小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
236 / 584
第五章 シークレア子爵領

第三百三十一話 海軍総司令官

しおりを挟む
 着替えが終わったタイミングで、お屋敷から迎えの馬車が宿に到着しました。
 僕とザンギエフさんは、迎えの馬車に乗り込みます。

「ザンちゃん、レオ君、気をつけてね」
「お兄ちゃん、ちゃんとレオ君を守るのよ」

 僕たちは、オリガさんとナディアさんに見送られながら宿を出発します。
 といっても、宿からあっという間にお屋敷に到着です。
 僕たちは、直ぐに応接室に案内されました。
 応接室にはセルゲイさんとアンジェラさんに、ワイアットさんもいます。
 更にもう一人見知らぬ男性がいました。
 ザンギエフさんに負けず劣らずの筋肉ムキムキに加えて金髪を短髪にしている人で、立派な口ひげとあごひげも生えています。

「やあ、レオ君、ザンギエフ、仕事帰りに寄って貰って悪いな」
「今日は、お客様をお二人に紹介したいと思いましてお呼びしたのですわ」

 セルゲイさんとアンジェラさんが僕たちを呼んだわけは、初めて会う人を紹介する為なんだ。
 さっそく自己紹介をします。

「初めまして、僕はレオです。このスライムは、シロちゃんです」
「俺は冒険者兼宿の従業員のザンギエフだ。今は、レオのお守りもしている」
「ふむ、中々礼儀正しいな。私はビクター・ホルバー伯爵だ。海軍総司令官もしている。ワイアットの上司にあたるぞ」

 おお、ビクターさんはワイアットさんの上司なんだ。
 軍人さんだから、筋肉ムキムキなんだね。

「まずは、海軍を代表して礼を言う。この度の軍船作りに協力頂き感謝する。お陰で、予定よりもかなり早く旗艦船の就航ができそうだ」
「僕だけでなく、ザンギエフさんや職人さんも頑張っているので早くお船が出来ると思います」
「はは、そうだな。一人の功績だけでなく、多くの人が携わるからこそ巨大船が出来るという訳だ。レオは幼いのに、その事をよく分かっている」

 荒海一家の脅威も殆どなくなったので、軍の造船所はフル回転で動いています。
 僕とシロちゃんは木材や鉄板を沢山切る事しかできないから、やっぱりザンギエフさんや職人さんの力は大きいよね。
 すると、ビクターさんは一枚の手紙を僕に差し出しました。

「これは、フランソワーズ公爵家から渡されたものだ。フランソワーズ公爵家が、俺が王都からシークレア子爵領に行くと知ったのでな」
「ありがとうございます。その、さっそく開けてみても良いですか?」
「その手紙はレオ宛だ。好きにすれば良い」

 僕はさっそく手紙を開いて中身を見ました。
 ターニャさんだけでなく、フランソワーズ公爵本人からも僕にお礼が書いてあったよ。
 王都に来たら、是非招待したいと書いてあるよ。

「あっ、クリスちゃんも手紙を書いてくれたんだ。頑張って書いたんだね」
「レオ、もしかしてコバルトブルーレイク直轄領で治療した公爵家令嬢の事か?」
「あっ、はい、そうです。僕の二歳下で、とっても可愛い女の子です」
「そっか……レオには既に嫁さん候補がいるのか……」

 あれ?
 クリスちゃんの事を話したら、何故かザンギエフさんがずーんって暗くなっちゃったよ。
 うーん、何かあったのかな?

「ははは、レオにはまだ分からない事だな。それにしても、ザンギエフも大きくなったな」
「そ、総司令官、俺の事を知っているんですか?」
「この街に関わりのある者は、全員オリガとその子どもを知っている。街中を走り回っていた子どものザンギエフや兄弟を、視察に来る度に見ていたぞ」

 おお、今度はザンギエフさんがビクターさんを超ビックリな表情で見ていたよ。
 開いた口が塞がらないって、まさにこの事なんだ。
 まさか、物凄く偉い人に自分の小さい頃の姿を見られていたとは思わなかったんだろうね。
 あっ、そうだ。
 ビクターさんに確認しないといけないことがあるよ。

「ビクターさん、フランソワーズ公爵家に返信を書きたいんですけどどうすれば良いですか?」
「うむ、そうだな。返信だったら、シークレア子爵家に頼むのが良い。王都にあるシークレア子爵家の屋敷から、フランソワーズ公爵家に手紙が届けられるだろう」
「私もフランソワーズ公爵家に一筆したためよう。レオ君の事を書かないとならないな」

 セルゲイさんも手紙を書くそうなので、僕の手紙が出来上がったらお屋敷に届けよう。
 ふふ、ちょっと楽しみができたなあ。

「俺は、最低でも一ヶ月はシークレア子爵領にいる。明日、さっそく造船所に顔を出そう。その後は、たっぷりと部下をしごいてやらんとな」

 ビクターさんがニヤリとワイアットさんの事を見ていたけど、取り敢えず明日はビクターさんが造船所に来るんだ。
 それなら、僕とシロちゃんも頑張って働かないとね。
 こうして和やかにお話は進んで、夕食までご馳走になっちゃいました。
 夕食の間中みんながザンギエフさん達の小さい頃の話をしていて、その度にザンギエフさんが思わず小さくなっちゃいました。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。