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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百八十六話 村から街に戻ります

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 さっきゴルビが出てきた家にも、守備隊の人が乗り込んでいきました。
 手分けして、村にある全ての家を確認するそうです。
 ここからは、守備隊の人の出番ですね。

「レオ君、フレアさん、ミシャさん、本当にありがとう。無事に盗賊団を制圧できた」
「私達にも因縁のある相手でしたから」
「もう、ゴルビも戦う事は出来ないでしょう」

 守備隊の人が僕達にお礼を言ってきたけど、フレアさんとミシャさんも表情は明るかった。
 朝守備隊の人から窃盗団に魔法使いがいると聞いたときから、ゴルビが相手になるかもと思っていたのかもしれないね。

「後はこちらで対応しますので、皆さんを商会まで送り届けます。今回の依頼料と窃盗団の懸賞金は、冒険者ギルドを通じて支払います」

 どうもゴルビと数人に懸賞金がかけられていたらしく、色々な清算をした後に僕達に支払われるそうです。
 とはいっても僕達は急ぎでお金を必要としていないし、何よりもゴルビと戦ったのはフレアさんだもんね。
 僕達は行きに乗ってきた馬車に乗り込んで、街に戻ります。

「この分なら、昼食前には街に戻れそうですね」
「そうね。でも、出店は午後からだよ」
「戦闘した後なんだから、しっかりと休んでからだよ」

 僕とシロちゃんだけだと、少し休んだら出店を再開しちゃいそうだね。
 ここはフレアさんとミシャさんの言う通り、午後から出店の再開ですね。

 パカパカパカ。

「あれ? 商会の前に人が集まっていますね」
「何だろう。出店はやっていないわね」
「そうね、商会の人も出店にいないわ。買い物客ではなさそうね」

 無事に街に到着してミシャさんの商会に向かっていると、謎の人だかりができていました。
 フレアさんとミシャさんも、何の人だかりか分からないみたいですね。
 僕達も商会前に到着したので、馬車から降ります。

「では、私達はこれで。恐らく、後日お館様からお話があるかもしれません」

 僕達は、守備隊の人を見送りました。
 すると、直ぐに僕達に声をかける人が。

「お帰り。皆、無事に帰ってきたみたいだね」
「お父様、ただいま戻りました。無事に窃盗団を制圧できました」
「「「おー」」」

 あれ?
 ミシャさんがお父さんに無事を報告すると、周りにいる人がどっと盛り上がったよ。

「レオ君、窃盗団はどうだった?」
「フレアさんが、ゴルビという盗賊を圧倒したんです。終始余裕だったんですよ」
「そうか、やはりゴルビだったか……」

 今度は、僕がゴルビの事を話すとミシャさんのお父さんが考えこんじゃったよ。

「ゴルビは、近所に住んでいたから良く知っている。病弱だった母親の治療費を稼ぐ為に、最初はよく働いていた。しかし、母親の病状はかなり悪く、教会の治療やポーションでも良くならなかった。そして母親は亡くなり、ゴルビは金と力を求める様になったのだよ」

 ゴルビにそんな過去があったんだね。
 でも、自暴自棄になっても悪い事をしちゃいけないもんね。
 周りの人の意見を聞かなかったのも、本当に大きそうです。

「後は、レオ君が凄かったよね。窃盗団がアジトにしていた家ごと魔法をかけて、窃盗犯を全員眠らせちゃったんだよ」
「守備隊も剣を抜く必要がなかったわね。結局、ゴルビ以外の戦闘はなかったわ」
「ははは、流石はレオ君だ。窃盗団や盗賊団との戦闘だと、死者が出ることも度々ある。無傷で帰って来ることなんて、まずありえないぞ」

 僕の場合は、確実に捕まえられればって思ったんだよね。
 それに、怪我をしちゃうのはやっぱり嫌だよね。

「お父さん、そういえばこの人だかりはどうしたの?」
「出店に張り紙をしてあるんだよ。店主が窃盗団討伐で不在の為に、午後からになりますって」

 あっ、確かに出店に張り紙がしてあるよ。
 周りの人も、この張り紙を見ていたんだね。

「実際にレオ君は、窃盗団のアジト制圧で大魔法を使ったんだ。ゆっくりと身体を休めるのも大切な仕事だよ」

 ミシャさんのお父さんからも、ゆっくりと休んだ方が良いと言われちゃいました。
 僕とシロちゃんは、泊まっている部屋に戻ってちょっと寝ることにしました。

「起きる時間をセットして、これで大丈夫。シロちゃん、午後から頑張ろうね」

 僕は、懐中時計型の魔導具のタイマーをセットしました。
 昼食食べて頑張ろうと、シロちゃんと一緒にベッドの中に入りました。
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