小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百四十五話 今日は害獣駆除を行います

　今日はフレアさんとミシャさんもお仕事はお休みなので、一緒に依頼を受ける事にしました。

「このサンダーランド辺境伯領では、どんな依頼があるんですか？」
「領地が広いので、何でもあるわ。それこそ薬草採取から害獣駆除に、店の手伝いに護衛などもあるわよ」

　フレアさん曰く、初心者にもベテランにも合う依頼があるそうです。
　確かに依頼掲示板を見ると様々な依頼が掲示してあって、如何にもベテランっぽい冒険者やまだルーキーっぽそうな冒険者もいました。
　そんな中、ミシャさんが一枚の依頼書を僕とフレアさんの所に持ってきました。

「フレア、レオ君、こんな依頼があったけど受けてみない？」
「どれどれ？　近くの村に現れるイノシシの討伐依頼ね。良いんじゃないかな」

　ミシャさんが手にしていたのは、害獣駆除の依頼書でした。
　依頼料は安いけど、僕もフレアさんもミシャさんもお金は全然気にしません。

「じゃあ、これにしましょう。家に行って、馬車を借りましょう」

　どうやって移動するのかなと思ったけど、ミシャさんの商会には馬車があるんだね。
　窓口で依頼の手続きを終えると、皆でミシャさんの商会に移動して村に向かいます。

　カラカラカラ。

「この村には以前にも害獣駆除に行った事があるけど、領都から馬車で一時間で着くのよ」
「イノシシっていってもそんなに大きくなくて、レオ君なら直ぐに対処できるわ」

　フレアさんとミシャさんが、交代しながら馬車の御者をしています。
　僕、実は初めて幌馬車に乗るんだよね。
　商会っぽい馬車は道中ですれ違った事はあるんだけどね。

「この馬車は、商会で古くなった馬車を改造したのよ。もう沢山の荷物を運ぶ事はできないけど、人が数人乗る分には問題ないわ」
「軽い荷物なら沢山詰めるのよ。レオ君みたいに、魔法袋に沢山入れば良いんだけどね」

　フレアさんは僕よりも魔力が少ないので、魔法袋にはそこまで入らないんだって。
　僕みたいに、何でも魔法袋に入る人は見たことないそうです。
　そんな事を話しながら、僕達は目的地の村に到着しました。
　村と言っても、ちょっと大きい村ですね。
　既にフレアさんとミシャさんはこの村に来た事があるので、馬車は迷う事なく村長さんの家の前に到着しました。

「さあ、着いたわ。先ずは村長さんにお話しないとね」
「情報を集めて、どうなっているか確認しないと」

　流石フレアさんとミシャさんです。
　情報確認は冒険者の基本だね。
　僕達は、早速村長さんの家に入ります。

「「「おはようございます」」」
「おや、誰かと思ったらまた来てくれたのかい。中に入っておくれ」

　応対してくれたちょっとふくよかな村長さんの奥さんが、直ぐに僕達を家の中に招き入れてくれました。

「村長さん、お久しぶりです」
「おお、君達か。名のある者が来てくれて、本当に助かる。おや？　その子どもはどうしたのかい？」
「この子はレオ君です。あの、黒髪の魔術師ですよ」
「なんと、そんな有名な冒険者が同行してくれたのか！」

　村長さんも、子どもの僕を快く出迎えてくれました。
　村長さんも奥さんと同じで、ちょっとふくよかな人ですね。
　僕達は応接室に移動して、何が起きているかを確認します。

「夏に何回か大雨があったので、その影響で山にある食べ物が不足してしまったのだよ。それで、例年以上にイノシシの被害が増えたのだよ。イノシシが悪い訳じゃないので、何とも難しい話だかな」

　村長さんは溜息をつきながら話をしてくれたけど、イノシシにも気を使っているんだね。
　とっても優しい村長さんだね。

「先ずは昨年と同じく二十頭で、半分を村に卸してくれ。解体はこちらで行う」
「分かりました。その条件で問題ありません」
「では私達は、準備をして直ぐに現地に向かいます」

　条件も確認できたし、これでオッケーだね。
　僕達は村長さんの家から、村の外れにある森に向かいました。

「その年の自然災害で、害獣駆除の頭数が変わる事もあるんですね」
「そうね。森に沢山食べ物があれば、動物も人の住む所にまで下りてこないわ」
「今回は、恐らく大雨で木の実やきのこなどの生育が悪かったのでしょうね」

　フレアさんとミシャさんが今回の害獣駆除の背景を教えてくれたけど、やっぱり情報集めはとっても大切だね。
　僕もシロちゃんも、とっても勉強になります。