小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百二十九話 治療は一先ず完了です

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 がちゃ。

「ほ、報告します。数人を除いて退院可能となっております」
「ほぼ全て、ですか……」

 シスターさんが応接室の中に入ってきて、治療結果を教えてくれました。
 スーザンさんは言葉を失っていましたが、僕とシロちゃんはちょっと不満です。

「レオ君、どうしたの?」
「うーん、全員一度に治せればと思っていたんですけど。僕はまだまだです……」

 チェルシーさんが僕の事に気がついてくれたけど、全員退院出来た方が絶対に良いよね。
 シロちゃんの魔力を使っての広範囲魔法だとしても、もう少し訓練を頑張らないと。

「ほほほ、何という向上心じゃ。これ程の魔法を使っても、全く慢心する事がないとは」
「そうですね。ふふ、やっぱりレオ君はレオ君ですね」

 ブラッドリーさんも僕の隣にいるスーザンさんも、僕にニコリとしてくれました。
 さて、第三治療院での治療は一先ず終わりなので、僕達は馬車に乗って第四治療院に向かいます。

「おや、第三治療院の治療は早く終わったみたいだね」

 第四治療院の前で、何故かマシューさんが僕達を待っていました。

「あなた、どうしたんですか?」
「冒険者ギルドに書類を出したついでに、レオ君の魔法がどんなものか見に来たんだよ」

 マシューさんは、お仕事のついでに第四治療院にやってきたんだね。
 だったら、あまり待たせたらいけないから直ぐに治療を終わらせないと。

「わあ、第四治療院はとても大きいんですね」
「サンダーランド辺境伯領でも、一番新しい治療院なんだよ。だから、施設も大きく作ったんだよ」

 マシューさんが第四治療院について説明してくれたけど、これは頑張って回復魔法を使わないとだね。
 早速大部屋に移動すると、またもやシスターさんが沢山いました。
 ここでも僕の魔法を見たいのと、魔法を使った後の怪我人の容態を確認する為みたいですね。
 僕としては、ただ回復魔法を使っているだけなんだけどなあ。

「では、始めます!」
「「「おおー」」」

 僕とシロちゃんが魔力を溜め始めると、周りにいたシスターさんや怪我人が声を上げました。
 今回は治療院が広いから、いっぱい魔力を溜めないと。

 シュイン、シュイン、シュイン。

「な、何という事だ。何重にも魔法陣が展開されているぞ」

 マシューさんは僕とシロちゃんの周りに現れた魔法陣の数に驚いていたけど、今回は僕も全力でいくよ!

「えーい!」

 シュイーン、シュイーン、シュイーン!

 僕とシロちゃんを中心にして、光が一気に広がりました。
 眩しいほどじゃないけど、中には手をかざして光を遮っている人もいます。
 僕とシロちゃんは、建物中に回復魔法が行き渡ったのを確認して、魔力の放出を止めました。
 段々と光が収まり、元の明るさに戻ります。

「ふう、わわっと」

 ふらっ、どさ。

 思った以上に魔力を使ってしまったので、僕はよろけて尻もちをついてしまいました。

「レオ君、大丈夫なの?」
「てへへ、一気に魔力を使ったので、ちょっと疲れちゃいました」

 直ぐに僕の所にチェルシーさんが駆け寄ってくれたけど、意識を失う程じゃないから大丈夫です。
 僕も頭をポリポリとして、失敗したと苦笑いです。

「な、何だあの魔法は。痛いのが全く無くなったぞ」
「あれだけの魔法を使って、ちょっと疲れた程度とは。黒髪の天使様は、とんでもない魔法使いですわ」

 怪我人もシスターさんも、とっても驚きながら体をペタペタと触っていました。
 後はシスターさんの確認待ちになるけど、この第四治療院は大きいから確認にも時間がかかりそうだね。

 ひょい。

「あっ、マシューさん一人で歩けますよ」
「いやいや、ふらついて尻もちをついた人が何を言っている。大分お疲れだから、このまま屋敷にも戻るよ」
「そうね、二日続けて大魔法を使ったのだから、部屋で休んでいてね」

 マシューさんだけでなく、スーザンさんも僕とシロちゃんを撫でながら気を使ってくれました。
 ここは、素直にお願いした方が良さそうだね。
 僕とシロちゃんは、マシューさんに抱っこされたまま馬車に乗り込みました。

「すー、すー」
「おや、レオ君はどうしたのかい?」
「父上、レオ君はとんでもない大魔法を使ったので、疲れてしまった様です」
「そうか、ではゆっくりと休ませてあげた方が良いだろうな。こうみると、まだあどけない男の子だな」
「そうですね。明日はゆっくりと休ませます」
「すー、すー」

 僕は馬車の中でマシューさんに抱っこされたまま寝てしまったので、屋敷についても抱っこされたまま部屋に送られました。
 そのまま、おやつの時間までぐっすりとねちゃいました。
 因みに後で教えて貰ったけど、第四治療院の怪我人は全員退院できるそうです。
 今度は回復魔法がキッチリと成功して、僕もシロちゃんも一安心でした。
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