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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百五十五話 今度の目的地が決定しました

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 サンダーランド辺境伯家に新しい命が生まれて一週間、次世代の跡取りが生まれたとあって街もお祝いモードでした。

「いやはや、アンソニーが生まれてから、我が家は明るくなったな」
「ええ、やっぱり子どもがいると賑やかになりますね」

 勉強の合間にボーガン様とチェルシーさんと応接室で話をしたけど、二人とも孫が生まれてニコニコとしていました。
 各貴族家からも、初孫の出産祝いが届いているそうです。

「レオ君からもわざわざ出産祝いを贈ってくれて悪かったな」
「僕も、赤ちゃんの出産をとても楽しみにしていましたから。ミシャさんの商会で選んで貰ったものですけど」
「こういうのは、実用的な物の方がありがたいのよ。タオルやオムツとかは、当分はいくつあっても良いものなのよ」

 赤ちゃんへの贈り物は、僕とシロちゃんで選んだ物なんだよ。
 タオルとオムツはいっぱいあっても良いって聞いたから、まとめて買っちゃったよ。
 勿論ミシャさんの商会も赤ちゃんに贈り物をしていて、フレアさんのお父さんは赤ちゃんの守り刀を気合を入れて打っているそうです。

「僕も抱っこさせて貰いましたけど、赤ちゃんって本当に小さいんですね」
「今はまだ生まれたばかりだから、特に小さいぞ。これからどんどんと大きくなっていく」
「いっぱいお乳を飲んで、いっぱい寝るわ。今の所は、お乳を飲む量も特に問題なさそうね」

 本当に小さい赤ちゃんだったから、僕が赤ちゃんを抱っこするのも恐る恐るだったよ。
 赤ちゃんはとっても温かくて、ミルクの様な良い匂いがしていたんだよ。
 不思議そうに僕とシロちゃんの事を見上げていたけど、泣くことはなかったよ。

「さて、私は仕事の続きをするか。マシューも父親になった自覚もあってか、熱心に仕事に取り組んでおるぞ」
「それはとっても良い事ですね。僕も負けずに勉強を頑張ります」
「はは、レオ君にも良い刺激になっているみたいだな」

 ボーガン様は、少し笑いながら応接室を出ていきました。
 こころなしか、ボーガン様もやる気になっているね。

「僕も勉強に戻ります。ごちそうさまでした」
「レオ君も、勉強頑張ってね」

 こうして、僕のサンダーランド辺境伯家での勉強も順調に進みました。

「サンダーランド辺境伯家が無事平穏に続く事は、領民である我々にとっても非常にありがたい事なのだよ」

 夕食時に、ミシャさんのお父さんがしみじみとしながら話していました。
 確かに、爵位継承とかで揉めて領民も巻き込むのは良くないよね。

「そういえば、サンダーランド辺境伯領にくる途中で、男爵家が色々と揉めていましたよ」
「そういう事なのだよ。当主が不安定だと、領民も不安になる。そうなると、領地を捨てる者が増えてくるのだよ。ましてや、サンダーランド辺境伯領はとても広いからね」

 跡継ぎ問題とか当主の資質の問題とか、貴族って本当に大変なんだね。
 更に沢山ある貴族同士の付き合いとかもあるし、派閥みたいなものもあるんだよね。

「まあ、当主がしっかりしていて跡取りもいる。余程の事がない限り、サンダーランド辺境伯家は安泰だよ」

 お肉を食べながら、ミシャさんのお父さんが話をまとめました。
 僕はサンダーランド辺境伯領に滞在しているだけであって住んでいるわけじゃないけど、何となくミシャさんのお父さんの気持ちは分かるなあ。

「そういえば、レオ君は今後どうするの?」
「えっと、春になったら新しい領地に行こうと思います。各地で勉強しながら、再来年の春までには王都に到着したいです」

 食事を終えたミシャさんが、僕の今後の予定を聞いてきました。
 現時点での旅の目的地は決まっているから、後はどのルートで行くのかだね。

「うーん、それならシークレア子爵領を通って王都に向かった方が良いわね。シークレア子爵領には海があって、沢山の海産物もあがるのよ」
「僕、海は見た事ないんです。是非そのシークレア子爵領に行ってみたいです」
「子どもっぽい表情になったわね。軍港もあるから、冒険者に関わる仕事も沢山あるのよ」

 おお、次の目的地も何となく決まったよ。
 しかも海を見た事ないし、とっても気になります。
 でも、その前に身体能力強化の魔法を練習しないといけないし、サンダーランド辺境伯家での勉強もあるもんね。
 こうして、僕の新たな目的地が何となく決まりました。
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