124 / 589
第四章 サンダーランド辺境伯領
第二百十九話 何故か復旧現場にいた人
しおりを挟む
サンダーランド辺境伯領への旅も十日目に入りました。
道中色々あったけど、全部が良い経験になりそうですね。
僕とシロちゃんは、今日も街道の復旧作業のお手伝いをしています。
「うーんしょ、っと」
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
僕とシロちゃんは、競うように念動を使って土砂を麻袋に入れて行きます。
他の人もどんどんと土砂を除去していくので、段々と退避スペースが広くなってきました。
でも、午前中頑張っても残念ながら全面開通は出来ませんでした。
「うーん、もうちょっとだったんですけどね」
「仕方ないさ。予想以上に遅れるって事は多々あるさ」
昼食を食べながら、僕とシロちゃんはちょっと不満を漏らしていました。
復旧作業の進捗を邪魔しているのが、時々土砂の中から見つかる大きな石や岩です。
僕やシロちゃんが魔法を使って岩を粉々にしているけど、その度に作業が止まってしまいます。
「大丈夫だ、また岩が見つかったとしても今日中には全面開通するだろう。もうちょい頑張ろうや」
僕は担当者に励まされて、ちょっとやる気を取り戻しました。
「そうだ、土砂崩れ現場を直す所を見せると言ったが、昼食明けに見せてやろう」
「本当ですか?」
「ははは、こういう顔は子どもらしいな。だったら、さっさとめしを食っちまえ」
担当者が僕を土砂崩れ復旧現場に連れて行ってくれるそうです。
どんな作業をしているのか、とっても楽しみです。
僕とシロちゃんは、一気に昼食を食べちゃいました。
「おお、凄い! 土の入った麻袋を、上手く組み合わせているんですね」
「互い違いになるように、麻袋を組んでいくのがポイントだ。ただ土を盛るだけじゃあ直ぐに崩れるし、麻袋もただ積めば良いわけじゃない。レンガ造りの家だって、レンガを交互に積むから強い建物になるんだぞ」
崩れた現場は土台からしっかりと土の入った麻袋を積んでいって、また崩れない様にしています。
積むのもバランスを考えての職人技なので、僕とシロちゃんはお手伝い出来ないね。
やっぱり工事現場の職人さんも凄いんだね。
復旧現場を見せて貰った後は、再び土砂を念動で麻袋に入れる作業を再開します。
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
「ふう、もう少しで退避スペース側の土も無くなるね」
午後は良い感じに作業が作業が進んだので、もう少しで馬車二台分の通過スペースが確保出来ます。
このタイミングで、僕とシロちゃんは担当者に声をかけられました。
「おーい、この辺の土を一気に退かす事は出来るか? 土壁側に纏めてやっちゃえば大丈夫だ」
「えーっと、シロちゃんと一緒にやってみます」
僕の身長十人分位の長さの土を一気に念動で退かして欲しいと言われたので、僕もシロちゃんも張り切って準備をします。
シュイーン。
「えい!」
ボコン!
「「「おお、すげーな。あの量の土を一気に動かすなんて」」」
初めてだから少し不安もあったけど、上手くいって良かった。
周りの人は僕とシロちゃんの魔法に思わずびっくりしているけど、僕とシロちゃんは集中して宙に浮かんだ土を少しずつ移動させます。
ドサッ。
「ふう、上手く行ったよ」
パチパチパチ。
僕とシロちゃんがホッとしていると、僕の後ろから拍手が聞こえてきました。
拍手をしているのは子爵様と男爵夫人様と、えーっと初めて見る大柄な男性だよ。
「いやあ、初めて見たが凄い魔法だな。流石は黒髪の魔術師といった所だな」
そして大柄な男性が、物凄く良い笑顔をしながら僕に近づいてきました。
茶髪の髪をオールバックにして、整えたおひげと筋肉ムキムキな体も相まって凄い迫力だよ。
先ずは挨拶をしてみよう。
「えっと、初めまして。僕はレオです。このスライムは、シロちゃんです」
「おお、小さいのに礼儀正しいな、感心だ。私はサンダーランド辺境伯のボーガンだ」
ええー!
何でここに、僕の旅の目的地であるサンダーランド辺境伯様がいるの?
僕もシロちゃんも、思わずビックリしちゃったよ。
「ははは、大分驚いているようだな。この街道が使えないと、我が領も大分困るのだ。それに街道の維持は、領地貴族の義務だ。多くの恩恵を得ている代わりに、何かあったら即時対応しないといけないのだよ」
笑いながら豪快に答えているボーガン様だが、その後本当の目的をぶっちゃけていた。
「まあ、どちらかというと、黒髪の魔術師の実力を見たくてここにやってきたのだがな。いやあ、このとても固い土壁といい大量に土を動かした念動といい、私の期待以上だ」
ボーガン様はちょっと怖い印象を持っていたけど、こうして話を聞く限りとっても気さくな感じがするよ。
丁度休憩時間になったので、そのまま皆集まって話をする事になりました。
道中色々あったけど、全部が良い経験になりそうですね。
僕とシロちゃんは、今日も街道の復旧作業のお手伝いをしています。
「うーんしょ、っと」
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
僕とシロちゃんは、競うように念動を使って土砂を麻袋に入れて行きます。
他の人もどんどんと土砂を除去していくので、段々と退避スペースが広くなってきました。
でも、午前中頑張っても残念ながら全面開通は出来ませんでした。
「うーん、もうちょっとだったんですけどね」
「仕方ないさ。予想以上に遅れるって事は多々あるさ」
昼食を食べながら、僕とシロちゃんはちょっと不満を漏らしていました。
復旧作業の進捗を邪魔しているのが、時々土砂の中から見つかる大きな石や岩です。
僕やシロちゃんが魔法を使って岩を粉々にしているけど、その度に作業が止まってしまいます。
「大丈夫だ、また岩が見つかったとしても今日中には全面開通するだろう。もうちょい頑張ろうや」
僕は担当者に励まされて、ちょっとやる気を取り戻しました。
「そうだ、土砂崩れ現場を直す所を見せると言ったが、昼食明けに見せてやろう」
「本当ですか?」
「ははは、こういう顔は子どもらしいな。だったら、さっさとめしを食っちまえ」
担当者が僕を土砂崩れ復旧現場に連れて行ってくれるそうです。
どんな作業をしているのか、とっても楽しみです。
僕とシロちゃんは、一気に昼食を食べちゃいました。
「おお、凄い! 土の入った麻袋を、上手く組み合わせているんですね」
「互い違いになるように、麻袋を組んでいくのがポイントだ。ただ土を盛るだけじゃあ直ぐに崩れるし、麻袋もただ積めば良いわけじゃない。レンガ造りの家だって、レンガを交互に積むから強い建物になるんだぞ」
崩れた現場は土台からしっかりと土の入った麻袋を積んでいって、また崩れない様にしています。
積むのもバランスを考えての職人技なので、僕とシロちゃんはお手伝い出来ないね。
やっぱり工事現場の職人さんも凄いんだね。
復旧現場を見せて貰った後は、再び土砂を念動で麻袋に入れる作業を再開します。
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
ボコ、ドサ。
「ふう、もう少しで退避スペース側の土も無くなるね」
午後は良い感じに作業が作業が進んだので、もう少しで馬車二台分の通過スペースが確保出来ます。
このタイミングで、僕とシロちゃんは担当者に声をかけられました。
「おーい、この辺の土を一気に退かす事は出来るか? 土壁側に纏めてやっちゃえば大丈夫だ」
「えーっと、シロちゃんと一緒にやってみます」
僕の身長十人分位の長さの土を一気に念動で退かして欲しいと言われたので、僕もシロちゃんも張り切って準備をします。
シュイーン。
「えい!」
ボコン!
「「「おお、すげーな。あの量の土を一気に動かすなんて」」」
初めてだから少し不安もあったけど、上手くいって良かった。
周りの人は僕とシロちゃんの魔法に思わずびっくりしているけど、僕とシロちゃんは集中して宙に浮かんだ土を少しずつ移動させます。
ドサッ。
「ふう、上手く行ったよ」
パチパチパチ。
僕とシロちゃんがホッとしていると、僕の後ろから拍手が聞こえてきました。
拍手をしているのは子爵様と男爵夫人様と、えーっと初めて見る大柄な男性だよ。
「いやあ、初めて見たが凄い魔法だな。流石は黒髪の魔術師といった所だな」
そして大柄な男性が、物凄く良い笑顔をしながら僕に近づいてきました。
茶髪の髪をオールバックにして、整えたおひげと筋肉ムキムキな体も相まって凄い迫力だよ。
先ずは挨拶をしてみよう。
「えっと、初めまして。僕はレオです。このスライムは、シロちゃんです」
「おお、小さいのに礼儀正しいな、感心だ。私はサンダーランド辺境伯のボーガンだ」
ええー!
何でここに、僕の旅の目的地であるサンダーランド辺境伯様がいるの?
僕もシロちゃんも、思わずビックリしちゃったよ。
「ははは、大分驚いているようだな。この街道が使えないと、我が領も大分困るのだ。それに街道の維持は、領地貴族の義務だ。多くの恩恵を得ている代わりに、何かあったら即時対応しないといけないのだよ」
笑いながら豪快に答えているボーガン様だが、その後本当の目的をぶっちゃけていた。
「まあ、どちらかというと、黒髪の魔術師の実力を見たくてここにやってきたのだがな。いやあ、このとても固い土壁といい大量に土を動かした念動といい、私の期待以上だ」
ボーガン様はちょっと怖い印象を持っていたけど、こうして話を聞く限りとっても気さくな感じがするよ。
丁度休憩時間になったので、そのまま皆集まって話をする事になりました。
834
お気に入りに追加
5,421
あなたにおすすめの小説


【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

聖女業に飽きて喫茶店開いたんだけど、追放を言い渡されたので辺境に移り住みます!【完結】
青緑
ファンタジー
聖女が喫茶店を開くけど、追放されて辺境に移り住んだ物語と、聖女のいない王都。
———————————————
物語内のノーラとデイジーは同一人物です。
王都の小話は追記予定。
修正を入れることがあるかもしれませんが、作品・物語自体は完結です。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。