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第四章 サンダーランド辺境伯領
第二百九話 初めてのレイスとの遭遇
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サンダーランド辺境伯領への旅、四日目の朝です。
僕はいつもの時間に起きて、出発の準備をします。
まだ街道沿いに森が続くらしいし、今日の旅も気をつけないとね。
「あっ、おはようございます」
「おお、来たな。俺達はこの街に残るが、気をつけて行ってこいよ」
宿をチェックアウトすると、昨日一緒だった三人組の冒険者が僕に声をかけてきました。
僕もシロちゃんも、三人組の冒険者に手を振ってから馬車乗り場に向かいました。
「あっ、昨晩ちょっと雨が振ったんだね」
地面が少しだけ濡れていたけど、今日はとっても良いお天気なので直ぐに乾きそうです。
僕は馬車に乗って、旅を再開しました。
カラカラカラ。
「まさか、あの黒髪の天使様と一緒に旅が出来るとは」
「これも、神様のお導きですわね」
今日乗っている馬車には、教会のシスターさんが七人乗っていました。
他にも、年配の夫婦が二人乗っています。
若い人から年配の方まで様々な年齢の人がいて、特に年配の人は何故か僕の事を知って祈りだしていました。
ぼ、僕はそんなに凄い人じゃないですよ。
僕もシロちゃんも、思わずビックリしちゃったよ。
「レオ君は、一人で旅をしているんですか?」
「はい、サンダーランド辺境伯領へ向かっています。でも、シロちゃんも一緒にいるので全然寂しくないですよ」
「そう、お友達と一緒なのは良いわね」
セルカーク直轄領からアマード子爵領に行った時は、何だかんだいって途中まで知っている人も一緒で、旅をした日数も短かったもんね。
アマード子爵領からコバルトブルーレイク直轄領に旅した時は多くの冒険者と一緒に旅をしたし、一人で本格的な旅をするのって初めてなんだよね。
でも、シロちゃんも一緒にいるし、道中色々な人とお話するのも楽しいんだよ。
今日はシスターさんも一緒なので、色々なお話を聞けています。
「しかし、教会に言い伝えられている黒髪の天使様の偉業が、本当の事だったとは」
「しかも、実際に起きた事はもっと凄いだなんて」
話のメインは、教会で僕が色々な人を治療した事です。
僕としては困っている人を助けただけなんだけど、どうも凄い事らしいです。
キラーン。
「おお、スライムが婆さんの治療をしておるぞ」
「黒髪の天使様が連れているスライムも、凄いスライムじゃのう」
シロちゃんはいつの間にか年配の夫婦の側に行っていて、聖魔法を使った治療をしています。
シロちゃんもとっても優しいし、病気の人は見過ごせないもんね。
がさがさ、がさがさ。
「あっ、何か反応がありました」
昨日と同じく前の茂みががさがさとしていて、シロちゃんも何かを察知して臨戦態勢をとったよ。
がさがさ、がさがさ。
「ウゴゴゴゴ……」
あ、あれは何だろう?
一見人みたいだけど、目が虚ろで肌が青白いよ。
男性なんだけど、銀色の長髪だね。
「あれはレイスだわ。魔素が強い所で死んだ人間が、魔物化したものよ」
「レイスはとても強い魔物よ。でも、聖魔法にとても弱いわ」
シスターさんが出てきた魔物にとってもビックリしているけど、ここは周囲が森だし魔素が集まりやすいのかもね。
それに、聖魔法が良く効くのなら対応は簡単だよ。
僕は聖魔法を両手に集めました。
シロちゃんには、念の為に皆の防御に徹して貰います。
シュイーン、シュワーン!
「えーい、消え去れー!」
「グオオオオオーーー!」
「ま、まさか、これはターンアンデット?」
「ターンアンデットは初級の聖魔法ですけど、こんな威力の聖魔法は見た事はありません」
僕は充分に魔力を練りこんだ聖魔法のターンアンデットを放って、馬車の前に現れたレイスを浄化します。
初級の浄化魔法だけど、何とか上手く行って良かったね。
この聖魔法なら、シロちゃんでも充分に出来るね。
「ふう、あれ? 綺麗さっぱり消えちゃいました」
「死者が浄化されて、天に帰ったのです。流石は黒髪の天使様です」
「普通の聖魔法使いでは、ターンアンデットではレイスよりも下級のゾンビにしか効かないのですが……」
僕は上手く浄化出来た事よりも、レイスにはターンアンデットが効かないって聞いてビックリしちゃいました。
中級の聖魔法も使えるけど、最初は初級の聖魔法で良いかなって思っちゃいました。
流石に僕でも、最上位のアルマゲドンは使えないけどね。
「えっと、とりあえず問題ないで良いですよね?」
「え、ええ。周囲に邪悪な気配はありませんし、何も問題ありませんわ」
年配のシスターさんが僕の疑問に答えてくれたけど、問題ないならこれで戦闘終了だね。
馬車は、再び街道を進み始めました。
「実際に黒髪の天使様の魔法を見て、改めて驚きましたわ」
「ええ、そうですわね。初級魔法ですら、中級魔法以上の効果があるなんて」
「レイスを浄化するだけでも大変なのに、跡形もなく浄化しましたわ」
「これは、新たな黒髪の天使様の伝説が生まれたってことですわね」
あわわわわ。
何だかさっき僕が倒したレイスの事で、シスターさんが物凄く盛り上がっているよ。
魔物を倒しただけだから全く問題ないはずだと、そう思いたいよ。
カラカラカラ。
そして、馬車はある伯爵領の領都に到着しました。
すると、防壁の門にいる兵が何だかざわざわしているよ。
「おお、これは教会の皆様の御一行ですね。道中別の馬車便より、銀髪のレイスが現れたという報告があったのですが問題ありませんでしたか?」
「レイスという事で、通常の魔法使いでは対応できずに困っているのです。しかも、目撃された容姿から元は魔法使いだった冒険者が死んでレイスになったのだと推測されます」
うーん、これはさっき僕が倒したレイスの事みたいだね。
とっても慌てているという事は、やっぱりレイスって強い魔物だったんだ。
「皆様、ご安心を。レイスは確かに私達の元に現れましたが、黒髪の天使様の魔法で天に帰られました」
「「はっ?」」
普通に倒れちゃったからどうしようと思ったけど、年配のシスターさんが道中の事を説明したら余計に混乱しちゃったよ。
うーん、どうやって説明をしたら良いのだろうか?
僕はいつもの時間に起きて、出発の準備をします。
まだ街道沿いに森が続くらしいし、今日の旅も気をつけないとね。
「あっ、おはようございます」
「おお、来たな。俺達はこの街に残るが、気をつけて行ってこいよ」
宿をチェックアウトすると、昨日一緒だった三人組の冒険者が僕に声をかけてきました。
僕もシロちゃんも、三人組の冒険者に手を振ってから馬車乗り場に向かいました。
「あっ、昨晩ちょっと雨が振ったんだね」
地面が少しだけ濡れていたけど、今日はとっても良いお天気なので直ぐに乾きそうです。
僕は馬車に乗って、旅を再開しました。
カラカラカラ。
「まさか、あの黒髪の天使様と一緒に旅が出来るとは」
「これも、神様のお導きですわね」
今日乗っている馬車には、教会のシスターさんが七人乗っていました。
他にも、年配の夫婦が二人乗っています。
若い人から年配の方まで様々な年齢の人がいて、特に年配の人は何故か僕の事を知って祈りだしていました。
ぼ、僕はそんなに凄い人じゃないですよ。
僕もシロちゃんも、思わずビックリしちゃったよ。
「レオ君は、一人で旅をしているんですか?」
「はい、サンダーランド辺境伯領へ向かっています。でも、シロちゃんも一緒にいるので全然寂しくないですよ」
「そう、お友達と一緒なのは良いわね」
セルカーク直轄領からアマード子爵領に行った時は、何だかんだいって途中まで知っている人も一緒で、旅をした日数も短かったもんね。
アマード子爵領からコバルトブルーレイク直轄領に旅した時は多くの冒険者と一緒に旅をしたし、一人で本格的な旅をするのって初めてなんだよね。
でも、シロちゃんも一緒にいるし、道中色々な人とお話するのも楽しいんだよ。
今日はシスターさんも一緒なので、色々なお話を聞けています。
「しかし、教会に言い伝えられている黒髪の天使様の偉業が、本当の事だったとは」
「しかも、実際に起きた事はもっと凄いだなんて」
話のメインは、教会で僕が色々な人を治療した事です。
僕としては困っている人を助けただけなんだけど、どうも凄い事らしいです。
キラーン。
「おお、スライムが婆さんの治療をしておるぞ」
「黒髪の天使様が連れているスライムも、凄いスライムじゃのう」
シロちゃんはいつの間にか年配の夫婦の側に行っていて、聖魔法を使った治療をしています。
シロちゃんもとっても優しいし、病気の人は見過ごせないもんね。
がさがさ、がさがさ。
「あっ、何か反応がありました」
昨日と同じく前の茂みががさがさとしていて、シロちゃんも何かを察知して臨戦態勢をとったよ。
がさがさ、がさがさ。
「ウゴゴゴゴ……」
あ、あれは何だろう?
一見人みたいだけど、目が虚ろで肌が青白いよ。
男性なんだけど、銀色の長髪だね。
「あれはレイスだわ。魔素が強い所で死んだ人間が、魔物化したものよ」
「レイスはとても強い魔物よ。でも、聖魔法にとても弱いわ」
シスターさんが出てきた魔物にとってもビックリしているけど、ここは周囲が森だし魔素が集まりやすいのかもね。
それに、聖魔法が良く効くのなら対応は簡単だよ。
僕は聖魔法を両手に集めました。
シロちゃんには、念の為に皆の防御に徹して貰います。
シュイーン、シュワーン!
「えーい、消え去れー!」
「グオオオオオーーー!」
「ま、まさか、これはターンアンデット?」
「ターンアンデットは初級の聖魔法ですけど、こんな威力の聖魔法は見た事はありません」
僕は充分に魔力を練りこんだ聖魔法のターンアンデットを放って、馬車の前に現れたレイスを浄化します。
初級の浄化魔法だけど、何とか上手く行って良かったね。
この聖魔法なら、シロちゃんでも充分に出来るね。
「ふう、あれ? 綺麗さっぱり消えちゃいました」
「死者が浄化されて、天に帰ったのです。流石は黒髪の天使様です」
「普通の聖魔法使いでは、ターンアンデットではレイスよりも下級のゾンビにしか効かないのですが……」
僕は上手く浄化出来た事よりも、レイスにはターンアンデットが効かないって聞いてビックリしちゃいました。
中級の聖魔法も使えるけど、最初は初級の聖魔法で良いかなって思っちゃいました。
流石に僕でも、最上位のアルマゲドンは使えないけどね。
「えっと、とりあえず問題ないで良いですよね?」
「え、ええ。周囲に邪悪な気配はありませんし、何も問題ありませんわ」
年配のシスターさんが僕の疑問に答えてくれたけど、問題ないならこれで戦闘終了だね。
馬車は、再び街道を進み始めました。
「実際に黒髪の天使様の魔法を見て、改めて驚きましたわ」
「ええ、そうですわね。初級魔法ですら、中級魔法以上の効果があるなんて」
「レイスを浄化するだけでも大変なのに、跡形もなく浄化しましたわ」
「これは、新たな黒髪の天使様の伝説が生まれたってことですわね」
あわわわわ。
何だかさっき僕が倒したレイスの事で、シスターさんが物凄く盛り上がっているよ。
魔物を倒しただけだから全く問題ないはずだと、そう思いたいよ。
カラカラカラ。
そして、馬車はある伯爵領の領都に到着しました。
すると、防壁の門にいる兵が何だかざわざわしているよ。
「おお、これは教会の皆様の御一行ですね。道中別の馬車便より、銀髪のレイスが現れたという報告があったのですが問題ありませんでしたか?」
「レイスという事で、通常の魔法使いでは対応できずに困っているのです。しかも、目撃された容姿から元は魔法使いだった冒険者が死んでレイスになったのだと推測されます」
うーん、これはさっき僕が倒したレイスの事みたいだね。
とっても慌てているという事は、やっぱりレイスって強い魔物だったんだ。
「皆様、ご安心を。レイスは確かに私達の元に現れましたが、黒髪の天使様の魔法で天に帰られました」
「「はっ?」」
普通に倒れちゃったからどうしようと思ったけど、年配のシスターさんが道中の事を説明したら余計に混乱しちゃったよ。
うーん、どうやって説明をしたら良いのだろうか?
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