚が釣れて良かったね」

 ザンギエフさん達もダリアさん達も、僕とシロちゃんの事を凄いって褒めてくれました。
 僕もシロちゃんも、初めてお魚を釣ることが出来てとっても満足です。
 その後も、僕とシロちゃんはザンギエフさん達やダリアさん達には及ばなかったけど、数匹のお魚を釣ることができました。
 お昼前に釣具屋さんに借りていた釣り竿を返して、みんなで釣ったお魚を持って宿に戻りました。

「ただいま」
「おかえりなさい。ふふ、その様子だと初めての釣りを楽しめたみたいね」

 宿に帰ると、オリガさんが出迎えてくれました。
 バケツに入っているお魚を見て、直ぐに釣りが面白かったと分かってくれたみたいです。
 そして、釣ったお魚はユリスさんがとっても美味しい料理にしてくれました。
 自分で釣ったお魚を食べられるなんて、今日はとっても良い経験ができました。
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