小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百四十話 お茶会が始まります

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 こうして僕は慌てずに治療を続けて、数日後には全ての人の治療を終える事が出来ました。
 四肢を切断した人も沢山の魔力を使っちゃったけど無事に再生する事ができ、リハビリを開始しているそうです。
 そして今日は、前から予定されていたお茶会です。
 お茶会は午後からなので、僕もシロちゃんも客室で招待客用のピンブローチを作る準備を進めていました。

 こんこん。

「あっ、はい」
「レオ君、ちょっと良いかな?」

 大体準備が終わった所で、チェルシーさんが部屋の中に入ってきました。

「今日ね、急遽参加者が二人追加になったのよ。ピンブローチの材料は足りるかしら?」
「はい、大丈夫です。あと五人くらい増えても大丈夫ですよ」
「それは良かったわ。レオ君も良く知っている人だから、楽しみにしていてね」

 僕の知っている女性で、追加参加者って一体誰だろう?
 ちょっと不思議に思いながらも、僕とシロちゃんは追加の準備を進めました。
 そして、いよいよお茶会の時間になります。
 今日はぽかぽかしていて寒くないというので、外でお茶会をする事になりました。
 僕もキチンとした服に着替えて、外のテーブルとイスが並んだ庭に移動します。
 チェルシーさんとスーザンさんも、綺麗なドレスに上着を羽織って準備万端です。

「こんにちは、ようこそおいで下さいました」
「こちらこそ、お招き頂きありがとうございます」

 段々と参加者が集まってきて、僕達は参加者に挨拶をしています。
 すると、とある三人のグループに知っている人が二人いました。
 フレアさんとミシャさんも、髪色と同じ綺麗なドレスを着ていました。

「フレアさん、ミシャさん、お茶会に来てくれたんですね」
「今日は招待してくれてありがとう。実は、急遽参加する事になったのよ」
「元々は私の母親のみ参加する予定だったのだけど、レオ君にお礼を言いたくてお願いしたの」

 僕とシロちゃんはフレアさんとミシャさんに挨拶したけど、ミシャさんのお母さんが参加者だったんだね。
 フレアさんとミシャさんが、追加の参加者だったんだ。
 そして、ミシャさんそっくりのお母さんが僕に挨拶しました。

「レオ君、初めまして。ミシャの母親でございます。この街で商会をしております。この度は、ミシャの命を救って頂き、感謝申し上げます」
「えっと、僕はレオです。この子は、シロちゃんです。僕も、ミシャさんを無事に治療出来て良かったです」
「ミシャは胸の病でかなり弱っておりまして、一時期は命の危険がありました。そんなミシャを治療して頂き、本当に嬉しく思います」

 ミシャさんのお母さんに思いっきり感謝されちゃったけど、確かにもう一回ミシャさんを治療した時に胸にモヤモヤがあったよね。
 でも、僕の治療で元気になってくれれば、僕もとっても嬉しいです。
 参加者も揃ったので、お茶会スタートです。

「チェルシー様、本日も素敵なお茶会ですわ」
「まあまあ、ありがとうございますわ」

 主に、年配の御婦人と話すチェルシーさんのグループが一つ。

「スーザン様も、もうそろそろ出産ですわね。私もとても楽しみですわ」
「ありがとうございます。私も元気な赤ちゃんと会えるのを楽しみしていますわ」

 出産間近のスーザンさんと、にこやかに赤ちゃんの話で盛り上がるグループが一つ。

「うわあ、本物のレオ君なんだね。とっても可愛いわ」
「それでいて、物凄い魔法使いなんだよね。この街の治療院に入院していた人を、一人残らず治療したんだよね」
「この場にミシャさんがいる事が、治療院での噂を証明する何よりの証拠ですわ」
「えーっと、その、ありがとうございます……」

 そして、僕とシロちゃんの周りにも若い女性が集まっていました。
 既に治療院での治療の件が街に広まっていたので、主にその話が中心です。

「あっ、そうだ。今日は僕とシロちゃんが皆さんにピンブローチを作るんです。ちょっと準備しますね」
「レオ君がピンブローチを作るの? それは凄いわ」
「そう言えばコバルトブルーレイクの街で小さな職人さんがピンブローチを作っていたと聞いたけど、それってレオ君のことだったのね」

 僕が、コバルトブルーレイクの街でピンブローチを作っていたのを知っている人もいたんだね。
 シロちゃんと一緒に準備を進めていると、段々と他の人も僕の周りに集まってきました。

「レオ君、これってこうやって作ってって要望も出せるのかしら?」
「僕とシロちゃんが作れる範囲でしたら、全然大丈夫です」
「じゃあ、お花をイメージしたものを作ってくれるかしら」

 僕と一緒にお喋りしていたオレンジ色のショートヘアのお姉さんのリクエストを聞いて、僕とシロちゃんは早速ピンブローチを作り始めました。

 ポチポチポチ。

 イメージがすんなりと思い浮かんだので、あっという間に完成しました。

「はい、こんな感じでどうでしょうか?」
「わあ、凄い。あっという間だわ! しかも二つのピンブローチも、とっても素敵よ」

 お姉さんは僕とシロちゃんが作ったピンブローチを手にとって、物凄く喜んでくれました。
 喜んでくれると、作った僕とシロちゃんもとっても嬉しいです。

「じゃあ、順番に作っていきますね」
「では、私は華やかさをイメージした物でお願いね」

 こうして暫くの間、僕とシロちゃんはお姉さん達のリクエストに応えてピンブローチを作っていきました。
 皆さん僕とシロちゃんの作ったピンブローチにとても満足してくれて、僕もシロちゃんもとても嬉しくなっちゃいました。
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