小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第五章 シークレア子爵領

第三百三十八話 オリジナルスタンプができたよ

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 次の安息日の前日、教会での治療を終えて宿に戻ると僕のオリジナルスタンプが出来たってオリガさんが教えてくれました。

「商会の職人も、会心の出来だって言っていたわよ」

 オリガさんが、スタンプの入った箱を僕に渡してくれました。
 さっそく箱を開けて、シロちゃんと一緒に出来上がったスタンプを見てみました。

「わあ、とってもカッコよく出来上がっています! 魔法使いの帽子を被ったスライムの周りに、綺麗な装飾がしてあります!」
「あら、これは中々の仕上がりね。しかも一週間で作るとは、職人も気合が入っていたのね」

 使うのが勿体ないくらい、とってもカッコいいスタンプだよ。
 でも、こういうのはちゃんと使わないと駄目だよね。
 という事で、お風呂に入ったらテストを兼ねて余った紙に試しの封蝋をしてみます。
 他のスタンプで封蝋の練習をしたから、封蝋のやり方はバッチリです。
 僕は、ササッとお風呂に入って部屋に戻りました。

「ではでは、さっそく試しの封蝋をやってみよう。まずはスプーンにロウを乗っけて、火魔法を使って温めよう」

 ここでは、実際に火は出ません。
 何というか、空気を温める感覚なんだよね。
 おっ、ロウが溶けてきたよ。

「上手く丸くなる様に、紙に垂らしてっと」

 スプーンからロウを垂らして、紙の上に丸くなるようにします。
 そして、ここからがお試しですね。

「ロウが熱いうちに、スタンプをペタリと押し付けてっと。できた!」

 とっても綺麗なスタンプが押せて、魔法使いの帽子を被ったスライムが現れたよ。
 わあ、こうやってみるととってもカッコいいなあ。
 後は、ロウが冷めるまで待ちましょう。

「凄いや! こうして出来上がったのを見ると、もっと凄いと思うよ」

 僕だけでなく、シロちゃんも大満足の出来上がりです。
 これなら、僕の書いた手紙って直ぐに分かるよ。
 ちょうど夕食の時間なので、みんなに出来上がった封蝋を見てもらおっと。
 僕は、ウキウキしながら食堂に向かいました。

「おお、確かにこれならレオの書いた物って直ぐに判るな」
「魔法が使えるスライムを連れているなんて、レオ君しかいないですから」

 ザンギエフさん達もダリアさん達も、魔法使いの帽子を被ったスライムが押されている封蝋を見て直ぐに僕のだと理解してくれました。
 やっぱり、インパクトが大きいスタンプだから分かりやすいよね。

「そういえば、金物屋のオヤジが凄い仕事が来たと張り切っていたな。何でも、黒髪の天使様からの依頼だって言っていたぞ」

 ユリスさんは僕と一緒に商会にスタンプを買いにいっていたから細かいことまで分かっているけど、誰が作っていたかは秘密にしていたんだ。
 ニヤリとして、僕の方を向いていたよ。

「後で封筒にこのスタンプで封蝋をして、明日お屋敷に持っていきます」
「そうね。こういうのは早い方が良いわね。ナディアちゃん、明日一緒について行ってあげてね」
「えっ、お屋敷でしょ? さ、流石に緊張しちゃうよ……」

 あらら、ナディアさんはオリガさんに言われて明日僕と一緒にお屋敷に行くみたいだけど、ナディアさんはお屋敷に行ったことが殆どないみたいだよ。
 でも、セルゲイさんもアンジェラさんもとても良い人だから、全然気にする事はないと思うよ。
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