小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第五章 シークレア子爵領

第三百五十四話 新たな作業担当

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 ライサさんが二週間の滞在でシークレア子爵領から王都に帰っても、僕はいつも通り造船場で働いています。
 最近は旗艦船だけじゃなくて、高速船の建設も始まっています。
 僕は、仕事の合間に時々建造用ドックを見せて貰っています。
 今日は、所長さんと一緒に建造用ドックの前にいます。

「高速船は、思ったよりも小さいんですね。旗艦船よりもずっと小さいです」
「小回りが効くように作っているからな。最新の魔導具を使った推進部を取り付けるから、かなりの速さがでるぞ」

 旗艦船は外観はできているけど、中身はまだまだなんだって。
 来年にならないと完成しないらしいけど、それでも僕とシロちゃんが頑張ったから予定よりも半年早く出来るんだって。
 その横のドッグで作っている高速船も、既に外観はできています。
 高速船の方は来年の春前にできるみたいで、もしかしたら僕が出発する前にできるかもしれないって言っていました。
 いずれにせよ、僕とシロちゃんが作っていたパーツが形になるって凄いよね。

「レオのお陰で、かなりのスピードで船が建造できた。レオはもう少しシークレア子爵領にいるみたいだが、ここからは船内での作業が主になってくる。パーツは大体できているから、レオの作業は少なくなってくるだろうな」
「でも、僕もシロちゃんももっと頑張りますよ。他の船のパーツも作り始めましたし、お仕事はまだまだありますよ」
「ははは、元気で良い事だ。まあ、建造用ドックが埋まっているから、当分は目の前の船を作る事に集中だな」

 僕もシロちゃんもまだまだお仕事があるので、所長さんとはここで別れていつもの作業場の倉庫に向かいました。
 実は、木材の搬入待ちで少し空き時間ができていたんです。
 もう木材も搬入できたみたいなので、僕もシロちゃんも仕事を再開します。

「おお、そうだ。レオ、少し仕事のペースを落としてくれ。新入りに今後の木材のカットの仕方を教えないとならないんでな」
「分かりました。僕も先輩として頑張って教えます!」
「やる気満々だな。じゃあ、やるぞ」

 実は先週から加工場に移ってきた人が入ってきたんだけど、加工用魔導具の扱いがとっても上手だった。
 なので、手が空いている今のうちに職人さんが色々と教える事になりました。

「あのあの、僕なんかで良いんでしょうか?」
「いいんだよ。少しくらいの失敗は気にするな」

 そうです、あのスラム街から来ている男の子が加工班に移ってきました。
 今まで一生懸命に仕事をしていたので、新たな仕事を任せられるようになりました。
 職人さん曰く、男の子の父親が手先が器用だったので男の子も手先が器用になったのではないかなという事です。
 今までも経緯があるので、職人さんも男の子の親代わりとして色々教えたいみたいです。

 シュイーン、シュイーン。

 まず練習という事で、一枚の木の板を魔導具を使ってくり抜く作業を行なっています。
 因みに、この木の板は歪みがあったのでどっちにしても使用しないものです。

「そうだ、あまりゆっくりやっても手元がぶれるから素早くやるのがコツだぞ」
「「「はい!」」」

 男の子三人は、真剣な表情で加工用の魔導具を扱っています。
 もう直ぐ冬に近づいているのに、男の子の額からは汗がにじみ出ています。

「よし、こんなもんだろう。中々良い感じにできているな」
「「「ありがとうございます」」」
「じゃあ、少し休んで次の練習を行なうぞ」
「「「はい!」」」

 僕から見ても中々良い感じに木材が切断できたので、職人さんも満足そうに頷いていました。
 男の子は集中して汗だくになっちゃったので、タオルで汗を拭いたりしていました。
 でも、このまま頑張れば男の子は直ぐに戦力になりそうです。
 午前中はこんな感じで、男の子達の頑張りを見つつ僕とシロちゃんも木材のカットを進めました。

「「「疲れた……」」」
「ははは、初めての仕事らしいからね。昼食を食べて、元気をつけな」

 男の子達が加工班に入ったので、昼食を食べるタイミングも僕と一緒になりました。
 初めての体験でずっと集中していたからか、男の子達はぐったりとしていました。
 でも、食堂のおばちゃんも何で疲れているのか分かっているので、男の子達には大盛りのランチ定食を配膳していました。
 男の子達の事をみんなで見ているって事だから、男の子達も午後も頑張らないといけないね。
 焼肉定食を食べながら、僕とシロちゃんはそんな事を思っていました。
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