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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百三十二話 もしかして大発見?

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 翌日も治療はお休みです。
 昨日ミシャさんが退院した様に、まだまだ入退院の手続きが行われている為です。
 しかも冒険者ギルドに到着の手続きもしちゃったし、本当にやる事がないです。

「うーん、どうしようかな? あっ、出来るか聞いてみよう」

 僕は、ボーガン様の執務室に向かいました。

 コンコン。

「失礼します」
「おお、レオ君か。どうした?」

 ボーガン様とマシューさんが、執務室で仕事をしていました。
 僕は、ある事をお願いしました。

「あの、ポーションを作りたいんですけど、魔導コンロを使って良い部屋はありますか?」
「ははは、レオ君は休めないタイプの人間だな」
「厨房なら使っても良いだろう。怪我には気を付けてね」

 ボーガン様とマシューさんの許可も得たので、僕は早速厨房に向かいました。

「おお、そういう事か。あの台は使わないから、そこでやってくれ」

 厨房の料理人にボーガン様とマシューさんの事を話すと、あっさりと場所を提供してくれた。
 僕は、早速魔法袋からポーション作りに必要な道具を取り出します。

「薬草を綺麗に洗ってっと」

 シロちゃんも手伝ってくれながら、薬草を洗い終えます。

「鍋に水魔法で作った水を入れてっと」

 今度はお鍋に薬草と水魔法で作った水を入れて、魔導コンロでじっくりと煮込んでいきます。

 じー。

「あ、あの。僕何かしちゃいましたか?」
「ああ、いやいや。ポーション作りを見るのが初めてでな、手が空いたからどんな感じかと見ていたんだよ」
「煮込み料理と似た感じだな。中々面白いな」

 僕の背後から料理人がポーション作りを見ていたけど、気にしなくて良いって言われたのでそのまま続けます。
 うん、十分に煮込み終わって薬草の成分が十分に溶け込んだね。
 シロちゃんの確認もバッチリです。

「へえ、こうやってポーションを作るんだな」
「そういえば、火を止めたタイミングでちょっと匂いが変わったぞ」

 おや?
 料理人が僕とシロちゃんがオッケーって思ったタイミングで、何か変化を感じたよ。
 面白そうなので、もう少し聞いてみよう。

「えっと、どんな匂いに変わりましたか?」
「この薬草は料理にも使うんだけど、少し清涼感のする匂いがするんだ。その匂いが強くなった気がするぞ」

 おお、流石は一流の料理人です。
 僕とシロちゃんには分からない、僅かな匂いの違いを判別したよ。
 念の為にもう一回ポーションを作っても、やっぱり匂いが違ったんだって。
 これは大発見です!
 ポーション作りに役立つ魔導具を作っている職人さんに、是非とも教えてあげないと。
 ポーションを作り終わったら、僕は早速手紙を書こうと思いました。
 ちょうどピッタリな人が、厨房に顔を出しました。

「あら、ポーション作りは終わってしまったのね。レオ君、何か良いことがあったのかな?」
「チェルシーさん、実は料理人さんのお陰でポーション作りのヒントを得たんです。今、コバルトブルーレイク直轄領の職人さんが誰でもポーションを作れる魔導具を開発してくれているので、見つけたヒントを手紙で送ろうと思ったんです」
「うーん、ちょっと話が大きいわね。旦那に相談しましょう」

 あれ?
 僕の話を聞いたチェルシーさんは、だいぶ考え込んじゃったよ。
 何だか分からないけど、チェルシーさんと一緒にボーガン様の執務室に向かいました。

「うん、その事は手紙で送らない方が良い。レオ君は、さらりととんでもない事をしているな」

 ボーガン様の執務室に行ったら、ボーガン様もちょっと苦笑しながら手紙で送っては駄目だって言われちゃった。
 一体何でかな?

「ポーション作りは、そう簡単にできないと誰もが思っている。熟練の腕が必要だからだ。しかし、誰でも品質の良いポーションが作れるとなると、薬師ギルドにとっては大問題となる」

 うーん、僕としては良いものが作れれば良いかなって思っていたけど、違うんだね。
 大人の世界って難しいね。

「それに、万が一手紙で送ったら、盗難にあう可能性もある。その事も考慮に入れないとならない」

 あっ、そっか。
 ポーション作りのヒントが書いてあるから、誰でもポーション作りが出来ちゃうもんね。
 うう、考えが甘かった……
 どよーんとしてしまった僕とシロちゃんの事を、ボーガン様が優しく撫でてくれました。

「レオ君のやっている事は、とても大切な事だ。それに、魔導具の発展は、我々貴族にとっても重要だ。今回は、私からコバルトブルーレイク直轄領の代官に連絡して、そこから職人に伝えよう。その方が安全だ」

 僕の頭をぽんぽんとしながら、ボーガン様が通信用魔導具を操作し始めました。
 誰でもポーション作りが出来る魔導具は、ボーガン様も作って欲しいんだね。
 僕とシロちゃんは、思わずホッとしました。

「これでよしっと。レオ君、我が領にいる間に手紙を送りたい場合は私に相談しなさい。レオ君のやろうとしている事は、意外と大きな事なんだよ」
「はい!」

 僕も手紙を書きたい時は気をつけようと、改めて思いました。
 でも、職人さんが驚く顔が見えるよね。
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