上 下
192 / 515
第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百八十七話 出店を見て回ります

しおりを挟む
 窃盗団騒ぎから二日後、僕とシロちゃんはフレアさんとミシャさんと一緒に出店に出ています。

 あみあみあみ、ポチポチポチ。

「あっ、そういえば窃盗団を制圧してから、スリがだいぶ少なくなったってお父さんが言っていたよ」
「わあ、良かったですね。でも、まだまだスリがいるんですね」
「こればっかりはしょうがないわ。また新たな窃盗犯がやってくるだろうし、守備隊とのいたちごっこになるだろうね」

 ミシャさんがふと思い出したように話してくれたけど、街が安全になるのは良いことだね。
 そして花祭りも後半戦になって、出店もようやくお客さんが一息つく様になりました。
 お陰で僕達も少し余裕が出てきていて、折角なので今日の昼食は他の出店で出されているものを食べようという事になりました。

「でも、色々な人が差し入れって言って食べ物を持ってきてくれたんですよね」
「お客さんが増えたから、食事を出している所も大盛況らしいよ。うちの武器屋ですら売上が過去最高なんだから」
「折角だから、差し入れをくれた所にお礼を言いましょうね」

 どの出店も、盛り上がっているのはとっても良いことだね。
 という事で、昼食時間になったので出店に休憩中の張り紙をしていざ出発です。
 まずは、お隣のフレアさんのお店です。

「わあ、沢山のお客さんが武器を見ていますね」

 武器屋さんの中は、沢山の人で溢れかえっていました。
 在庫品処分セールは売り切れで終わっちゃったみたいだけど、それでも次々と武器や防具が売れていきます。
 カウンターにいるミシャさんのお母さんも、他の人と一緒に忙しそうに対応していました。

「忙しそうだから、また後にしましょう」
「でも、とても盛況で良かったわ」

 忙しい所を邪魔しちゃ悪いと思って、僕達は武器屋さんを後にしました。
 そして、差し入れをくれた出店に向かいます。

「こんにちは」
「おっ、有名人が来たな」

 先ずは、串焼きの出店に行きます。
 余り物って言って、お肉の串焼きを差し入れてくれたんだよね。
 歯ごたえ抜群のお肉で、今日も沢山の人が並んでいました。
 すると、シロちゃんがぴょんと僕の頭から腕の中に飛び降りました。

 シュッ。

「おお、皆の分を買おって事か? 気の利いたスライムだな」

 何と、シロちゃんがアイテムボックスから人数分の串焼きのお金を取り出して店主のおじさんに渡していました。
 店主は、ビックリしながらも普通に対応してくれました。

「シロちゃんありがとうね」
「ありがたく頂くわ」

 フレアさんとミシャさんも、シロちゃんにお礼を言いながら店主から串焼きを受け取っていました。
 僕とシロちゃんは、串焼きをはんぶんこしました。
 思ったよりも固くなく、とっても美味しいね。

「もぐもぐもぐ。シロちゃん、ありがとうね。とっても美味しいよ!」

 僕もシロちゃんにお礼を言いました。
 シロちゃんも、満足そうに触手をふりふりとしていました。
 次はパン屋さんの出店です。
 とっても美味しいパンを作っているんだよ。

「あら、皆来てくれたのね。わざわざありがとうね」

 パン屋さんの奥さんが、ニコリとして僕達を出迎えてくれました。
 パン屋さんの出店も、とっても大盛況ですね。

「色々な種類のパンが置いてありますね。でも、普段お店に置いていないパンもありますね」
「試作品を販売しているのよ。売上が良かったら、お店のメニューに入れようと思っているのよ」

 パン屋が作るパンはどれも美味しいから、試作品でもとっても美味しそうだよ。
 僕達は試作品のサンドイッチを買って、皆で分ける事にしました。

「もぐもぐもぐ、このサンドイッチもとっても美味しいですね」
「野菜も沢山使われているし、味も良いわ」
「手も汚れないし、とっても良いわね」
「ありがとうね。メニューに入れるか検討するわ」

 新しいサンドイッチも、皆大絶賛です。
 普通に販売しても、沢山売れそうです。
 僕達は、上機嫌な奥さんに手を振って次のお店に行きました。

「あっ、沢山のアクセサリーが売っているわ」
「どれも花をモチーフにしているのね。とっても綺麗だわ」

 今度は、アクセサリー屋さんの出店です。
 僕には作れない綺麗なアクセサリーが売っていて、フレアさんとミシャさんも目がキラキラしていました。

「とっても綺麗ですね。僕はピンブローチしか作れないから、とっても凄いです」
「お二人にも気に入って貰って良かったわ。レオ君のピンブローチも丁寧に作ってあるけど、私もアクセサリー作りのプロだから負けてられないわ」

 アクセサリー屋さんのお姉さんも、僕にニコリとして話しかけてきました。
 僕がピンブローチしか作れないのが幸いして、アクセサリー屋さんの出店もとっても盛況です。
 特に、若い女性に大人気だそうです。
 あっ、そうだ。

「フレアさん、ミシャさん、お世話になったお礼にアクセサリーをプレゼントします。ピンブローチはプレゼントしちゃったので」
「レオ君、そんな悪いわ。そんな事をしてもらうつもりは、全く無いのよ」
「でも、それでレオ君が納得するならありがたく頂くわ」

 という事で、僕はとっても綺麗な装飾がされたブレスレットをプレゼントしました。
 更に、シロちゃんもネックレスをプレゼントしました。
 フレアさんとミシャさんは、早速身につけてくれてとってもご満悦です。

「うんうん、二人ともとっても似合っているわ」
「うん、そうですよね。とっても似合っていますよ!」
「レオ君、わざわざありがとうね」
「大切に使わせて頂くわ」

 アクセサリー屋さんのお姉さんも、とっても満足そうにフレアさんとミシャさんが身につけたアクセサリーを見ていました。
 フレアさんとミシャさんはとっても美人だから、アクセサリーも良く似合いますね。

「さあ、そろそろ午後の販売を始めるわよ」
「午後も頑張らないとね」

 他に数件の出店をまわってから、僕達は出店に戻りました。
 この調子なら、明日明後日も他の出店をまわれそうですね。
 何だか楽しくなっちゃって、僕とシロちゃんもウキウキしながら出店にもどりました。
しおりを挟む
感想 146

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。

リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。 そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。 そして予告なしに転生。 ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。 そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、 赤い鳥を仲間にし、、、 冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!? スキルが何でも料理に没頭します! 超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。 合成語多いかも 話の単位は「食」 3月18日 投稿(一食目、二食目) 3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。