上 下
187 / 515
第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百八十二話 窃盗団が活動している?

しおりを挟む
 翌日も、朝から出店で僕とシロちゃんが作ったリースとピンブローチを販売します。

「あの、今日もお客さんが沢山並んでいますね」
「そうだね。これは予想外だわ」

 フレアさんもビックリする程のお客さんが、僕達の出店にやってきています。
 なので、僕とシロちゃんはリースとピンブローチを作り続けています。

「どうやら、昨日私達が窃盗犯を捕まえたのが噂になっているみたいね。強い二人組の女性と、小さな可愛らしい魔法使いがいるお店みたいよ」

 お客さんの対応をしていたミシャさんが、何で沢山の人が並んでいるかを教えてくれました。
 そういえば、たまにミシャさんと握手をしていたり、僕の頭を撫でていく人もいるね。
 という事は、今日も昨日と同じくらい忙しくなりそうです。

 あみあみあみ、ポチポチポチ。

 僕とシロちゃんは、リースとピンブローチを作る速度を上げました。
 でも、決して雑には作らないよ。
 まだまだだけど、そこは職人としてのプライドもあるんだよ。

「はい、どうぞ。沢山お店がありますよ」
「あら、わざわざありがとうね。頑張ってね」

 勿論、手の空いた時にはミシャさんのお父さんから受け取った会場案内図を配っていきます。
 こうして、午前中はあっという間に過ぎて行きました。

「流石に、二日目までお客さんがいっぱいだとは思わなかったです」
「昨日の騒ぎが、更に人を呼び寄せたのね。二つ名を持つ冒険者が目の前にいると、冒険者に憧れている人も来ているみたいだわ」
「元より人だかりがあると、何かありそうだと寄っていくものだよ。それもありそうだわ」

 今日も昼食は、ミシャさんのお家で食べます。
 もう少し人の波が落ち着いたら他のお店に行こうかと思ったけど、流石に今日は無理ですね。
 でも僕達の出店に寄った後に他の出店に行っている人も多いので、今の所問題は出ていないそうです。

「これだけのお客さんが来ているのって、少し久々ね」
「ここ数年は帝国との小規模な衝突があったから、お客さんの数が少なかったんだよね。勿論、レオ君のお陰でもあるわ」

 そういえば、僕がサンダーランド辺境伯領に来る前に、王国と帝国で小競り合いがあったって言っていたね。
 危険を感じた人々が、花祭りに来るのを控えていたんだ。
 そういう意味でも、僕とシロちゃんはサンダーランド辺境伯領の為になっていたんだね。
 さて、昼食も食べ終えたし午後も頑張ります。

 あみあみあみ、ポチポチポチ。
 あみあみあみ、ポチポチポチ。

「ありがとうございます、また宜しくお願いします」
「はい、次の方どうぞ」

 午後も、沢山の人が僕達の出店に来ています。
 それでも、午前中よりかは少し余裕が出てきました。
 フレアさんとミシャさんも、表情に余裕が出てきています。

「うんうん、沢山の人が来ているね。とっても嬉しい事だよ」

 夕方になって、そろそろ店じまいのタイミングでミシャさんのお父さんが出店の様子を見に来ました。
 僕達以外の出店にも沢山の人が集まっていて、ミシャさんのお父さんもとっても満足そうです。
 僕もシロちゃんもお昼にミシャさんの話を聞いているので、人が沢山いてとっても嬉しいです。

「おじさん、一旦売上金をお店に持っていくわ」
「お父さん、ちょっとこの場をお願いしても良い?」
「ああ、良いよ。行っておいで」

 今日も売上額が凄いから、夕方の早い段階で一旦商会に持っていきます。
 商会の奥で、今日の売上金を確認してくれます。
 何でも、自動でお金がどれくらいあるか確認する魔導具があるんだって。
 魔導具って、何でもあるから凄いよね。
 そんな事を思っていたら、出店の並んでいる列に急に割り込んできた四人組がいたよ。
 何だか不良冒険者っぽくてとっても怪しいので、僕とシロちゃんは警戒しています。

「へへへ、ここだな」
「だいぶ稼いでいるようだな。でも、屋台を壊されたくないだろう?」
「大人しく売上金を俺等に寄こしな」
「なあに、俺達はそこまで極悪じゃない。売上金の半分で良いぞ」

 何だろう、典型的なチンピラの決め台詞を言っているよ。
 不良冒険者も、こんな事を言っていたね。
 取り敢えず営業の邪魔だから、退場してもらいましょう。
 二人ほど、ナイフを手にしているもんね。

 シュイン、シュイン、シュイン。

「いきます、えーい」

 バリバリバリ。

「「「「ギャー!」」」」

 ぷすぷすぷす、バタン。

「ふう、これで良いですね。でも出店の前だと邪魔だから、端に寄せておかないと」
「「「「あがががが……」」」」

 二日連続で不良が来ていたんだ。
 人が沢山いるから、お金を狙っているんだね。
 僕とシロちゃんは、身体能力強化で不良を店の前から移動させます。

 がきーん。

「ふう、これでよしっと」

 逃げられないように、ダークゲージの中に不良を入れておきます。
 後は、守備隊が来るのを待つだけですね。

「いやはや、レオ君は素早く対応するね。感心したよ」
「もう冒険者歴もそこそこですし、不良か脅しても全然平気ですよ」
「そういえば、レオ君は有名な盗賊団を壊滅させていたね」

 ミシャさんのお父さんとお話をしていたら、フレアさんとミシャさんが商会の中から出てきました。

「ただいま。何かあったのかなって、チリチリになりながら捕まっているのがいるね」
「お帰りなさい。売上金寄越せって脅してきたんです。でも、とっても弱かったですよ」
「レオ君とお父さんの前で脅迫だなんて、自殺しに来た様なものだね。じゃあ、販売を再開しましょう」

 フレアさんとミシャさんは、僕があった事を説明するとあっという間に納得しちゃいました。
 うーん、二日続けていいオブジェになっちゃっているね。

「人が多くなって、窃盗団が動き始めたか。スリも多いと聞くし、あまり良くない傾向だな」

 ミシャさんのお父さんが、不良を見て懸念事項を口にしていました。
 確かに、このままだと僕達だけでなくお客さんにも被害が出ちゃうよね。
しおりを挟む
感想 146

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。