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第三章 コバルトブルーレイク直轄領
第百七十三話 何故か訓練場で魔法勝負をする事に
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「ははは、それでこの後守備隊の所に行く事になったのか」
「はい、やっぱり僕の魔法の訓練は特殊みたいなので……」
「どちらかと言うと、レオ君の凄さを皆に教えたいのもあるだろうな」
朝の訓練の一幕をチャーリーさんに話すと、チャーリーさんは笑いながら真意を話してくれました。
うう、僕としては話がどんどんと大きくなってきたから、ちょっと困惑気味です。
「クリス、おにーさまのまほーみたーい!」
応接室に僕達と一緒にいたこのクリスちゃんの一言で、一気に物事が動き始めました。
「せっかくだから、我々も守備隊の所に行くとするか。レオ君の魔法は見た事があるが、剣舞にも興味があるな」
「私も、レオ君の魔法をこの目で見たいです。娘を救ってくれた魔法使いが操る魔法がどれだけ凄いのか、とても興味がありますわ」
「わーい」
えー!
何で、僕の魔法を見たがるんですか?
チャーリーさんは、バーサス子爵の別荘制圧の時に沢山僕の魔法を見たはずですよ。
でも、馬車がとか執事さんに指示を出しているから、もう逃れられないよ……
因みに、シロちゃんはちゃっかりとクリスちゃんに抱かれていて、傍観者を決め込んでいます。
「皆様、馬車のご用意が出来ました」
「では、行くぞ」
「はい……」
僕はチャーリーさんに肩をポンポンと叩かれながら、重い体を持ち上げたのでした。
うう、どうしてこうなったのか……
馬車の中で、僕はそんな思いをしていました。
「皆様、お待ちしておりました。訓練場へご案内いたします」
僕達を乗せた馬車はあっという間に守備隊の訓練場に着いて、係の人に訓練場に案内されました。
既に多くの守備隊員と軍の人が訓練場に集まっていて、僕達の到着を待っていました。
「多分皆様と来るのではないかなと思ったら、本当に来たね」
そして、師団長さんもニコニコしながら僕達の所にやってきました。
あの、バーサス子爵の尋問をやっているのではないのですか?
「もう奴の尋問は終わったよ。物的証拠も数多く押えてあるし、言い逃れもできない様にしてあるからね」
うん、軍の人達はとても優秀でした。
となると、ほぼやる事がないんですね。
僕は諦めて、訓練場に上がってダガーを構えました。
ブオン。
「「「おおー」」」
本日二度目の魔法剣を発動させると、集まった人から感嘆の声が漏れました。
僕は、そのままいつもの剣の形を始めました。
「えい、やあ、とー」
誰もが言葉を発せずに、僕の形を見守っていました。
僕に物凄い視線が集中しているけど、今は気にしないでおこう。
「ふう、これで終わりです」
パチパチパチ!
僕が形を終えると、沢山の拍手が起きました。
な、何とか上手く出来たみたいですね。
「ふん。黒髪の魔術師と聞いたが、ただのガキじゃねーか!」
その時、訓練場に大きな声が響き渡りました。
皆の注目が集まり僕もなんだろうと思ったら、大柄な短髪の男性が僕の事を睨みつけていました。
「そこのちび! 俺と魔法で勝負しろ!」
「バートン! お前は引っ込んでいろ!」
「俺は軍の魔法使いだ! 冒険者のちびとはレベルが違うんだよ!」
師団長さんが大柄な男を叱りつけているけど、全く聞く耳を持ちません。
周りの人も大柄な男性を止めるけど、話を全く聞かないなあ。
「レオ君、済まない。奴は魔法が上手く使えなくて、前から焦っているんだよ」
「師団長さん、大丈夫ですよ。どうしたらいいですか?」
「うーん、レオ君がアイツを圧倒的な力差で叩き潰してくれると助かるが……」
つまり、あの大柄な男性をどうにかすればいいんだね。
大柄な男性は頭に血が上って、こちらの話を聞いてもらえなさそうだね。
「シロちゃん、皆に魔法が当たらないように、魔法障壁を準備していてね」
「けっ、魔法の制御に自信が無いってか? こりゃ、傑作だな」
大柄な男性が何か勘違いしているけど、クリスちゃんの腕の中にいるシロちゃんは了解と触手をふりふりしていました。
そして、大柄な男性が僕と対峙して、師団長さんが近くに寄ってきて審判をしてくれる事になりました。
「この一戦は、私が裁く。使用するのは魔法のみで、他の武器は使用不可。戦闘不能と判断した場合と、ギブアップを宣言した時に勝敗が決する。異論は無いな」
「はい」
「ふふふ、叩きのめしてやる!」
「はあ……」
大柄な男性は師団長さんの話を適当に聞いていたので、師団長さんは思わずため息をついてしまいました。
そして、僕と大柄な男性は、互いに距離を取りました。
「では、試合始め!」
「ギタギタにしてやる!」
うーん、試合開始の合図があっても、大柄な男性は余裕な態度を崩していないね。
面倒くさいから、さっさと終わらせちゃおう。
「えい!」
しゅっ、もわーん。
「何だこれは? 動けない上に前が見えないぞ!」
僕は大柄な男性をエアーバインドで拘束しつつ、ブラインドで視界を奪います。
大柄な男性がくねくねと動いていて、何だか気持ち悪いなあ。
ズドーン。
「あた!」
「「「ぷぷぷぷぷ」」」
そして大柄な男性は、見事に転んじゃいました。
そんな大柄な男性の滑稽な姿に、訓練場から失笑が漏れていました。
「これで終わりです!」
シャキーン。
「よ、ようやく目が見え……何だこりゃ!」
僕は転んでいる大柄な男性の頭上に大きな氷の塊を浮かべてから、ブラインドを解除しました。
因みに、エアーバインドはまだ継続中です。
大柄な男性は全く動けないし、これで勝負ありですね。
「バートン、戦闘不能。この勝負レオ君の勝ちとする」
「「「わー!」」」
師団長さんが僕の勝ちを宣言すると、訓練場内から大きな歓声と拍手が起きました。
時間にして二十秒もかかっていないけど、これで大柄な男性は諦めてくれるかな?
「はい、やっぱり僕の魔法の訓練は特殊みたいなので……」
「どちらかと言うと、レオ君の凄さを皆に教えたいのもあるだろうな」
朝の訓練の一幕をチャーリーさんに話すと、チャーリーさんは笑いながら真意を話してくれました。
うう、僕としては話がどんどんと大きくなってきたから、ちょっと困惑気味です。
「クリス、おにーさまのまほーみたーい!」
応接室に僕達と一緒にいたこのクリスちゃんの一言で、一気に物事が動き始めました。
「せっかくだから、我々も守備隊の所に行くとするか。レオ君の魔法は見た事があるが、剣舞にも興味があるな」
「私も、レオ君の魔法をこの目で見たいです。娘を救ってくれた魔法使いが操る魔法がどれだけ凄いのか、とても興味がありますわ」
「わーい」
えー!
何で、僕の魔法を見たがるんですか?
チャーリーさんは、バーサス子爵の別荘制圧の時に沢山僕の魔法を見たはずですよ。
でも、馬車がとか執事さんに指示を出しているから、もう逃れられないよ……
因みに、シロちゃんはちゃっかりとクリスちゃんに抱かれていて、傍観者を決め込んでいます。
「皆様、馬車のご用意が出来ました」
「では、行くぞ」
「はい……」
僕はチャーリーさんに肩をポンポンと叩かれながら、重い体を持ち上げたのでした。
うう、どうしてこうなったのか……
馬車の中で、僕はそんな思いをしていました。
「皆様、お待ちしておりました。訓練場へご案内いたします」
僕達を乗せた馬車はあっという間に守備隊の訓練場に着いて、係の人に訓練場に案内されました。
既に多くの守備隊員と軍の人が訓練場に集まっていて、僕達の到着を待っていました。
「多分皆様と来るのではないかなと思ったら、本当に来たね」
そして、師団長さんもニコニコしながら僕達の所にやってきました。
あの、バーサス子爵の尋問をやっているのではないのですか?
「もう奴の尋問は終わったよ。物的証拠も数多く押えてあるし、言い逃れもできない様にしてあるからね」
うん、軍の人達はとても優秀でした。
となると、ほぼやる事がないんですね。
僕は諦めて、訓練場に上がってダガーを構えました。
ブオン。
「「「おおー」」」
本日二度目の魔法剣を発動させると、集まった人から感嘆の声が漏れました。
僕は、そのままいつもの剣の形を始めました。
「えい、やあ、とー」
誰もが言葉を発せずに、僕の形を見守っていました。
僕に物凄い視線が集中しているけど、今は気にしないでおこう。
「ふう、これで終わりです」
パチパチパチ!
僕が形を終えると、沢山の拍手が起きました。
な、何とか上手く出来たみたいですね。
「ふん。黒髪の魔術師と聞いたが、ただのガキじゃねーか!」
その時、訓練場に大きな声が響き渡りました。
皆の注目が集まり僕もなんだろうと思ったら、大柄な短髪の男性が僕の事を睨みつけていました。
「そこのちび! 俺と魔法で勝負しろ!」
「バートン! お前は引っ込んでいろ!」
「俺は軍の魔法使いだ! 冒険者のちびとはレベルが違うんだよ!」
師団長さんが大柄な男を叱りつけているけど、全く聞く耳を持ちません。
周りの人も大柄な男性を止めるけど、話を全く聞かないなあ。
「レオ君、済まない。奴は魔法が上手く使えなくて、前から焦っているんだよ」
「師団長さん、大丈夫ですよ。どうしたらいいですか?」
「うーん、レオ君がアイツを圧倒的な力差で叩き潰してくれると助かるが……」
つまり、あの大柄な男性をどうにかすればいいんだね。
大柄な男性は頭に血が上って、こちらの話を聞いてもらえなさそうだね。
「シロちゃん、皆に魔法が当たらないように、魔法障壁を準備していてね」
「けっ、魔法の制御に自信が無いってか? こりゃ、傑作だな」
大柄な男性が何か勘違いしているけど、クリスちゃんの腕の中にいるシロちゃんは了解と触手をふりふりしていました。
そして、大柄な男性が僕と対峙して、師団長さんが近くに寄ってきて審判をしてくれる事になりました。
「この一戦は、私が裁く。使用するのは魔法のみで、他の武器は使用不可。戦闘不能と判断した場合と、ギブアップを宣言した時に勝敗が決する。異論は無いな」
「はい」
「ふふふ、叩きのめしてやる!」
「はあ……」
大柄な男性は師団長さんの話を適当に聞いていたので、師団長さんは思わずため息をついてしまいました。
そして、僕と大柄な男性は、互いに距離を取りました。
「では、試合始め!」
「ギタギタにしてやる!」
うーん、試合開始の合図があっても、大柄な男性は余裕な態度を崩していないね。
面倒くさいから、さっさと終わらせちゃおう。
「えい!」
しゅっ、もわーん。
「何だこれは? 動けない上に前が見えないぞ!」
僕は大柄な男性をエアーバインドで拘束しつつ、ブラインドで視界を奪います。
大柄な男性がくねくねと動いていて、何だか気持ち悪いなあ。
ズドーン。
「あた!」
「「「ぷぷぷぷぷ」」」
そして大柄な男性は、見事に転んじゃいました。
そんな大柄な男性の滑稽な姿に、訓練場から失笑が漏れていました。
「これで終わりです!」
シャキーン。
「よ、ようやく目が見え……何だこりゃ!」
僕は転んでいる大柄な男性の頭上に大きな氷の塊を浮かべてから、ブラインドを解除しました。
因みに、エアーバインドはまだ継続中です。
大柄な男性は全く動けないし、これで勝負ありですね。
「バートン、戦闘不能。この勝負レオ君の勝ちとする」
「「「わー!」」」
師団長さんが僕の勝ちを宣言すると、訓練場内から大きな歓声と拍手が起きました。
時間にして二十秒もかかっていないけど、これで大柄な男性は諦めてくれるかな?
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