小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
115 / 584
第四章 サンダーランド辺境伯領

第二百十話 伯爵様が興奮しちゃった

しおりを挟む
「申し訳ないですが、詰め所にお館様がおりますのでご説明頂けないでしょうか?」

 防壁の門を警備している兵が僕達に申し訳なく言っているけど、ここはキチンと説明をした方が良いよね。
 僕とシスターさん達は馬車から降りて、兵の先導で防壁の門の近くにある兵の詰め所に向かいました。
 そして、兵の詰め所にある会議室っぽい所の前に着きました。

 こんこん。

「失礼いたします。お館様、街道に現れたというレイスですが既に倒されたとの報告があがりました」
「なにー!」

 おお、兵がドア越しに中にいる人に説明をしたら、とってもビックリした声が聞こえてきたよ。
 大きな声に、僕とシロちゃんは思わずビクッとしちゃったよ。

「本件につきまして、シスター長様の御一行がご説明頂けるというという事で御同行頂きました」
「そうか、入ってくれ」

 入室の許可が出たので、僕達は部屋の中に入りました。
 すると、部屋の中には兵と打ち合わせをする豪華な鎧を着た男性がいたよ。
 豪華な鎧を着た男性は筋肉ムキムキのスキンヘッドで、しかも大柄ってのもあってか如何にも軍人って感じの人だったよ。
 
「シスター長、長旅で疲れている所申し訳ない」
「伯爵様、私どもも事の重大さは把握しております。こうして無事に伯爵領に着いた事は、奇跡と言えましょう」

 あっ、この筋肉ムキムキの人が伯爵様なんだね。
 守備隊長みたいに、前線で戦う兵かと思っちゃったよ。

「幸いにして、レイスが街道に現れてこちらに気付く前に魔法で倒す事が出来ました。私の聖魔法では撃退する事はできても、退治する事は不可能でしたでしょう」

 おおー、年配のシスターさんは聖魔法が使えるんだね。
 だから、他のシスターさんも聖魔法に詳しかったんだ。
 それに、年配のシスターさんは邪悪な気配とかを感じる事が出来るみたいだし、探索魔法に近い魔法を使えるのかもしれない。

「しかし、それならどうやってレイスを倒されたのか?」
「それは、ここにいる黒髪の天使様であるレオ君がたまたま馬車に同乗しておりまして、レオ君が強力な聖魔法を使ってあっという間にレイスを浄化しましたわ。私どもは、とてもワクワクしながらレオ君の魔法を見ておりましたわ」
「な、なんと、あの黒髪の天使様で黒髪の魔術師たるレオ君が同乗していたとは」

 年配のシスターさんがニコニコしながら僕がレイスを浄化した事を話していたけど、伯爵様は目を開くほどに驚いていたよ。
 そして伯爵様は、ビックリしたまま僕に話しかけてきました。

「君が、かの有名なレオ君か。確かに黒髪の幼い子だな」
「ゆ、有名かどうかは分からないけど、僕はレオです」
「うむ、冒険者カードも間違いないし、何よりも冒険者カードの裏に記載されている戦績が物凄い。ははは、男子として、いつかはこれ程の武勇を上げてみたいものだな」

 伯爵様は、大笑いしながら僕が差し出した冒険者カードを返してくれた。
 とっても豪快な人ってだけあって、笑い方も豪快だね。

「レオ君は、初級聖魔法のターンアンデッドでレイスを浄化してしてしまいましたわ。噂以上の凄い魔法使いで、私は感激してしまいましたわ」
「シスター長がそういうのでしたら、間違いはないだろう。是非とも、武勇伝をもっと聞きたいものだな」

 いつの間にか、僕の褒めあいになっちゃったよ。
 えーっと、レイスの件はもう終わりで良いよね?
 すると、伯爵様は僕にビックリする事を言ってきました。

「レオ君、是非とも我が家に泊まっていってくれ。レオ君の武勇伝を、もっと聞きたくなっぞ!」

 えー!
 何だか、完全に予定外の事になっちゃったよ。
 でも折角の申し出だから断るのも悪いし、僕は伯爵様が用意した馬車で伯爵様の屋敷に向かう事になりました。

 どーん!

「あ、あの、とっても豪華な夕食ですけど……」
「ははは、レオ君は伯爵領を救ったのだ。遠慮しないでくれ。それに、レイスの討伐料は冒険者ギルド経由でキチンと支払うぞ」

 屋敷の食堂に案内されると、まさに貴族の料理って感じの豪華な夕食が出てきました。
 しかも、シロちゃんにもお肉の塊が出てきたよ。

「すみません、良くわからないままにレイスを倒しちゃったんですけど、そんなに大変な魔物だったんですか?」
「ゾンビはしつこいだけで燃やせば倒せるのだが、レイスは生前の能力を引き継いでいる事が殆どで尚且つ能力が上がっているんだ。しかも奴は生前魔法使いらしく、これまでも何人もの人があのレイスに殺されたのだよ」

 おお、伯爵様がレイスについて教えてくれたけど、とっても危険な存在だったんだね。
 レイスが攻撃してくる前に倒せて、本当に良かったよ。
 すると、伯爵様が更にヒートアップしながら僕の事を聞いてきたよ。

「儂も武人の端くれだと思っているが、改めて戦績を見たけどレオ君は本当に凄いな。ゴブリンキングは、どうやって倒したんだい?」
「えっと、このスライムのシロちゃんが酸弾を使ってゴブリンキングの顔を攻撃して、怯んだ隙に魔力を溜めたエアーカッターで一撃で倒しました」
「なんと、一撃でゴブリンキングの首をはねたのか。レオ君の連れているスライムも、かなりの強さだな」

 その後も、盗賊団を倒した事とかアマード子爵の先代様を助けた事とか、色々な話を聞かされちゃいました。
 伯爵様はとっても良い話が聞けたととっても満足した顔をしていたけど、僕とシロちゃんはずっとハイテンションな伯爵様を相手にしたのでとっても疲れちゃいました。
 客室に案内されたら、直ぐにベッドに入って眠っちゃいました。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。