小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百四十七話 悪い事はダメですよ

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 そして、ミシャさんの商会に馬車を戻して冒険者ギルドに手続き完了と獲ったイノシシを卸す手続きをします。

「はい、お願いします」
「おお、血抜きも完璧だ。傷も殆どついていない。流石全員が二つ名の持ち主のパーティだ」

 買取担当のおじさんも、僕達が倒したイノシシを見て思わずニンマリしています。
 シロちゃんの血抜きも完璧だし、イノシシの皮を使っての製品もあるそうです。

「よし、これで依頼完了だな。買取金額も上乗せしてあるぞ」
「ありがとうございます」

 思わぬ臨時収入にもなったので、僕とシロちゃんだけてなくフレアさんとミシャさんも思わずニンマリです。
 今回は丁度討伐数が良い感じなので、お金は皆で三等分にします。

「シロちゃん、シロちゃん用の財布にお金入れておくね」

 僕はいつも通りシロちゃんと分前を半分にして、それぞれのお財布にお金を入れます。
 今日はシロちゃんの血抜きのお陰もあったので、シロちゃんの分を少し多めにしています。

「レオ君は偉いね。ちゃんと実績を見て分前を分けているのね」
「普通の人なら、テイマーの実績も全部その人の分にしちゃうわ」
「僕とシロちゃんはお友達ですから、キチンとやった分で分けますよ」

 フレアさんとミシャさんが思わず僕とシロちゃんを撫でてくれたけど、これは僕とシロちゃんで決めたルールだもんね。
 これで全部の手続きも終わったので昼食に行こうとしたら、何だか受付がとても騒がしいのに気が付きました。

「何で依頼完了にならないんだよ!」
「ですから、この依頼書に書かれている完了サインが偽造なんです」
「ふざけるな!」

 受付で、三人組の男が受付のお姉さんに詰め寄っていています。
 三人組の男は声を荒げて抗議しているけど、受付のお姉さんは毅然として対応していました。
 あの受付のお姉さんカッコいいなと思ったら、僕達に話し掛けてきました。

「ミシャさん、丁度良い所に。すみませんが、こちらに来て貰えますか?」
「私ですか? はい、良いですよ」

 どうも受付のお姉さんは、ミシャさんに助けを求めているみたいです。
 ちらっと受付の奥を見るとホークスターさんも事の成り行きを見ていて、ホークスターさんの側にはスキンヘッドでサングラスをしている筋肉ムキムキの屈強な男性職員が控えているよ。

「おい、女と子どものパーティが一体何の用だ!」
「さっさと依頼完了の手続きをして、金を渡しやがれ」

 おや?
 あの三人組の男は、フレアさんとミシャさんの二つ名を知らないみたいだね。
 僕の二つ名は知らないかもしれないけど、サンダーランド辺境伯領にいる殆どの冒険者はフレアさんとミシャさんの二つ名は知っているって聞いた事あるよ。
 シロちゃんも警戒を始めたし、ホークスターさんと屈強な男性職員三名も動き始めたね。
 そんな中、ミシャさんのビックリした声が聞こえてきました。

「何ですかこの適当なサインは? うちの商会で、こんな適当なサインをする人は誰もいませんよ。勿論、私もこんなサインをしません」
「そういえば、馬車を戻した時におじさんが荷運びの冒険者が来ていないって言っていたよね」
「あっ、そういえばそう言っていましたね」
「「「げっ!」」」

 何と、よりによってこの三人組の男が受けた依頼は、ミシャさんの商会の依頼だったのか。
 確かに馬車を戻した時に、ミシャさんのお父さんが何かを言っていたよね。
 三人組の男は、一気に顔色が真っ青になってしまいました。

 ぽん。

「おい、お前ら、依頼完了サインの偽造の現行犯だな。楽して金儲けをしようなんて、そうはいかないぞ」
「あっ、ギルドマスター」
「「「げーーー!」」」

 屈強な男性に囲まれつつ受付のお姉さんがギルドマスターと言ったので、三人組の男はとっても驚いちゃっていました。
 でも、逃げようにも屈強な男性が三人組の男の肩をがっしりと掴んでいるので、身動きすら取れません。

「レオ、良い機会だから覚えておけ。レオならまずやらないと思うが、依頼書の偽造は一発アウトだ。更に依頼書の偽造の程度によって、そのまま守備隊送りだな」
「はい、ありがとうございます」
「「「あー!」」」

 ずるずるずると三人組の男が屈強な男性によって冒険者ギルドの外に引きずられて行く中、ホークスターさんが僕に注意をしてくれました。
 そして、ホークスターさんも屈強な男性職員の後をついて行きました。

「あまりにも汚いサインだったから、これは一発で怪しいと思ったのよ。ミシャさんの商会からの依頼は依頼料が良いから、たまにこうした不正を行う人が出るのよ」
「悪い事だと分かっているのに、敢えて不正をするんですね」
「そういう者は、不正なんて全く気にしないからね。如何に楽してお金を手に入れる事しか考えていないのよ。レオ君も十分に注意するのよ」

 受付のお姉さんも、僕に改めて注意をしてくれました。
 僕もシロちゃんも不正をするつもりは全くないけど、不正をした人に巻き込まれない様に気をつけないとね。
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