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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百三十六話 僕が講師のお手伝い?

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 翌日は、予定通り治療はお休みです。

「行ってきます」
「行ってらっしゃい。レオ君、無理はしないでね」

 チェルシーさんに見送られて、僕とシロちゃんは薬草採取をする為に冒険者ギルドに向かいました。

「わあ、今日もいっぱい人がいるね」

 サンダーランド辺境伯領の冒険者ギルドはとっても大きいから、沢山の冒険者が依頼の手続きをしていました。
 僕のやる薬草採取は常設依頼だけど、念の為に受付のお姉さんに確認をします。

「おはようございます。薬草採取をしたいんですけど、手続きって必要ですか?」
「おはよう。手続きは不要よ。採取した薬草を、卸しのおじさんに持って行ってね」

 やっぱり僕の予想通り、サンダーランド辺境伯領でも採った薬草を引き取り関係のおじさんに持っていけば良いんだね。
 僕もシロちゃんもやる気満々になったんだけど、受付のお姉さんが薬草採取の事で僕に話しかけてきました。

「レオ君は薬草採取には慣れているよね? 実はこの後新人冒険者が講座で薬草採取に行くのだけど、一緒に行ってくれるかしら?」
「僕で良かったら、一生懸命頑張ります!」
「程々で良いのよ。では、同行者もいるから受付の近くで待っていてね」

 思わぬ形で冒険者ギルドからの依頼がきたので、僕とシロちゃんは益々やる気が上がりました。
 とはいえ同行者がまだ来ていないので、僕は少し待つ事に。

「レオ君、お待たせ」
「ごめんね、待たせちゃって」

 そして、受付で待っていたらフレアさんとミシャさんが僕に声をかけてきました。
 二人とも剣士の冒険者スタイルで、腰にはカッコいい剣を下げています。
 秋から冬になってきたので、フレアさんとミシャさんも皮の胸当てにマントを被っていました。
 よく見ると、ミシャさんはフレアさんよりも短い剣を二本腰から下げていますね。

「ミシャさんも、冒険者活動を再開したんですね」
「ええ、入院期間が長かったから、先ずは簡単な依頼から始めようとしたのよ」

 ミシャさんはまだ退院したばっかりだし、少しずつリハビリしないとね。
 でも、ミシャさんの顔色とかはとっても良いよ。

「レオ君には、改めてお礼をしないとならないわ。今回は教会とサンダーランド辺境伯家が治療費の負担をしてくれたけど、レオ君は追加で治療してくれたからね」
「えー、僕はお礼を欲しい為に治療した訳じゃないですよ」
「レオ君はそう言うと思ったわ。だから、もう少し体が戻ったら剣技を教えてあげるわ」

 おお、フレアさんの剣の師匠であるミシャさんなら、僕の剣技もパワーアップ出来るかも。
 どっちにしても、僕も治療院での治療もあるし暫くは忙しいんだよね。

「今日は、薬草採取をする人と一緒に同行するんですよね?」
「最終的にはそうなるけど、簡単な薬草採取講座もやるわ。レオ君にも補助して貰うわ」

 フレアさんが、薬草採取の先生もやるんだね。
 よーし、僕もシロちゃんも頑張ってフレアさんを補助するよ。

「今日薬草採取講座に参加するのは、女性と若い子が殆どよ。だから、レオ君も緊張しないで出来ると思うわ」
「僕は、大人の男性でも大丈夫ですよ。でも、確かに薬草採取だと女性とかが多そうですね」
「サンダーランド辺境伯領は薬草も良く採れるので、薬草採取はちょっとしたお小遣い稼ぎにもなるわ」

 薬草が沢山採れるのは、僕にもとってもありがたいね。
 僕も薬草採取頑張っちゃおう!

「じゃあ、そろそろ座学を始める部屋に向かいましょう」
「はい!」

 そろそろ時間って事なので、皆で部屋に移動しようとした時でした。

「うん? フレアか?」
「はは、ミシャじゃねーか。ずっと姿を見ていないから、くたばったと思ったぜ」
「まさか幽霊じゃないよな。ははは」

 三人組の男性冒険者が、フレアさんとミシャさんに軽口を叩いてきたよ。
 僕は一瞬むっとなっちゃったけど、フレアさんとミシャさんの対応はちょっと違ったよ。

「なんだ、あんた達か。益々肥えたんじゃない?」
「御生憎様、私にはちゃんと足が生えているわよ」

 フレアさんとミシャさんも、男性冒険者へ軽口で返していました。
 もしかして、これってただの挨拶?

「レオ君、知り合いならこれくらいの軽口なんて気にしないのよ。逆に、いきなり丁寧に挨拶してきたら驚く事もあるの」
「急に礼儀正しい挨拶をしてきたら、変な物を食べたって勘違いしちゃうわ。もしくは、頭でも打ったってね」
「へえ、そうなんですね」
「お前ら、流石にそれは酷いぞ」

 取り敢えず、仲が良いので軽い軽口くらいなら全く問題ないって事なんですね。
 男性冒険者は依頼があるって事で、手を振って別れました。

「レオ君はとっても礼儀正しいから、そのままで良いと思うわ」
「そうね。逆にレオ君にいきなり軽口を叩かれたら、何かあったと思っちゃうわ」
「うーん、僕はまだ軽口はできないですよ。でも、冒険者ってそういう挨拶もするんですね」

 冒険者って中々奥が深いですね。
 僕もシロちゃんも、少し勉強になりました。
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