小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百八十四話 新魔法を披露するよ

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 三日目の早朝、守備隊の人がミシャさんの商会にやってきました。
 僕とシロちゃんも急いで起きて、守備隊の人の所に向かいます。
 何回かあった事がある人だったので、とっても安心しました。

「やはりですが、窃盗団の存在が確認されました。斥候担当により、アジトの位置を掴んでおります。ただ、相手に魔法使いがいるようで、念の為に皆様のお力を借りたいと思っております」
「分かりました、直ぐに準備します」
「お父さん、後は頼むね」
「ああ、こっちは心配しなくてよい。気を付けてな」

 ただの窃盗団相手なら守備隊で十分なんだけど、魔法使いもいるとなると厄介だね。
 どんなタイプの魔法使いがいるのだろうか?
 僕とシロちゃんは、冒険者服に着替えてフレアさんとミシャさんと一緒に馬車に乗り込みました。

「フレアさん、ミシャさん、サンダーランド辺境伯領に魔法が使える人って他にいますか?」
「うーん、あんまり聞かないよ。後は、年配の治癒師がいるくらいだね」
「あっ、そういえば前に身体能力強化が使える冒険者がいたわ。最近全く姿を見ないけど、妙に自信家だったはずよ」

 治癒師のおばあちゃんは外して良さそうなので、その身体能力強化が使える冒険者がとっても怪しそうだね。
 となると、確かに普通の人だと大変かもしれないね。
 そして、他の守備隊の人とも合流して向かった先は、街からちょっとだけ離れた所にある村です。
 普通の村人もいるそうで、かなりやりにくいですね。
 そんな村の空き家を、アジトにしているそうです。

「窃盗団が暴れないように、無効化する必要がありますね」
「思いっきり普通の家の間にありますわ。これは難しいオペレーションですね」

 皆で物陰からアジトを見ているけど、沢山の窃盗が暴れたら大変です。
 でも、早朝だからまだ寝ているのか、辺りはとっても静かですね。

「じゃあ、もっと眠らせちゃいます。それなら、起きないし暴れないです!」
「はっ?」

 ふふふ、ここは新魔法の出番だよ。
 身体能力強化以外にも、別の魔法の勉強もしていたんだよ。
 身体能力強化の魔法を勉強したお陰で、魔力の制御が上がったんだよね。
 ではでは、新しい魔法のお披露目です!

 シュイーン。

「いっきまーす、えーい」

 もわーん、もわーん。

 掛け声も小さくして、魔法を放ちます。
 これが新魔法の、闇属性のスリープです。
 アジトにしている家が、黒い雲っぽいもので包まれます。
 そして、直ぐに黒い雲っぽいものが消えました。

「これで大丈夫です。成功したと思います」
「そ、そうか。しかし、とんでもない魔法だな。確認をしてこい」

 守備隊の一人が家にそっと近づくと、オッケーと合図を出した。

「よし、突入だ。レオ君達は、他の者と共に周囲の警戒をしてくれ」
「「「はい!」」」

 多くの守備隊が、アジトに突入していきます。
 僕とシロちゃんは、フレアさんとミシャさんと共に周囲の警戒をします。
 アジトにしている家からは、次々と窃盗団と沢山の金品が運び出されていました。

「ぐー、ぐー」
「なあ、窃盗団や強盗団のアジトに突入するのって、こんなにも簡単だったっけ?」
「簡単な訳ないだろう。寝ている奴を運び出すだけなんて、普通はありえないぞ」

 守備隊の人も、とっても安全に窃盗団を連れ出しています。
 スリで盗まれた物も沢山出てきたので、もう動かない証拠ですね。
 でも、フレアさんとミシャさんの表情は、少し曇っていました。

「うーん、アイツの姿が見当たらないわね」
「大男で頬に大きな傷があったから、直ぐに見分けがついたはずだよ」

 どうも、例の身体能力強化を使う冒険者が見当たらないそうです。
 すると、守備隊の人が何かを思い出したみたいです。

「大男で頬に大きな傷がある。それって、指名手配犯のゴルビじゃないかな?」
「そうそう、その名前です。やっぱり犯罪を犯していたんだ」
「前から粗暴な感じがして、ちょっと怪しかったんです」
「そうか、これでハッキリとした。捕まえた窃盗犯を尋問したら、窃盗団の親分の名前をゴルビと言っていた」

 となると、そのゴルビってのが村のどこかに潜んでいるって事なんだね。
 その間にも家の中からは次々と熟睡している窃盗団が運び出されていて、金品も確保されました。

「報告します。アジトに潜んでいた者は、全て運び出しました。奪われた金品も回収しております」
「ご苦労。だが、肝心のゴルビがいない。ここからは村の捜索に切り替える」
「はっ」

 守備隊の人が、報告に来た人に指示を出した時でした。
 村の道の向こうから、不機嫌そうな大男が現れました。
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