小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百九十四話 ピンブローチ作りがレベルアップしたよ

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 今日は魔導具修理工房でのお仕事だけど、以前に言われていた商会内でピンブローチを作ります。

「ジュンさん、僕とシロちゃんは何をやれば良いですか?」
「工房ではなく、店内でピンブローチを作っていればいいわ」

 あれ?
 普通にピンブローチを作るなら何で工房で作らないんだろかなと思ったら、ある理由がありました。

「実際にレオ君やシロちゃんが作っているのかと、疑問に思っているお客様がいるのよ。実は別の人が作っていて、名前だけを借りているのではとかね」

 あっ、そうか。
 そもそも僕みたいな子どもがピンブローチを作っているなんて思わない人もいるだろうし、シロちゃんなんてスライムだもんね。
 小さいテーブルとイスも用意してくれているし、早速作業開始です。

「うーん、今日は何をイメージして作ろうかな?」

 直感でささって作るシロちゃんと違って、僕はイメージしながら作るんだよね。
 せっかくだから、コバルトブルーレイクをイメージした物を作ろうと。

 ポチポチポチ。

「おっ、レオじゃないか。何しているんだ?」

 急に声をかけられて顔を上げたら、冒険者のおじさんが不思議そうな顔をして僕の事を見ていたよ。

「こんにちは、今日は店内でピンブローチを作っているんです」
「そっか、前にもアクセサリー作っているって言っていたな。頑張れよ」

 おじさんは僕に手を振ると、目的の物を買う為にお店の奥に入っていきました。
 初めて会った知り合いがおじさんってのも、ちょっと不思議だね。
 さて、続きをやろうっと。

 プチプチプチ。

 今度は、お花をイメージして作ろうっと。

「シロちゃんは、風をイメージしたピンブローチなんだね。わあ、とっても綺麗だね」

 シロちゃんが出来上がったピンブローチを僕に見せてくれたけど、薄い緑色を使ってとっても綺麗なんだ。
 シロちゃんが得意げにピンブローチを見せていると、今度は別の人から声がかかりました。

「わあ、スライムがなにかしている!」

 僕達の所にやってきたのは、僕よりもちょっと小さい綺麗な服を着た男の子でした。
 ピンブローチ作りよりも、シロちゃんに興味津々だね。
 まんまるのお目々を輝かせて、シロちゃんの事を見ているよ。
 シロちゃんは、男の子の前でちょっとした魔法を見せてあげたよ。

「わあ、凄い凄い!」

 魔力の玉を動かしているだけだけど、男の子は手を叩いて喜んでいたよ。
 スライムが魔法を使うのは、とても珍しいからね。

「ああ、ここにいたのね。ほら、こっちにおいて。って、レオ君?」
「はい、僕はレオです」

 とても綺麗な服を着た女性が、男の子を探しながら僕達の所にやってきたよ。
 うーん、どっかで見た事のある女性だね。

「あっ、この前勲章授与式で会った人ですね」
「ええ、そうよ。覚えていてくれてありがとうね。これが、噂のレオ君が作っているピンブローチ、とても良く出来ているわ」
「キレーだよね!」

 女性は、僕とシロちゃんが作ったピンブローチを手にとって褒めてくれました。
 男の子も、ニコニコしながらピンブローチを褒めてくれます。

「レオ君、これは売り物かしら?」
「あっ、はい、そうです。作ったら、アクセサリー売り場に展示しています。値段は、店員さんに聞いて貰えると」
「そう、ありがとうね。早速二つ購入させて貰うわ。お仕事、頑張ってね」
「ばいばーい」

 僕とシロちゃんは、手を振りながら女性と男の子を見送りました。
 早速、購入してくれて良かったね。
 よーし、頑張るよ!

 プチプチプチ。

「あの、すみません」

 おや?
 今度は、若い男性が僕の所にやってきたよ。
 ちょっと悩んでいるみたいだけど、何かあったのかな?

「あの、彼女にピンブローチをプレゼントしたいんだけど、デザインをリクエストしても良いかな?」
「はい、大丈夫です。一生懸命作りますね」
「じゃあ、暖かい優しい感じのピンブローチで」

 彼女さんに贈るピンブローチなら、僕もシロちゃんも頑張って作らないと。
 イメージも教えてくれたから、良く考えて作らないとね。
 えーっと、こうして、あーして、っと。
 出来た!
 シロちゃんも出来たみたいだよ。

「こんな感じで出来ました。どうですか?」
「凄い、二つともイメージ通りのピンブローチだ。ありがとうね」

 男性がとっても喜んでくれて、ホッと胸を撫で下ろしたよ。
 でも、誰かの為に作るのって難しいけど、出来上がると達成感もとってもあるね。
 僕とシロちゃんは、手を振りながら男性を見送りました。
 今回は、とっても良い経験になったね。
 こうして、僕とシロちゃんは夕方までピンブローチ作りを続けていました。

「レオ君、お疲れ様。凄い好評だったね」
「リクエスト通りに作ったりと、とっても勉強になりました」
「ただアクセサリーを作るだけじゃなくて、相手のリクエストを再現するのはとても難しいのよ。販売状況を見ながらだけど、来週も店内で制作して見ましょうね」

 今日はとっても勉強になったなあ。
 ジュンさんみたいに凄いアクセサリーは作れないけど、いつかは使ってみたいなあ。
 僕とシロちゃんは、ちょっとほっこりした気持ちで宿に帰りました。
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