小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第三章 コバルトブルーレイク直轄領

第百八十五話 盗賊団の名前が判明します

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 直ぐに守備隊長さんが、周りにいる守備隊員に指示を出しました。

「二班に分ける。逃走者を確保する為に村の周囲を固める班と、村に突入して盗賊を確保し人質を保護する班だ。大変厳しい作戦になるが、多くの人の命がかかっている非常に重要な作戦だ」

 あっ、そうか。
 守備隊長さんが話をしているけど、盗賊が村から逃げ出さない様にしないといけないんだ。
 うーん、盗賊が逃げられない様に蓋をしちゃえば良いんじゃないかな?

「守備隊長さん、村の周りを魔法で囲えないかやってみます」
「で、出来ることに越したことはないが、本当にできるのかね?」

 僕もやってみないと分からないけど、ここは村人を救う為に頑張らないとね。
 僕達は村にいる盗賊に気づかれない様に、街道からこっそりと村に近づきました。
 僕も魔力を溜めて、準備完了です。

「守備隊長さん、いきます!」
「レオ君、やってくれ」

 僕は地面に手をあてて、溜めた魔力を開放しました。

 シュイーン、ズドドドドドドドドーーーン!

「な、何という魔法なんだ……」
「こ、これが黒髪の魔術師の魔法なのか……」
「これは反則だろう……」

 僕は村の周囲を三メートルの高さの土壁で覆って、一メートルだけ出入り口を作りました。
 いっぱい魔力を使っちゃったけど、何とか上手くいって良かったね。
 僕もシロちゃんも、ホッとしています。

「守備隊長さん、ただの土壁なのであまり強度がありません」
「いや、大丈夫だろう。土壁を壊そうとする気すら起きないよ」

 守備隊長さんはちょっと苦笑しながらも、直ぐに気を引き締めました。

「よし、行くぞ!」
「「「おー!」」」

 僕達は、村の中に入っていきました。
 あっ、そうだ。
 ナナさんに言わないと。

「ナナさん、バインドとかブラインドの魔法はどんどん使って下さい。人を傷つける恐れが少ないので」
「分かりましたわ」

 ナナさんならきっと大丈夫だと思った時、シロちゃんが異変を教えてくれました。

「守備隊長さん、シロちゃんが血の臭いがしてきたと言っています!」
「想定内だ。ここからは時間との勝負だぞ」

 ユリアさんとイリアさんにシロちゃんを預けて、僕と守備隊長さんは村長さんの屋敷に向かいます。
 盗賊の首謀者を捕まえないとね。

「くそ、この野郎!」
「ぶっ殺してやる!」

 遂に隠れていた盗賊が、僕達を襲ってきたよ。
 盗賊は、もう逃げられないと思ったのかもしれないね。
 でも、僕達も盗賊を許さないよ。

「せい、やあ!」

 ボキンボキン!

「「ギャー!」」

 おお、守備隊長さんが襲ってきた盗賊をみね打ちで倒したよ。
 倒れた盗賊から骨が折れた音がしたけど、特に気にしなくて良いね。

「レオ君は、魔力を取っておいた方が良い。思い出したよ、こいつらの首領は女の魔法使いだ!」

 ええ!
 僕は、守備隊長さんの発言にビックリしちゃったよ。
 となると、村長さんの家で僕達を応接室に案内したおばあさんが魔法使いだね。
 そういえば、村長さんの真似をしていたおじいさんは演技が下手くそだったけど、あのおばあさんは普通に僕達の応対をしていたよね。
 そして、僕と守備隊長さんのチームに居る守備隊員が村長さんの家のドアを開けようとした時でした。

 シューイン。

「あっ、危ない! 下がって下さい!」
「はっ、はい!」

 突然ドアの向こうから魔力を感じたので、僕は急いで魔法障壁を張りました。

 シュン、パキンパキン!

「あ、危なかった……」

 間一髪で守備隊員も僕の側に来て、魔法障壁で飛んできたエアーカッターを防ぎました。
 かなり魔力が込められていたエアーカッターで、かなり危なかったよ。
 
 パラパラ。

「ほほほ、あたしの魔法を防ぐとは。流石じゃのう、黒髪の魔術師よ」

 村長さんの家の玄関ドアがバラバラと落ちて、僕達を応接室に案内したおばあさんが姿を現しました。
 おばあさんは僕の二つ名を喋ったから、僕達の正体に気がついているんだね。

「盗賊疾風団、その首領のかまいたちのゼンだな」
「おやおや、あたしの二つ名を知っているとは。中々やるのう、守備隊長」
「犯行手口からピンときた。こんなところにいるとはな」

 守備隊長さんはキラリと剣を引き抜き、おばあさんに向けました。
 一方のおばあさんも、飄々とした感じで答えています。

「黒髪の男の子、スライム連れ、これで気づくべきだったよ。あたしももうろくしたね。黒髪の魔術師相手では、襲撃班はたまったもんじゃないだろうよ」

 このおばあさん、不利な状況でも冷静に分析している。
 相当頭がまわるんだね。
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