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第四章 サンダーランド辺境伯領
第二百八十五話 窃盗団に完全勝利です
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ボリボリ。
「何だ何だ? 朝っぱらから変な事をしているのは」
村のとある家から、不機嫌そうにこちらを見る大男が現れました。
髪はもしゃもしゃのロングヘアなんだけど、二メートル近い身長に右頬にある大きな傷を指でかいています。
間違いなく、この男が例の指名手配犯のゴルビだね。
僕もシロちゃんも、勿論フレアさんとミシャさんも最大級の警戒をします。
ジリッ、ジリッ。
ゴルビが、不機嫌そうな表情で一歩ずつこちらに近づいてきています。
僕達も周りの守備隊の人も、ゴルビを警戒します。
ここで、こっそりとあの魔法を使ってみましょう。
もわーん。
「ぐっ、何だこれは!」
僕はアジトに使ったスリープを、無防備で歩いてくるコルビに放ちました。
練習中の魔法だから完全には効かなかったけど、コルビは一瞬意識を失いかけて首を振っていました。
ダッ。
「せい!」
「ぐっ。貴様、フレアだな!」
その瞬間を逃さずに、フレアさんが強烈なボディーブローをコルビの腹に突き刺しました。
しかも、火魔法を拳に纏った強烈な一撃です。
でも、ゴルビもダメージを受けながら直ぐに体勢を立て直して、フレアさんに襲いかかりました。
ブオン、ブオン。
「おらっ、おら!」
「ふっ、せい」
ゴルビは身体能力強化を使った大振りのパンチを繰り出しますが、フレアさんは余裕で見切っています。
でも、フレアさんは剣を抜いていないし、ミシャさんもフレアさんを助けに行きません。
「ミシャさん、フレアさんは何で剣を使わないんですか? あと、何でミシャさんもフレアさんを助けに行かないんですか?」
「まあ、あの二人は因縁の仲なのよ。ゴルビが一方的にフレアに惚れていて、フレアはそれを断っているの。フレアも、昔の冒険者時代のゴルビを知っているから、剣で切りにくいのかもね」
でも、コルビはもう犯罪者だし、フレアさんも剣を抜かない理由はないはずだよ。
現にミシャさんは双剣を抜いていて、いつでも突っ込める様にしてあります。
ドカ、バキッ!
「ぐっ、何でフレアがこんなにも強くなっているんだよ! 昔の弱いフレアじゃなかったのか?」
「私は自己研鑽を怠っていない。コルビは、強くなっていく自分に溺れているだけだ」
段々とゴルビが押され始めていき、かなり焦ってきた。
フレアさんは毎日の訓練を頑張っているし、魔法の使い方も上達しているんだよ。
欲に溺れたゴルビとは、違うんだよ。
ダッ、シャキーン。
「くそ。フレア、殺してやる!」
「あっ!」
不利を悟ったゴルビが、バックステップでフレアさんから距離をとった。
そして、胸元から短剣を抜いていた。
それでもフレアさんは、剣を抜いてなかった。
ダダッ!
「フレアー! ぶっ殺す!」
ゴルビは、身体能力強化を最大にして一気にフレアさんに襲いかかった。
僕とシロちゃんはフレアさんが危ないと思ったけど、僕の隣にいるミシャさんは双剣を構えたまま余裕の表情だった。
シュッ、ザクッ!
「ぎゃあああ! 腕がー!」
フレアさんとゴルビが相対する瞬間、フレアさんは物凄い速さで剣を抜いて、短剣を持っていたゴルビの右手首を跳ね飛ばしていた。
コルビは出血が止まらない右腕を抑えながら、苦痛に顔を歪めながらしゃがみこんでいた。
そしてフレアさんは、何事もなかったかの様に剣を納めて僕達の所に戻ってきた。
「フレア、お疲れ様」
「最初から、剣を抜くタイミングをはかっていたわ。戦って改めて感じたけど、コルビは完全に獣になっていたわ」
「そうね。冒険者をやり始めた頃は、夢を追いかける若者だったのにね。どこで道を間違えたのかしら」
フレアさんは、最初からコルビを切るつもりだったんだ。
敢えて格闘戦で、ゴルビがどうなっているかを確認していたんだ。
僕も一安心した所で、ゴルビに変化がありました。
ユラッ。
「殺す、殺してやる……」
どうも、ゴルビは残った左腕で僕達を攻撃するつもりです。
右腕の止血を止めて、鬼の形相で立ち上がりました。
でも、僕達もただ立っている訳じゃないよ。
シュイン、ボン。
バリバリバリ!
「ウギャー!」
どしーん。
僕は溜めていた魔力で、サンダーバレットをゴルビめがけて放ちました。
ゴルビはモロにサンダーバレットを食らったので、意識を失ってうつ伏せに倒れました。
ぴょーん、ぴょんぴょん。
ぴかー。
そして僕の頭の頭の上に乗っていたシロちゃんが飛び降りて、ゴルビの右腕に出血が止まる程度の回復魔法をかけました。
「直ぐに拘束しろ。ゴルビは重要人物だ」
そして、守備隊の人によってゴルビはあっという間に拘束されました。
勿論、魔法使い用の拘束魔導具も使っています。
ゴルビはとっても体が大きいので、護送用の馬車に乗せるのも一苦労ですね。
「レオ君、後始末を任せちゃってごめんね」
「いえいえ。ミシャさんも、ゴルビの左腕を切り落とすつもりでしたもんね」
「あら、分かっちゃったのね。重要参考人だから殺すつもりはなかったけど、完全に戦闘不能にするつもりだったわ」
ミシャさんは僕にそう言うと、ニコリとしながら剣を鞘に納めていました。
ミシャさんの魔力が、一気に増大した感覚があるんだよね。
「さて、これで窃盗団の件は終わりね」
「そうね。あっという間に片付いちゃったわね」
フレアさんとミシャさんは、清々しい表情をしながら話をしていました。
守備隊の人も怪我をしていないし、僕達の完全勝利ですね。
僕もシロちゃんも、思わずホッとしちゃいました。
「何だ何だ? 朝っぱらから変な事をしているのは」
村のとある家から、不機嫌そうにこちらを見る大男が現れました。
髪はもしゃもしゃのロングヘアなんだけど、二メートル近い身長に右頬にある大きな傷を指でかいています。
間違いなく、この男が例の指名手配犯のゴルビだね。
僕もシロちゃんも、勿論フレアさんとミシャさんも最大級の警戒をします。
ジリッ、ジリッ。
ゴルビが、不機嫌そうな表情で一歩ずつこちらに近づいてきています。
僕達も周りの守備隊の人も、ゴルビを警戒します。
ここで、こっそりとあの魔法を使ってみましょう。
もわーん。
「ぐっ、何だこれは!」
僕はアジトに使ったスリープを、無防備で歩いてくるコルビに放ちました。
練習中の魔法だから完全には効かなかったけど、コルビは一瞬意識を失いかけて首を振っていました。
ダッ。
「せい!」
「ぐっ。貴様、フレアだな!」
その瞬間を逃さずに、フレアさんが強烈なボディーブローをコルビの腹に突き刺しました。
しかも、火魔法を拳に纏った強烈な一撃です。
でも、ゴルビもダメージを受けながら直ぐに体勢を立て直して、フレアさんに襲いかかりました。
ブオン、ブオン。
「おらっ、おら!」
「ふっ、せい」
ゴルビは身体能力強化を使った大振りのパンチを繰り出しますが、フレアさんは余裕で見切っています。
でも、フレアさんは剣を抜いていないし、ミシャさんもフレアさんを助けに行きません。
「ミシャさん、フレアさんは何で剣を使わないんですか? あと、何でミシャさんもフレアさんを助けに行かないんですか?」
「まあ、あの二人は因縁の仲なのよ。ゴルビが一方的にフレアに惚れていて、フレアはそれを断っているの。フレアも、昔の冒険者時代のゴルビを知っているから、剣で切りにくいのかもね」
でも、コルビはもう犯罪者だし、フレアさんも剣を抜かない理由はないはずだよ。
現にミシャさんは双剣を抜いていて、いつでも突っ込める様にしてあります。
ドカ、バキッ!
「ぐっ、何でフレアがこんなにも強くなっているんだよ! 昔の弱いフレアじゃなかったのか?」
「私は自己研鑽を怠っていない。コルビは、強くなっていく自分に溺れているだけだ」
段々とゴルビが押され始めていき、かなり焦ってきた。
フレアさんは毎日の訓練を頑張っているし、魔法の使い方も上達しているんだよ。
欲に溺れたゴルビとは、違うんだよ。
ダッ、シャキーン。
「くそ。フレア、殺してやる!」
「あっ!」
不利を悟ったゴルビが、バックステップでフレアさんから距離をとった。
そして、胸元から短剣を抜いていた。
それでもフレアさんは、剣を抜いてなかった。
ダダッ!
「フレアー! ぶっ殺す!」
ゴルビは、身体能力強化を最大にして一気にフレアさんに襲いかかった。
僕とシロちゃんはフレアさんが危ないと思ったけど、僕の隣にいるミシャさんは双剣を構えたまま余裕の表情だった。
シュッ、ザクッ!
「ぎゃあああ! 腕がー!」
フレアさんとゴルビが相対する瞬間、フレアさんは物凄い速さで剣を抜いて、短剣を持っていたゴルビの右手首を跳ね飛ばしていた。
コルビは出血が止まらない右腕を抑えながら、苦痛に顔を歪めながらしゃがみこんでいた。
そしてフレアさんは、何事もなかったかの様に剣を納めて僕達の所に戻ってきた。
「フレア、お疲れ様」
「最初から、剣を抜くタイミングをはかっていたわ。戦って改めて感じたけど、コルビは完全に獣になっていたわ」
「そうね。冒険者をやり始めた頃は、夢を追いかける若者だったのにね。どこで道を間違えたのかしら」
フレアさんは、最初からコルビを切るつもりだったんだ。
敢えて格闘戦で、ゴルビがどうなっているかを確認していたんだ。
僕も一安心した所で、ゴルビに変化がありました。
ユラッ。
「殺す、殺してやる……」
どうも、ゴルビは残った左腕で僕達を攻撃するつもりです。
右腕の止血を止めて、鬼の形相で立ち上がりました。
でも、僕達もただ立っている訳じゃないよ。
シュイン、ボン。
バリバリバリ!
「ウギャー!」
どしーん。
僕は溜めていた魔力で、サンダーバレットをゴルビめがけて放ちました。
ゴルビはモロにサンダーバレットを食らったので、意識を失ってうつ伏せに倒れました。
ぴょーん、ぴょんぴょん。
ぴかー。
そして僕の頭の頭の上に乗っていたシロちゃんが飛び降りて、ゴルビの右腕に出血が止まる程度の回復魔法をかけました。
「直ぐに拘束しろ。ゴルビは重要人物だ」
そして、守備隊の人によってゴルビはあっという間に拘束されました。
勿論、魔法使い用の拘束魔導具も使っています。
ゴルビはとっても体が大きいので、護送用の馬車に乗せるのも一苦労ですね。
「レオ君、後始末を任せちゃってごめんね」
「いえいえ。ミシャさんも、ゴルビの左腕を切り落とすつもりでしたもんね」
「あら、分かっちゃったのね。重要参考人だから殺すつもりはなかったけど、完全に戦闘不能にするつもりだったわ」
ミシャさんは僕にそう言うと、ニコリとしながら剣を鞘に納めていました。
ミシャさんの魔力が、一気に増大した感覚があるんだよね。
「さて、これで窃盗団の件は終わりね」
「そうね。あっという間に片付いちゃったわね」
フレアさんとミシャさんは、清々しい表情をしながら話をしていました。
守備隊の人も怪我をしていないし、僕達の完全勝利ですね。
僕もシロちゃんも、思わずホッとしちゃいました。
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