小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
187 / 584
第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百八十二話 窃盗団が活動している?

しおりを挟む
 翌日も、朝から出店で僕とシロちゃんが作ったリースとピンブローチを販売します。

「あの、今日もお客さんが沢山並んでいますね」
「そうだね。これは予想外だわ」

 フレアさんもビックリする程のお客さんが、僕達の出店にやってきています。
 なので、僕とシロちゃんはリースとピンブローチを作り続けています。

「どうやら、昨日私達が窃盗犯を捕まえたのが噂になっているみたいね。強い二人組の女性と、小さな可愛らしい魔法使いがいるお店みたいよ」

 お客さんの対応をしていたミシャさんが、何で沢山の人が並んでいるかを教えてくれました。
 そういえば、たまにミシャさんと握手をしていたり、僕の頭を撫でていく人もいるね。
 という事は、今日も昨日と同じくらい忙しくなりそうです。

 あみあみあみ、ポチポチポチ。

 僕とシロちゃんは、リースとピンブローチを作る速度を上げました。
 でも、決して雑には作らないよ。
 まだまだだけど、そこは職人としてのプライドもあるんだよ。

「はい、どうぞ。沢山お店がありますよ」
「あら、わざわざありがとうね。頑張ってね」

 勿論、手の空いた時にはミシャさんのお父さんから受け取った会場案内図を配っていきます。
 こうして、午前中はあっという間に過ぎて行きました。

「流石に、二日目までお客さんがいっぱいだとは思わなかったです」
「昨日の騒ぎが、更に人を呼び寄せたのね。二つ名を持つ冒険者が目の前にいると、冒険者に憧れている人も来ているみたいだわ」
「元より人だかりがあると、何かありそうだと寄っていくものだよ。それもありそうだわ」

 今日も昼食は、ミシャさんのお家で食べます。
 もう少し人の波が落ち着いたら他のお店に行こうかと思ったけど、流石に今日は無理ですね。
 でも僕達の出店に寄った後に他の出店に行っている人も多いので、今の所問題は出ていないそうです。

「これだけのお客さんが来ているのって、少し久々ね」
「ここ数年は帝国との小規模な衝突があったから、お客さんの数が少なかったんだよね。勿論、レオ君のお陰でもあるわ」

 そういえば、僕がサンダーランド辺境伯領に来る前に、王国と帝国で小競り合いがあったって言っていたね。
 危険を感じた人々が、花祭りに来るのを控えていたんだ。
 そういう意味でも、僕とシロちゃんはサンダーランド辺境伯領の為になっていたんだね。
 さて、昼食も食べ終えたし午後も頑張ります。

 あみあみあみ、ポチポチポチ。
 あみあみあみ、ポチポチポチ。

「ありがとうございます、また宜しくお願いします」
「はい、次の方どうぞ」

 午後も、沢山の人が僕達の出店に来ています。
 それでも、午前中よりかは少し余裕が出てきました。
 フレアさんとミシャさんも、表情に余裕が出てきています。

「うんうん、沢山の人が来ているね。とっても嬉しい事だよ」

 夕方になって、そろそろ店じまいのタイミングでミシャさんのお父さんが出店の様子を見に来ました。
 僕達以外の出店にも沢山の人が集まっていて、ミシャさんのお父さんもとっても満足そうです。
 僕もシロちゃんもお昼にミシャさんの話を聞いているので、人が沢山いてとっても嬉しいです。

「おじさん、一旦売上金をお店に持っていくわ」
「お父さん、ちょっとこの場をお願いしても良い?」
「ああ、良いよ。行っておいで」

 今日も売上額が凄いから、夕方の早い段階で一旦商会に持っていきます。
 商会の奥で、今日の売上金を確認してくれます。
 何でも、自動でお金がどれくらいあるか確認する魔導具があるんだって。
 魔導具って、何でもあるから凄いよね。
 そんな事を思っていたら、出店の並んでいる列に急に割り込んできた四人組がいたよ。
 何だか不良冒険者っぽくてとっても怪しいので、僕とシロちゃんは警戒しています。

「へへへ、ここだな」
「だいぶ稼いでいるようだな。でも、屋台を壊されたくないだろう?」
「大人しく売上金を俺等に寄こしな」
「なあに、俺達はそこまで極悪じゃない。売上金の半分で良いぞ」

 何だろう、典型的なチンピラの決め台詞を言っているよ。
 不良冒険者も、こんな事を言っていたね。
 取り敢えず営業の邪魔だから、退場してもらいましょう。
 二人ほど、ナイフを手にしているもんね。

 シュイン、シュイン、シュイン。

「いきます、えーい」

 バリバリバリ。

「「「「ギャー!」」」」

 ぷすぷすぷす、バタン。

「ふう、これで良いですね。でも出店の前だと邪魔だから、端に寄せておかないと」
「「「「あがががが……」」」」

 二日連続で不良が来ていたんだ。
 人が沢山いるから、お金を狙っているんだね。
 僕とシロちゃんは、身体能力強化で不良を店の前から移動させます。

 がきーん。

「ふう、これでよしっと」

 逃げられないように、ダークゲージの中に不良を入れておきます。
 後は、守備隊が来るのを待つだけですね。

「いやはや、レオ君は素早く対応するね。感心したよ」
「もう冒険者歴もそこそこですし、不良か脅しても全然平気ですよ」
「そういえば、レオ君は有名な盗賊団を壊滅させていたね」

 ミシャさんのお父さんとお話をしていたら、フレアさんとミシャさんが商会の中から出てきました。

「ただいま。何かあったのかなって、チリチリになりながら捕まっているのがいるね」
「お帰りなさい。売上金寄越せって脅してきたんです。でも、とっても弱かったですよ」
「レオ君とお父さんの前で脅迫だなんて、自殺しに来た様なものだね。じゃあ、販売を再開しましょう」

 フレアさんとミシャさんは、僕があった事を説明するとあっという間に納得しちゃいました。
 うーん、二日続けていいオブジェになっちゃっているね。

「人が多くなって、窃盗団が動き始めたか。スリも多いと聞くし、あまり良くない傾向だな」

 ミシャさんのお父さんが、不良を見て懸念事項を口にしていました。
 確かに、このままだと僕達だけでなくお客さんにも被害が出ちゃうよね。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。