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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百五十七話 オークの集団との戦い

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 段々と村が見えてきたけど、煙は村から上がっているんだ!
 そして、村を守る木の柵の周りに、見たことのない大きな魔物が沢山いたよ。

「ぐっ、オークだけじゃなくて上位種のオークジェネラルまでいるわ」
「となると、オークキングもどこかにいる可能性もあるわね」

 数頭一際大きいオークがいたけど、オークはゴブリンみたいに上位種がいるんだね。
 フレアさんとミシャさんの言う事が正しいとなると、更に上位種がいるんだ。
 しかも、状況はかなりマズいみたいだよ。
 僕達は村の近くに馬車を停めて、兵と共に走り出しました。

「レオ君、オークと戦っている村人がいるわ。魔法を使って巻き添えを出さないでね」
「狙いはオークの頭部よ。どんな魔物でも、頭部を叩けば倒せるわ」

 フレアさんとミシャさんのアドバイスを受けながら、僕は腰からダガーを抜いてナイフをシロちゃんに預けました。
 シロちゃんは、直ぐにマシューさんの所に向かいます。

「サンダーランド辺境伯兵の踏ん張りどころだ。オークを駆逐して、村を救うぞ」
「「おう!」」

 マシューさんの激に応えながら、兵もオークに突っ込んで行きます。
 その間に、僕とフレアさんとミシャさんはオークとの戦闘を開始しました。

「はあ、せい!」
「やあ、とー!」

 ザシュ、ザシュ、ザシュ。
 ドッシーン。

「「「プギー!」」」

 剣を手にしたフレアさんとミシャさんが、体長二メートルを超えてかなり大柄なオークをまるで舞うかの様に次々と倒していきます。
 しかし、オークも仲間が倒されても全く怯む事なく僕達に向かってきます。

「えい、やあ!」

 ザシュ!
 ドッシーン。

 僕も、ダガーを手にしてオークの首を切断します。
 オークの動きが遅いから、僕の身体能力強化と剣技でも何とか戦えています。
 上手く他のオークを利用して、ジャンプしながらオークに斬りかかります。
 周りに誰もいなければ、エアーカッターでオークの首を跳ね飛ばします。

「小さな冒険者に負けるな、辺境伯兵の腕の見せ所だぞ!」
「おりゃー!」
「てい!」

 現場指揮の兵の檄に応える様に、サンダーランド辺境伯兵も次々とオークを倒していきます。
 オークの強烈なパンチを大きな盾で受け止めたり、足を攻撃してオークが倒れた所をトドメ刺したりと、抜群のコンビネーションでとってもカッコいいです。
 シロちゃんもマシューさんの肩に乗って、酸弾やホーリーバレットを飛ばして攻撃の支援をします。
 こうして皆で頑張って、三十分かけて村の入口に群がっていた約三十頭のオークを倒しました。
 マシューさんが周りへの指示モードに入ったので、早速シロちゃんがオークの血抜きを始めました。

 ぴかー!

「あの、大丈夫ですか?」
「ああ、助かった。あっ、村の中にもオークが入り込んでいるんだ!」

 重傷だった村の若者を治療すると、ハッとした感じで叫んでいた。
 残念ながら亡くなってしまった人も複数いて、現場はかなり凄惨な事になっています。

「よし、村の中に入ったオークを一匹残らず殲滅するのだ。これ以上、村人に被害を出すわけにはいかない」
「「「おー!」」」

 マシューさんの指示を受けた兵は、村の入口の警備の為の兵を残して村の中に入って行きました。
 その間に、マシューさんは通信用魔導具を使って増援を要請していました。

「マシューさん、まだ村の周りに何か反応があります!」
「申し訳ないが、三人は村の周りにいるオークを倒してくれ。追加の冒険者も、もうそろそろくるはずだ」
「「「はい!」」」

 マシューさんの指示を受けて、僕達は走り出しました。
 まだまだオークは沢山いるけど、ここは安全第一で頑張ります。

「「「ブヒャー!」」」
「まずは、前にいる三頭の首を魔法で切り落とします!」
「了解。一気に畳み込むわよ」
「怪我だけは注意ね」

 こうして僕とフレアさんとミシャさんは、僕のエアーカッターも交えつつ剣技を使ってオークを倒していきます。
 倒したオークは、どんどんと僕の魔法袋の中に入れていきます。
 身体能力強化をした状態で走るのにも慣れてきたので、移動もあっという間です。
 こうして追加の応援が来る前に、村の周りにいたオークは僕達三人で全部倒し切りました。

「マシューさん、村の周囲にいたオークはフレアさんとミシャさんと共に倒しました」
「そうか、助かった。村の中にいたオークも全部倒した。村人は、オークから逃れる為に、教会に逃げ込んでいた」

 村の周りを一周してきて、倒したオークをまとめて取り出しました。
 全部で四十頭はいるなあ。
 直ぐに、シロちゃんが倒したオークの血抜きを始めました。
 ともあれ、急ぎの対応は終わりだね。

「村の中でも死者が出たが、他は軽傷で済んだ。このくらいなら、兵が用意したポーションで事足りる」
「じゃあ、僕が作ったポーションを出しますね」
「ポーションがあるのは助かる。今はレオ君は治療に参加しないで、ゆっくりと休んだ方が良い。まだオークが来る可能性があると思ってくれ」

 実をいうと、身体能力強化を使っての戦闘は初めてだったので、結構疲れちゃいました。
 やっぱり、普段の訓練と実戦は全然違うね。

「私もちょっと休むわ。流石に疲れました」
「私もです。毎朝の訓練を再開してなければ、もっと早く駄目になっていました」

 フレアさんとミシャさんも、地面にぺたりと座り込んじゃいました。
 流石にあれだけの数のオークの相手は、フレアさんとミシャさんといえども疲れたみたいです。
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