小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百九十話 村から街に戻ってきました

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 そして、護送第二弾が終わった所で馬車便が村にやってきました。
 何だか、沢山の人が馬車に乗っているよ。

「あれは、街に出稼ぎに出ていた村人だろう。今回の事件を聞いて、急いで戻ってきたんだろうな」

 守備隊長さんが馬車に沢山の人が乗っている理由を教えてくれたけど、村が襲撃を受けたって聞けばビックリしちゃうもんね。
 僕達は帰りの馬車便で街に帰るので、帰り支度を始めました。

「守備隊の皆さんは、この後どうするんですか?」
「盗賊が潜んでいた洞窟の捜索もあるから、一部の守備隊員は村に残るよ。でも、我々が村を出るのは夕方前だね」

 そっか、盗賊のアジトも供述を聞いて捜索をしないといけないし、まだまだやる事は沢山あるもんね。
 守備隊長さんとは、一旦村でお別れですね。

「君達が村を救ってくれたのか」
「本当にありがとう」
「流石は黒髪の魔術師の一行だ」
「「「わわっ」」」

 そして、馬車に乗り込もうとしたら、僕達は多くの人に取り囲まれて感謝の言葉を言われました。
 多くは、街から村に駆けつけてきた人達ですね。

「私達は、出来ることをしただけですので」
「気持ちはありがたく受け取らせて頂きます」

 ここはユリアさんとイリアさんが、大人の対応をして場を収めました。
 そして、僕達は馬車に乗り込みます。

「ありがとう!」
「さよーならー」

 村人は、僕達を乗せた馬車が見えなくなるまで手を振っていました。
 僕もシロちゃんも、村人が見えなくなるまで手を振り返します。

「皆、疲れている所悪いけど、街に戻ったら冒険者ギルドに行くわよ」
「今回の件を報告しないとならないし、きっとギルドも偽依頼で対応しているはずよ」

 ユリアさんとイリアさんの意見に、僕達も頷きます。
 元は、偽依頼から今回の件が始まったもんね。
 でも、街に着くまで二時間あるので、皆馬車の中で寝てしまいました。
 幸いにして馬車に乗っているのは僕達だけだし、御者の人も昨日と同じ人だから大丈夫ですね。
 こうして僕達は、街に着く直前まですやすやと眠っちゃいました。

 そして、街に着くと冒険者ギルドに向かいます。
 すると、僕達は直ぐにギルドマスターの執務室に案内されました。

「皆、今回はギルドの不手際もあって危険な目にあわせてしまったわ。本当に申し訳ないわ」

 ギルドマスターの執務室に入ると、直ぐに僕達にギルドマスターが謝罪してきました。
 謝罪を受け取って、詳しく話を聞くことにしました。

「ギルドマスター、だいぶお疲れですね」
「それは仕方ないわ。嘘の依頼を見抜けなかった、私達ギルドの責任もあるわ」
「でも、手続き自体はちゃんとしているんですよね?」
「ええ、そうなのよ。依頼内容も内容も全く問題ないのよ。緊急依頼の際は、依頼内容によっては真偽チェックをしない事があるのよ。盗賊はその事をついてきたのね」

 盗賊側が、上手く冒険者ギルドの制度の隙をついた形なんだね。
 更に依頼内容も全く問題ないし、それでは冒険者ギルドも依頼として受けちゃうもんね。

「王都のギルドマスターから、依頼を受ける際は全て真偽チェックをすると通達が出たわ」
「対策が取られているなら、これからは大丈夫ですね」
「そうね、それに依頼を受ける受けないの判断は結局冒険者になるし、冒険者ギルドばかり責められないわ」
「私達も依頼の真偽は見抜けなかった訳ですし、これからの対策に期待するという落とし所で良いのでは無いですか?」
「そう言って貰えると、こちらとしてもとても助かるわ。謝罪を含めて、後ほど依頼料の手続きをさせてもらうわ」

 冒険者ギルドとの対応は、これで終わりです。
 あまり色々な事を言っても仕方ないもんね。
 ギルドマスターは、僕達の意向を取りまとめて王都のギルドマスターに送るそうです。
 受付でもマナさんから謝られたけど、僕達はもう大丈夫と伝えました。

「おっ、帰ってきたか。色々と大変だったみたいだな」
「はい、ギルドも見抜けなかった精巧な偽依頼でしたので。同じ手口で、他の所でも冒険者を誘き出していたみたいです」
「その話は俺も聞いた事があったんだよ。今度から対策が取られるらしいし、大丈夫だろうな」

 冒険者ギルド内でおっちゃんに会ったけど、おっちゃんは全てを把握していたよ。
 それだけ、あの盗賊がやり手だったんだね。
 冒険者ギルド内にいると他の冒険者に捕まりそうなので、僕達は足早に宿に戻りました。

「皆、お疲れ様。お風呂できているから、ゆっくり入ってきなね」

 宿に入ると、フルールさんがいつもと同じく僕達を出迎えてくれました。
 普通に接してくれるのって、とってもありがたいね。
 僕達は、早速お風呂に入りました。

「ふへ……」
「レオ君、おじさんみたいな声が出ているよ」
「まあ、私もレオ君の気持ちは分かるよ」
「大変な後だから、お風呂がいつもより気持ちいいよね」

 昨日は生活魔法で体を綺麗にしただけだったけど、やっぱりお風呂は気持ちいいね。
 僕だけでなく、ナナさん達も気持ちよさそうにしていました。
 そしてお風呂から上がって夕食を食べたら、直ぐに眠気が襲ってきました。
 明日は安息日だしゆっくりしようということにして、僕達はあっという間に寝てしまいました。
 本当に激動の二日間だったなあ。
 でも初めての経験も沢山あったし、いっぱい勉強になったね。
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