小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第五章 シークレア子爵領

第二百九十六話 強盗を捕まえます

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 シークレア子爵領への旅も三日目になりました。
 僕とシロちゃんは、とってもふかふかで気持ちいいベッドで目が覚めました。

「うーん、気持ちいい朝だね。でも、普通のベッドで寝られなくなっちゃったらどうしよう……」

 ふかふかのベッドを手で軽く押しながら、僕はちょっと不安になっちゃいました。
 そういえばミシャさんのお家のベッドもふかふかだったし、暫く普通のベッドで寝ていないかも。
 まあ、何とかなるかなと思いつつ僕は寝ているシロちゃんを起こしました。

「ディフェンダーズ伯爵領からシークレア子爵領までは、普通の馬車便で五日かかる。まあ、道中何もなければの話だがな」

 食堂で朝食を食べながら、マンデラ様が道中の事を教えてくれました。
 確かに、コバルトブルーレイク直轄領からサンダーランド辺境伯領に来る間に街道の土砂崩れがあったし、何が起こるかわからないもんね。

「それにレオ君なら大丈夫かと思うが、盗賊が馬車便を襲う事もある。十分に気をつける事だ」

 そういえば、盗賊団や窃盗団と何回も遭遇したね。
 僕とシロちゃんは大丈夫だけど、他の乗客が被害にあう可能性もあるね。
 さて、朝食も食べ終えて準備万端です。
 僕とシロちゃんは、玄関に移動しました。

「泊めてくれて、ありがとうございます」
「これくらいは気にしなくていいぞ。道中気をつけてな」
「また、いつでも遊びに来て良いのよ」
「レオ君に負けないように、私も頑張るね」

 僕とシロちゃんは、ディフェンダーズ伯爵家の人たちと握手をして別れました。
 また遊びにいきたいね。
 さてさて、馬車乗り場を目指さないと。
 僕とシロちゃんは、街中に向けて歩き始めました。

 パカパカパカ。

「今日は、沢山の人が馬車に乗っているね」
「春になったし、色々な人が動き出しているぞ」

 今日乗った馬車は、満員御礼です。
 仕事で各地に行く人や、冒険者も馬車に乗っています。

「レオ君もこの馬車に乗っていたのね」
「昨日は、わざわざ炊き出しを手伝ってくれてありがとうね」

 そして、若いシスターさんも二人同乗していました。
 何でも今日泊まる村もディフェンダーズ伯爵領で、そこの教会に向かうそうです。
 昨日の炊き出しも手伝っていたみたいで、僕の姿も目にしたそうです。

「こうしてレオ君と馬車に乗ると、奇跡を目にすると言われているわ」
「今までも、レイスを倒したり盗賊を捕まえたりしているんですよね」

 うう、たまたまシスターさんが馬車便に同乗している時に色々あったんだよね。
 でも、今日はディフェンダーズ伯爵領の街道を進む訳だし、何にも起きない気がするよ。

 パカパカパカ。

「わあ、お花がいっぱい咲いていますね。とっても綺麗です」
「レオ君が草原に咲いている花を見てはしゃいでいる、眼福ですわ」
「黒髪の天使様も、小さな男の子なんですわね」

 春なので、そこら中で沢山の綺麗なお花が咲いています。
 僕もシロちゃんも、馬車からお花を見ています。
 シスターさんが何か言ってるけど、あまり気にしなくていいですね。
 こうして、道中何も起きる事もなく無事に今夜泊まる村に到着しました。

「レオ君、またディフェンダーズ伯爵領に来たら会いましょうね」
「今日は、可愛いレオ君がいっぱい見れたわ」

 馬車乗り場でシスターさんと別れて、今日泊まる宿を目指します。
 確か、食堂併設の宿なんだよね。
 こういう宿って、何だか久しぶりだなあ。
 そんな事を思いながら宿の前に着いたら、大変な事が起きていました。

 バリン、バリン!
 バキン、ドカン!

「キャー!」
「おらー! 金出しやがれ!」
「店をぶっ壊されたいのか!」

 あっ、食堂で暴れている集団がいるよ。
 どう聞いても、強盗団みたいなセリフを言っているね。
 お店にいた人も、我先に逃げているよ。
 悪い人は、やっつけないと。
 僕は、お店の中に入りました。
 そして、シロちゃんもこっそりとお店の奥の方に移動しました。

「あの、もしかして強盗ですか?」
「あぁ! 何だこのガキは」
「ぶっ殺されたいのか?」

 僕が軽く話しかけると、どう見ても悪者みたいなセリフを言っているね。
 ナイフを僕に見せているし、店員さんも人質にとっているよ。
 シロちゃんが、上手く人質に取られている人の側に移動したね。
 じゃあ、遠慮なくやっちゃいましょう。

 シュイーン、バリバリバリ!

「「ギャー!」」

 バシュ、ドカン!

「グハァ……」
「えっ、えっ?」

 僕が二人の強盗犯にサンダーバレットを放ち、シロちゃんがセイントバレットを放ちました。
 お店で暴れていた二人は痺れて倒れて、人質を取っていた者もシロちゃんの魔法で派手にぶっ飛びました。
 人質に取られていた店員さんは、訳が分からないみたいですね。
 念の為に、三人をバインドで固定しちゃおう。

 バシュ。

「もう、これで大丈夫ですよ。シロちゃん、念の為に治療してあげてね」
「あっ、ありがとうございます……」

 未だに店員さんはポカーンってしているけど、怪我はなさそうですね。
 と、ここで守備隊の人がやってきました。

「店内で暴れている者がいると聞いた……これは何だ?」
「既に、三人が拘束されているぞ」

 あっ、そうか、守備隊の人に何が起きたか説明をしないといけないね。
 人質に取られていた店員さんの周りに、他の店員が集まって無事を喜んでいました。

「えっと、僕はレオです。今日泊まる宿に着いたら、大騒ぎしている人がいたんです。僕もナイフで脅されたし人質も取られていたので、僕の雷魔法とシロちゃんの聖魔法で倒してバインドで固定しました」
「そ、そうか。説明ありがとう。細かい話は、店員から聞くしかないな」
「しかし、黒髪の魔術師に喧嘩を売るとは。コイツラも馬鹿だな」

 守備隊の人が強盗団を縄で拘束したので、僕はバインドを解除しました。
 椅子やテーブルがひっくり返ってるから、元に戻さないとね。

「うわあ、凄い所を見ちゃった……」
「レオ君って、本当に強いのね」

 あれ?
 さっき別れたシスターさんが、何故かお店の前にいるよ。

「何かあったんですか?」
「食堂で暴れている人がいるって聞いたから、レオ君が巻き込まれていないか見に来たのよ」
「そうしたら、あっという間に強盗犯を倒しちゃうんだから。本当に凄いわ」

 シスターさんがキラキラした目で僕を見ているけど、何だか他の人も集まってきちゃったよ。
 多分強盗は、脅してお金を得たらさっさと逃げるつもりだったのかな。
 タイミング的に、僕がお店に入る直前に強盗に入ったんだね。
 さてさて、無事にお店の後片付けも終わったみたいだし、ギャラリーから逃げる意味でもお店の中に入って宿の予約をしよっと。
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